7525 リックス 4Q後取材 20240604【初回取材】

2024/06/12

2024/06/12

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株探 バフェット・コード

スピーカー: CEO
P/E 10.4x P/B 1.02x (取材記事公開日現在)

Q.御社の創業から現在までの経緯はどのようになっているか?

A.1907年に創業して今年で117年目を迎える。創業当初は足袋の卸売を行い、主に八幡製鐵所(現・日本製鉄)に供給していた。その後、1941年にはNOKの代理店となり、1943年には日本製鉄にオイルシールを納入したことを契機に、商社機能を強化した。
1967年には高圧油圧ポンプの製造販売を開始し、自社でもメーカー機能を手に入れた。1969年には福岡工場を稼働させ、ロータリージョイントのメーカーを吸収合併することでメーカー商社としての地位を確立した。1990年には社名をリックスに変更し、ものづくりに注力するため開発センターを新設、2003年からは海外展開を本格的に開始した。

Q.御社の中長期的な成長戦略はどのような方針か?

A.長期経営計画「LV2030」では、2031年3月期において、売上700億円、営業利益率8%以上、ROE11%以上、海外売上比率20%、オリジナル品比率55%を目標としている。また、現在の顧客の業界・業種に留まらず、常に成長分野を探索し、成長分野において100億円の売上を達成したいと考えている。

Q.成長分野とは具体的にどのような分野なのか?

A.鉄鋼セグメントにおいては電磁鋼板や高張力鋼が、自動車セグメントにおいては電気自動車を中心とするCASE関連が成長分野に該当する。また、高機能材セグメントにおいても、電気自動車向けの電池関連の商材を扱っている。商材別には、水処理に関する膜やフィルター、建設機械関連の商材が成長すると考えている。

Q.東京証券取引所の市場再編の際に、東証プライム市場に上場した理由はなぜか?

A.今後、グローバルに成長していきたいと考えており、グローバルスタンダードの体制を求めるプライム市場を目標に定めた。また、社長の安井が社内で「挑戦」をスローガンとして掲げていたので、会社として挑戦する姿を見せて社員のモチベーションを高めたいと考えた。また、東証プライム市場に上場することによる企業のブランドイメージを活かして採用面のメリットを享受したかった。東証プライム市場を選択した時は、流通株式時価総額と売買代金の2点で上場維持基準に対して未達であったが、ステークホルダーリレーションを掲げて株主との対話やIR活動を強化した結果、現在は上場維持基準を達成できている。

Q.中期経営計画「GP2023」の達成度をどのように評価しているか?

A.売上はわずかに未達であったが、営業利益は達成することができた。40%を目標としていたオリジナル品比率が約30%と大幅に未達となってしまったため、今期からの中期経営計画「GP2026」では、「GP2023」の期間で築いたオリジナル品比率を上げるための基盤(NB開発本部の発足、リックス協創センターの建設等)を活かして、オリジナル品比率を上げたいと考えている。

Q.御社がメーカー機能を持っている背景は?

A.弊社は商社として顧客と接する中で、様々な相談を受けており、卸売をしている商材だけでは対応できない顧客の多様なニーズに対応するために、主に流体制御技術に関する製品の製造・販売を自社で行い、代表的な製品には、ロータリージョイントがある。また、流体に関する知見が増えるにつれ、その周辺領域にも製品を展開している。例えば、流体を利用した洗浄装置や、高圧・油圧技術を活かした液体の圧力を上げる装置、噴射装置などを製造するようになった。

Q.完成品向けではなく、工場の設備等向けの部品を提供しているという理解で合っているか?

A.その認識で問題ない。工場で用いられているポンプやバルブ、フィルター等を提供している。

Q.前期において、顧客である工作機械メーカーの受注が減少したにも関わらず、御社の業績が成長した理由はなぜか?

A.弊社には8つのセグメントがあり、工作機械業界以外にも、鉄鋼業界や自動車業界、半導体業界等においても強みを持っているからである。前期の業績については、低調だった半導体セグメントと工作機械セグメントを、鉄鋼セグメントと自動車セグメントにおける大幅な増収がカバーした。

Q.鉄鋼セグメントではどのようなプレイヤーが主要顧客なのか?

A.三大製鉄会社向けの売上比率が大きい。また、電炉等のプラントエンジニアリングを手掛けている企業も顧客としている。

Q.鉄鋼セグメントの整備部門はどのようなサービスを提供しているのか?

A.保守保全といった、現場のメンテナンスを提供している。具体的には、製品を販売しているだけではなく、フィルターのクリーニングといったサービスまで提供している。

Q.鉄鋼セグメントはどのように成長させる方針か?

A.国内の粗鋼生産量は頭打ちとなっているが、各製鉄会社は海外市場に注力している。また、日本の製鉄会社が得意としている電磁鋼板や高張力鋼といった特殊鋼や、電炉や水素高炉による脱炭素といった分野において、製鉄会社が設備投資を進めている。そのため、そのような設備投資需要を捉えて成長したいと考えている。

Q.製鉄会社の設備投資需要をどのように見通しているか?

A.日本製鉄のトヨタ向け鉄鋼価格改定後は、各製鉄会社が積極的な事業運営をしており、業績も改善傾向にあるので、設備投資意欲は旺盛であると考えている。

Q.老朽化した設備の維持・更新のための需要も引き続き発生するのか?

A.その認識で問題ない。そのような需要を逃さないようにするため、弊社も設備点検の分野において、ロボットベンチャー企業への出資と共同開発により、ドローンや遠隔操作ロボットを活用した点検に取り組んでいる。

Q.自動車セグメントの売上の内訳はどのようになっているか?

A.自動車セグメントでは、売上のほとんどがトヨタグループ向けである。また、電池・モーター関連の売上比率が44.3%であり、自動車の電動化のトレンドにキャッチアップできていると考えている。なお、電池・モーター関連においては、電池が約7割、モーターが約3割の内訳である。

Q.電池・モーター関連の顧客には国内顧客が多いのか?

A.その認識で問題ない。ただし、顧客の北米における電動化戦略に伴って、北米での設備投資需要が大きくなっているため、アメリカのノースカロライナ州に新しいオフィスを構えて、顧客の設備投資需要に対応している。

Q.電池・モーター関連におけるオリジナル品比率はどのようになっているか?

A.単一の製品だけではなく、複数の製品を組み合わせて販売しているケースがあるので、割合は把握していない。ただし、オリジナル品も多いと認識している。

Q.電気自動車の市場拡大が鈍化している外部環境をどのように考えているか?

A.現在は、自動車の電動化のスピードが鈍化しており、ハイブリッド車への需要が回復している。しかし、長期的な目線では脱炭素が進むので、電池・モーター関連の成長余地は大きいと考えている。

Q.電子・半導体セグメントのうち、電子と半導体の売上比率はどのようになっているか?

A.ほとんどの売上が半導体向けである。また、ロータリージョイントはCMP装置等の部品であるため、半導体製造の前工程に使われている。

Q.ゴム・タイヤセグメントはどのようなセグメントか?

A.自動車セグメントとは分けて開示しているが、ゴム・タイヤセグメントの業績は自動車の生産台数に影響を受ける。

Q.今後はどのようにして売上を成長させる方針か?

A.売上の約50%を占めている流れ・基礎品は、リピート品であるため、安定した売上の土台にしたいと考えている。今後は、流れ・基礎品になる商材を増加させたり、一般商談において顧客の課題をヒアリングしてオリジナル品を開発したりすることで、売上を成長させ、営業利益率を上昇させたい。

Q.オリジナル品と他社製品の粗利率はどのようになっているか?

A.オリジナル品の粗利率は35%前後である。他社製品の粗利率は、製品によって異なるが、全体では20%前後である。

Q.オリジナル品の売上に対するロータリージョイントの貢献度はどの程度か?

A.売上、利益ともに貢献度は大きいと認識している。

Q.オリジナル品の売上はどのように成長させる方針か?

A.現在、弊社では技術開発センターにおいて、ロータリージョイントや洗浄装置のラインナップ拡充に取り組んでおり、既存製品の強化を図っている。
また、協創センターにおいては、流体制御技術と社会課題を掛け合わせて、新しいオリジナル品の開発にも取り組んでいる。ロータリージョイントのような売上規模が大きいオリジナル品を開発したいと考えているが、新しい取り組みが業績に貢献するまでには時間がかかるとみている。

Q.インドにおける成長戦略はどのようになっているか?

A.日系工作機械メーカーが進出しており、今後も成長が見込まれるインド市場において、工作機械向けのオリジナル品の製造を強化することで、海外売上の拡大と収益性の向上を目指したいと考えている。また、現在は日本からヨーロッパに輸出しているオリジナル品を、インドから輸出したいと考えている。

Q.株主還元はどのような方針か?

A.現在は設備投資のためにキャッシュが必要である一方、利益をしっかり出して株主に還元していきたい。投資家には前期から配当性向を30%から40%に引き上げたことを評価してもらいたい。

Q.減配に対して投資家からはどのような反応があったか?

A.中期経営計画を達成するための投資で、主に減価償却費が大幅に増加見込みのため、今期は減配することにしたが、減配発表直後に株価が大きく下落したことに衝撃を受けている。今期は業績を少しでも成長させて、上方修正を目指したいと考えている。

Q.為替水準は御社の業績にどのような影響を与えるのか?

A.外貨建て仕入高は外貨建て売上高の約50%なので、円安になると弊社の業績にポジティブな影響があるが、海外売上比率は約10%なので、業績に与える影響はあまり大きくない。なお、為替感応度は開示していない。

Q.長期経営計画「LV2030」における営業利益率の目標をどのように考えているか?

A. 2031年3月期におけるあるべき姿として営業利益率8%以上を掲げているが、挑戦的な数値目標であり、目標達成に向けてオリジナル品比率を上げることで、高い営業利益率が出せる企業体質を作りたいと考えている。

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