5532 リアルゲイト 2Q後取材 20240625【初回取材】

2024/07/03

2024/07/03

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株探 バフェット・コード

スピーカー: IR
P/E 14.9x P/B 2.19x (取材記事公開日現在)

Q. 事業の成り立ちから現在までの経緯はどのようになっているか?

A. 代表取締役の岩本が五洋建設へ入社し、現場監督兼アメリカンフットボール選手として活動後、大京、プロパストを経て、弊社を創業した。2009年の創業当時は、2006年の会社法改定を受けて、株式会社を1円で設立可能となったこと等を契機に、富裕層の居住するお台場や品川等のエリアにおいて、マンション等の居住地で法人登記を行いたいという需要が大きくなった。しかし、マンション(特に分譲マンション)では法人登記をすることは難しいため、法人登記が可能なスモールオフィスの設置によって儲けることができると考え、the SOHOをお台場に立ち上げたのが現在のビジネスモデルの源流となっている。

その後、表参道や渋谷等の都内の好立地で築古ビルを活用して低価格でスモールオフィス、シェアオフィスサービスを開始したことが功を奏して事業が拡大していった。更に、築古ビルでは耐久性等に課題がある点や渋谷エリアではビルの1階を店舗とした方が、収益が向上する点を踏まえ、一級建築士の技術を活用して用途変更や増築によるリノベーションを行い、スモールオフィス・シェアオフィスに拘らず柔軟に展開していくこととした。
2009年の創業時はトランジットジェネラルオフィスの完全子会社という形で事業を開始したが、2019年頃から上場を目指して準備を進める中でコロナ禍が発生し、親会社が業績悪化で債務超過となり、予定通り上場することが難しくなったため、2021年7月にサイバーエージェントが親会社となった。

創業当時は資金力がなかったため、まずはフロー型収入のプロパティーマネジメント(PM)事業からスタートし、業績の向上とともに資金力に余裕が出てきた段階でマスターリース事業(ML)(=建物を一括で借り上げて内装投資も自社で行い転貸するモデル)を開始した。その後、更に特定建設業許可を取得し、PMやML物件の設計・施工を請け負うようになった。サイバーエージェントの子会社となった後は、銀行からの融資も通りやすくなったため、自社で物件を保有し、リノベーション等によるバリューアップを行い、物件を売却してキャピタルゲインを得つつ、売却物件をML事業へ繋げることで安定した収益の確保も行っている。

Q.マスターリースモデルの主要顧客は誰か?

A.不動産会社が全体の半分程度を占めており、具体的には東急・三井・三菱系の大手不動産会社である。これらの大手は5年後や10年後の開発を見据えて既存ビル等を購入することとなるが、購入から開発開始までの期間においてビルを有効活用するために弊社へリースすることとなる。その他では、個人オーナー等が所有物件の空室を埋めるために弊社へリースを依頼してくる場合が多い。
現在は業界内でも弊社の実績が評価され認知度も大きく向上していることもあり、基本的に弊社から営業活動をすることはなく、自社物件の販売に関する関係者案内会の参加者等を通じて引合がある。

Q.今後特に注力していく事業モデルはどこか?

A. ①再生物件保有モデル⇒②MLモデル⇒③PMモデルの順に利益率が高いため、①②へ注力していきたいと考えており、①は特に大きく伸びている事業である。一方で、③は主にコロナ禍でも低リスクで一定の収益を確保する手段として行っていた経緯があり、リスクは低いがリターンも低く手間もかかるため、あまり注力する予定はない。ただし、①②については、物件取得費用やML賃料支払等により最初の6~7か月間は赤字が先行することとなるため、③(及び設計・施工の受託も含む)による安定収益の確保は継続しつつ、保有物件の一部売却による投資資金の早期回収を行っていく。

Q.マスターリースを行う物件のターゲットはどのような基準で選定しているか?

A.改装等の自由度の大きさ、及び長期契約の可否である。具体的には、改装等の制限が少ない築古物件を選定し、例えばエレベーター設置等の比較的多額の改装費用を投資したとしても、十分に回収可能な期間(10~15年程度)の契約を締結できることを重視している。

Q.特に重視しているKPIは何か?

A.最も重視しているのは運営面積(ML・保有)及び獲得済PJ(保有)である。運営面積(ML・保有)に稼働率を掛け合わせたものが売上高の大部分を構成していること、及び獲得済PJ(保有)は将来の業績に大きく貢献してくるため、重視している。
一方で、坪単価の向上は比較的重視しておらず、稼働率の維持をより重視している。この理由として、坪単価は各案件の目標利益率から逆算した結果であり、稼働率を維持している以上は適正な水準と判断できるためである。稼働率が95%を下回る場合は賃料の見直しなどが必要となってくるが、98%以上を維持できている現状を踏まえると順調であると考えている。
ただし、稼働率98%以上で更なる利益向上を目指すためには坪単価の向上が必須であり、実際には単価を上げることにも成功している。

Q.MLの契約期間中(10~15年程度)にリース賃料が変動することはあるか?

A. フリーレントや段階賃料により変動するケースも稀にあるが、基本的にはない。したがって、案件の固定費は変動しない一方で、稼働率の維持やバリューアップ等で坪単価を向上させることができた場合は利益額が大きくなる。
また、基本的に新築の住宅物件では経年とともに価値が減少していくこととは対照的に、弊社がリースする築30年程度の築古物件の価値は減少せず、逆にヴィンテージ物件として価値が向上していくこともあるため、その場合は更なるアップサイドを見込むことができる。

Q.集客はどのように行っているか?

A. 主に自社サイト「ORDERMADE TOKYO」を活用し、自社で8割程度を集客し、残り2割は仲介業者を経由している。仲介業者は大規模で賃料が高い物件でないと請け負わない場合が多く、結果としてシェアオフィス等の大部分は自社で集客することとなる。なお、シェアオフィスの回転率は半年~1年に1回程度と高く、仲介業者へ都度依頼するよりも自社サイトを経由した方が手間や費用を抑えて集客できるため、それが結果として高稼働率の維持に繋がっており、弊社の強みとなっている。

Q. シェアオフィスについて市況の影響をどの程度受けるのか?

A.あまり受けないと考えている。一般的には、エリアによって稼働率が上下し、現状では渋谷区は上昇、千代田区は横ばい、港区及び新宿区は減少している。弊社はこの市況を正確に把握し、稼働率が上昇しているエリアにおいて適切な価格水準で案件を開発しているため、比較的市況に左右されることなく安定的に収益を確保できており、コロナ禍においても98%程度の高稼働率を維持していた。なお、注力している渋谷エリアでは、今後も築古ビルが増加する見込みであり、潜在案件は豊富である。
建築費の高騰の影響については、高騰によって建替費用を工面できないオーナーからのMLの引合が増えることに繋がり、弊社の事業には追い風となっている。MLによる改装費用については建築費高騰の影響はあるが、内装工事のみであり、建替えと比べて費用を低く抑えることができる。

Q. シェアオフィスについて適正価格を設定するために心掛けていることは何か?

A.ML賃料を低く抑えることである。WeWorkは賃料が多少高くなっても、シェアオフィスの賃料へ価格転嫁して転貸しようとしていたことが裏目に出た結果、稼働率も低下して最終的に破産することとなった。一方で、弊社は開発エリアを絞っているため適正なシェアオフィス賃料水準に関する知見を蓄えており、適正水準から逆算して十分な収益を確保可能な賃料の案件のみを獲得できている。
なお、低価格戦略ではなく、質の良いサービスを提供することで若干高価格帯を狙っているが、これは築古物件を対象としてML賃料を抑えつつ、良いサービスを提供できるようなリノベーション技術を持つ弊社だからこそ取れる戦略である。

Q. 競合他社はどこか?

A.基本的に競合は存在しないと考えている。塗装等の表面的な内装工事をするのみで、実態は短期の転売に近い事業を行っている会社はあるが、ML物件フロアの用途変更・エレベーター設置・増築等の本格的な内装工事等を含め、ML~バリューアップを一気通貫で行う会社は弊社以外にないと考えている。

Q. 売上原価について、MLや自社保有案件の増加に伴って地代家賃や減価償却費が増加していくと理解しているが、外注費はどういった場合に増加するのか?

A.建築費が発生した時であり、外注費の増加に比例してフロー売上高が伸びていく。

Q. その他費用の変動が比較的大きいように見受けられるが、その要因は何か?

A.直近は本社移転費用や上場準備費用を計上したことが主な要因であり、基本的には大きく変動することはない。

Q. 今後、営業利益25~30%増を目指す中で課題は何か?

A.B/Sの改善と人材の確保・育成である。利益率の高い自社保有・ML案件の獲得には金融機関からの借入可能枠を増加させる必要があり、そのためにB/Sを改善していく必要がある。また、案件をこなすには、その取りまとめを行うプロジェクトリーダーの増員も必須であるが、即戦力の確保は難しいため、新卒や若手を育成していきたい。
なお、上場後、最初の決算発表で公表した中期経営計画では営業利益+15%成長を掲げていたが、2024年度では+35%程度成長と大きく上振れる見込みであることを踏まえ、+25~30%増を前提とした新中期経営計画を2025年度中に公表予定である。

Q. 2024年度に業績が大きく上振れる要因は何か?

A.稼働率の向上と物件の売却益の上振れ(+100百万円)である。

Q. 金融機関からの借入余力はどの程度あるか?

A.不動産の担保価値によるが、自己資本比率15%程度までは借入可能と考えており、2024年度の自己資本比率は22%であることから、引き続きレバレッジをかけて事業を拡大していきたい。

Q. 現時点で来期以降の業績見通しはどの程度立っているか?

A.2025年度は95%、2026年度及び2027年度は85%程度見通しが立っている。ストック収入がメインであること、及び物件の売却によるキャピタルゲイン収入も2年後等の中長期であることから、稼働率の極端な低下等がない限り、年間の変動要素は少ないと考えている。

Q.四半期ごとの業績の特徴はあるか?

A. まず、2Qまでに物件の売却等の業績に大きなインパクトのある活動を完了させ、年度の業績目標を前倒しで達成することを目指している。その上で、3Q以降は来期に向けての先行投資を行うため、2Qまでに年度の売上高・営業利益の大半を計上し、3Q以降は前四半期比で減少する傾向にある。

Q.M&Aによる事業拡大を行う予定はあるか?

A. その予定はない。既存事業へ注力して強みを磨きながら、物件取得へ資金を活用していきたい。

Q.配当や株主優待の導入の予定はあるか?

A. 導入予定はなく、事業成長による株価向上で貢献していきたい。

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