4763 クリーク・アンド・リバー社 1Q後取材 20240814
2024/09/02
2024/09/02
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スピーカー: IR
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Q.医療分野の事業の状況はどうか?
A.コロナ禍では、スポット案件が増加したことでワクチン接種関連事業が大きく成長した。
また、弊社が強みとしている常勤医師の紹介については、引き続き強い需要があり、人材紹介ビジネスであるため、業績が急拡大することはないものの、エージェント数や登録会員数の増加に合わせて、堅調に成長すると考えている。
Q.1Qの医療分野の売上が前期比で減収となった理由はなぜか?
A.コロナ禍が明けたことによりワクチン接種関連事業が縮小しているため、常勤医師紹介事業へと経営資源を集中させることを目的として、営業体制の見直し等の構造改革を実施したが、上手く進まなかったことが主な要因である。
なお、ワクチン接種関連事業のスポット案件の減少や医師の働き方改革についても、影響は小さいが減収の要因となっている。
Q.構造改革ではどのような取り組みを行ったのか?
A.第一に営業体制について、好成績なエージェントをマネージャーへ昇格させて現場から引き上げたり、支社長の権限を縮小して広域なエリアをまとめて統括する体制に変更したりといった取り組みを行ったが、現場の混乱を招いた。
第二に、医師のマッチング精度を上げるために、病院からのオーダーによりきめ細かく対応したり、病院が選べる医師を幅広くしたりなど、医師の情報共有体制をブラッシュアップした。
Q.見直した営業体制は今後も継続するのか?
A.その認識で問題ないものの、好成績のエージェントについては、改めて現場に再配置するなど、従来の体制に戻した取り組みもある。
なお、足元の医師のマッチングの成約数は堅調に伸びているが、成約から入社までは3~6ヶ月のタイムラグがあるため、売上への貢献は今期下期以降になると見通している。
Q.クリエイティブ分野(日本)事業について、ゲームエンタテイメントカテゴリの状況はどうか?
A.稼ぎ頭であったゲームエンタテイメントカテゴリは、2つの理由から事業が低調である。
第一に、国内ゲームパブリッシャーの案件が縮小しているからである。弊社は特定顧客からの売上に依存していないものの、直近では多くのゲームパブリッシャーの業績が悪化しているため、影響を受けている。
第二に、生成AIの浸透によって、シナリオやプランニング等の職種において、外部人材を調達しない方針へ切り替えた顧客がいたからである。なお、プログラミングやデザイン等の職種は、外部人材の調達を控える顧客もいるものの、現時点で影響は限定的である。
Q.クリエイティブ分野(日本)について、ゲームパブリッシャーの業績低迷による案件縮小に対応するために、どのような取り組みを行っているのか?
A.2023年4月にカナダのモントリオールに支社を開設し、北米のゲームパブリッシャーへの営業を開始した。モントリオール支社開設は、北米だけでなくヨーロッパ進出への足がかりにもなると期待している。クオリティが高い日本の人材が、現在は円安によって低価格で発注できると評価されるようになっているため、海外からの受注を増やすことを目指している。
Q.ブロードキャスティング&動画カテゴリの状況はどうか?
A.テレビ業界が今後大幅に成長することはないと考えているが、番組制作の需要は堅調であると見通している。また、前期から2社をM&Aしており、テレビ業界では有名な制作会社であるシオングループも完全子会社化した。上述のM&Aによって子会社化した企業の業績貢献もあり、ブロードキャスティング&動画の業績は好調に推移している。
Q.ブロードキャスティング&動画カテゴリでは今後もM&Aをする可能性はあるのか?
A.その認識で問題ない。近年は、制作会社の創業者が相次いで60~70歳と高齢になっているため、事業承継の一環としてM&Aの案件を紹介されることが多く、今後もM&Aにシェアを広げる戦略を取る可能性がある。
Q.プロモーション&マーケティングカテゴリの成長可能性をどのように考えているか?
A.プロモーション&マーケティングカテゴリでは、Webサイトの制作や政府系の広報案件等を手掛けている。当該カテゴリは非常に市場が大きいので、事業機会を捉えられれば、オーガニックに成長する余地があると考えている。
Q.AI/DX・ITカテゴリの前期の業績をどのように評価しているか?
A.新卒採用を増加させた単体では成長しているものの、SESを手掛ける子会社において多数の退職者が発生したため、前期は連結で減収となり、安定的に推移していた過年度と比較してイレギュラーな業績であったと考えている。
Q.AI/DX・ITカテゴリの収益性に改善の余地はあるのか?
A.弊社単体では、単価が月250万円以上、粗利率が50%以上の人材がいるので、連結でも同水準の粗利率を確保することが理想と考えている。
DX無料相談サービスであるDXの森についても、顧客からのニーズは強いので、人材を獲得できればゲームエンタテイメントカテゴリと同水準の高い収益性のビジネスになると考えている。
Q.1Qの販管費が前期比で増加している理由はなぜか?
A. 2023年4月入社から新卒採用を強化しており、2022年3月入社の新卒社員は160名だったが、2023年4月入社は344名、2024年4月入社は361名と倍近くに増やしている。
そのような状況において、2023年4月に入社した新入社員の育成が計画対比で遅れたため、原価に計上されるべき人件費が販管費に計上されたからである。また、2024年4月入社の新入社員からは入社前研修を実施しており、これも販管費が増加した理由である。
Q.どのような新卒人材の採用を強化しているのか?
A.クリエイティブ分野(日本)における専門職の採用数を大幅に増やしている。クリエイティブ分野(日本)においては、従来からブロードキャスティング&動画カテゴリで専門職を採用していたが、直近ではプロモーション&マーケティングカテゴリのデジタルプロデュースコースやAI/DX・ITカテゴリのDXコースの採用を強化している。
Q.新卒採用を強化した理由はなぜか?
A.昨今中途人材の獲得競争が激化していることが理由である。マーケットで活躍しているプロフェッショナル人材とのネットワークは現在も豊富であるが、新卒から育成することでロイヤリティを醸成し、事業成長を支える人材を確保する体制を構築したいと考えている。
Q.新卒社員の育成が遅れたとのことだが、具体的にどのような課題が発生したのか?
A.第一に、入社から約半年後の2023年10月頃には新卒社員をフル稼働させ、各社員が人件費以上の粗利を計上する計画であったが、フル稼働になった時期が2024年1月までずれ込んだ。
第二に、専門職採用について、学生のうちに適性を見極めるのが難しく、育成期間中にスキルセットと職種の不適合を理由として職種を転換した新卒社員がいた。
Q.新卒採用ではどのような人材を採用しているのか?
A.ゲームエンタテイメントカテゴリでは専門学校卒の専門性がある人材採用をすることもあるが、結果的には大卒の人材採用が多い。
Q.新卒社員を育成する人材は足りているのか?
A.職種によるが、DX関連の職種では育成する人材も不足している。
Q.2024年4月に入社した新卒社員の稼働時期をどのように見通しているか?
A.前年入社の新卒社員の稼動が計画対比で遅れたことを受けて、入社前研修を実施したので、前期よりは早く稼動すると考えている。
Q.今期の重点ポイントは何か?
A.第一に、新卒社員の早期戦力化に取り組む。第二に、成長しているAI/DX分野を深耕する。第三に、海外マーケットに進出する。第四に、業績予想に織り込んでいないゲームやコミックのオリジナルコンテンツを成長させ、業績に貢献することを期待している
Q.海外マーケットへはどのように進出するのか?
A.上述のモントリオール支社の開設に加え、前期にパナソニックから買収したShiftallは海外売上比率が50%を超えており、ニッチなB2Cの製品がマーケットから高く評価されているので、海外マーケットにおいて成長する可能性があると考えている。
Q.自己株式の保有状況と今後の活用方針はどのようになっているか?
A.現時点での自己株式の保有状況は4.5%であり、戦略的な目的で取得を実施しながら、消却も視野に入れている。
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