4577 ダイト 4Q後取材 20240802【初回取材】

2024/09/03

2024/09/03

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株探 バフェット・コード

スピーカー: IR
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Q.御社の事業の成り立ちや沿革はどうなっているか?

A.第二次世界大戦中の1942年に、多くの在留邦人がいた東南アジア方面に、富山の伝統産業である配置薬を輸出する商社として創業を開始した。終戦後は1976年から医療用医薬品の製造を開始し、従来の薬の商社業から製造業へとビジネスをシフトした。
大きな転機として、2004年に薬事法が改正されて、新薬メーカー等が製造を全面外部委託することが可能になり、大手製薬メーカーから製薬を受託したことでビジネスを加速した。
その後は、医療費の増大を理由とした政府のジェネリックシフトの後押し政策により、ジェネリックの原薬と製剤の需要が伸びて、ここ15年で規模と業績が急拡大して、今日に至る。

Q.円安による原価の上昇やジェネリックの供給体制等、直近4、5年の御社としての課題や今後の方針はどう考えているか?

A.直近のトピックとしては、ジェネリック業界大手である小林化工や日医工等が品質問題によって業績が悪化していることが挙げられる。従来は業界の一部には上述の政府の後押しを踏まえて質より量を重視する方針を取っている企業が見られたが、当社は、その風潮に反して、設備投資を進めていきながらも、品質を重視する文化(Quality Culture)を醸成する姿勢を取り続けていた。そのため、品質問題が顕在化する以前は他企業よりも成長率が低かったが、現在では相対的に優位性が高まり、高い信頼の獲得に繋がっていると考えている。
一方で、高品質を優先するために損なわれていた効率性を見直す余地があるため、さらに付加価値の高いビジネスにリソースを割り当てられる体制を構築することが今後の課題であると考えている。

Q.御社のビジネスのフローは、国内や中国の工場から原薬や原薬の原材料を購入し、加工して製薬メーカーに販売することで収益を生み出す認識で合っているか?

A.基本的にはその認識で問題ない。大まかなフローとしては、はじめに原薬の原材料(中間体)を購入して化学合成することにより原薬を製造する。その後、原薬に添加剤や賦形剤等を混ぜることで錠剤を作り、コーティングや包装を経て出荷、販売している。原薬を自社で製造せずに、直接社外から購入することもある。

原料の多くは、中国やインドで作られており、当社の場合は、今期から持分法適用会社となった中国の関連会社である千輝薬業(安徽)有限責任公司や安徽鼎旺医薬有限公司が現地で原料を調達し、原薬や中間体を作って日本に輸送している。
輸送された原薬や中間体は、子会社である大和薬品工業にて精製をして原薬化するケース、当社の原薬部門にて原薬化して原薬のまま販売するケース、原薬を製剤化して製剤として日本国内の製薬メーカーに販売するケースが主なフローである。

Q.原薬や製剤の国内と海外の比率はどのようになっているか?

A.原薬では出荷金額ベースで約7割を国内工場が担っている。製剤は一部を除き、ほとんど全てが国内向けである。

Q.新中期経営計画「DTP2027」にて中国ビジネスの強化が発表されたが、今後は中国における生産割合は増加していくのか?

A.中国における数量の増加は、中国国内でのジェネリック製剤の販売開始に伴い、中国国内向けの生産が開始するため、当社のグループ内で見れば、中国の生産数量は増加する見込みである。日本の会社として中国国内でジェネリック製剤の承認が取得出来れば、業界としても大きな一歩であると考えている。

中国から日本に輸送する原薬の比率は国内の製剤の生産能力が増えない限り、原則向上しない。
ただし、中国から原薬を輸入し、そのまま販売するというルートもあり、当該ルートの場合は、輸送する原薬比率向上に関して、製剤の生産能力はボトルネックにならない。

Q.製剤の販売先は国内の製薬メーカーであるか?

A.販売先は国内で薬を販売している会社である。当社はMR部隊を自社で保持していないため、販売は外部委託している。
なお、当社はメディカルシステムネットワークの子会社であるフェルゼンファーマに資本参加しており、フェルゼンファーマは自社に販売機能を持っているため、当社の製品を優先的に取り扱ってもらっている。フェルゼンビジネスは急速に拡大している。

Q.商品は他社から仕入れてそのまま販売する品目を指しているのに対して、製品は御社が製造して販売する品目を指しているという認識で合っているか?

A.基本的にはその認識で問題なく、付加価値については商品より製品の方が高い。
なお、厳密な定義としては、薬機法上の製造行為を当社が実施しているかどうかで商品と製品を区別している。
例えば、英語のラベルが付与された輸入品について、当社がサンプリングと検査を実施し、合格証を出して日本語のラベルを貼付するというフローでも、薬機法上では製造行為であるため、当社では、そのようなフローを経た品目も製品と定義している。

Q.現在の市況ではジェネリックに対する需要は大きいため、生産能力を向上させることができれば、販売数量は伸ばせるのか?それとも、画期的な原薬や製剤ができなければ、販売数量を伸ばすことはできないのか?

A.従来は、国内市場全体で、長期収載品からジェネリックへ転換する流れがあり、ジェネリックの使用割合が8割まで伸びていく過程で、生産能力を増やせば、翌年には特許切れに伴う新しいジェネリックシフトが生まれて、そこに対して製品を供給することでボリュームの増加を見込めたが、ジェネリックの使用割合が8割に達したため、今後の伸びは鈍化する見込みである。
しかしながら、10月から始まる長期収載品の選定療養という制度は、ジェネリックがあるのにも関わらず依然として長期収載品を使用している患者に対して、ジェネリックを使用せずに長期収載品を使用し続けるのであれば、追加の自己負担を要求するという制度のため、制度開始後はジェネリックの販売数量がまだ伸びていくと考えている。当社は、生産能力増加のために新工場に生産設備を実装中であり、生産能力が向上すれば、販売数量も増加して、売上が上昇すると考えている。

Q.昨今の薬価改定による価格の下落傾向について、今後はどうなっていくと考えているか?

A.前提としてジェネリックは医療費削減を目的としており、今後も価格の値下げ圧力は強いと考えている。

昨今の価格下落については、製剤メーカーのMRが販売シェア獲得のため、卸、病院・医院、薬局等に対して薬価と比較して非常に低価格で販売していたため、政府は実勢価格を踏まえて薬価が下げられてきたという背景がある。
しかしながら、毎年薬価改定の導入を契機に、そのような販売手法に対する問題提起が行われ、現在では業界全体で、持続可能な産業を目指すために過度な安売りを避けるような風潮が生まれつつある。
その結果、薬価と実勢価格の差分が小さくなり、薬価も損益分岐点に近いため、価格の下落傾向は以前と比較して緩やかになると考えている。
また、昨今の急激な円安の影響で、原薬の価格が高騰していることも安売りを避ける風潮に繋がっていると考えている。

Q.原料は海外からの輸入が主であるとのことだが、円安による価格高騰の影響は原薬や製薬への価格転嫁は可能なのか?

A.他業界と異なり、最終消費者への販売価格の上限が国によって決められているため、サプライヤー起点で価格を上げることは難しい。
一方で、シェアを獲得することでスケールメリットによるコストダウンを図りたいというねらいから価格を下げていた製薬メーカーに対して、当社が販売価格を上げ、その分を製薬メーカーも価格転嫁することで、win-winの関係を維持したまま価格を上げることは可能であると考えている。
そのため、当社では、安定供給と高品質の維持にはコストがかかるため、価格転嫁が必要であることをサプライヤーに理解してもらうようにしている。

Q.現在の会社全体の稼働率はどの程度か?また、今後の生産能力についてはどのような見通しか?

A.現在の会社全体の稼働率は高い状況である。また、生産能力を更に向上させれば、引合も増えて販売数量も伸びると考えているが、生産能力向上のための建築費が高騰しているため、比較的付加価値の低いジェネリックやOTC医薬品の販売数量を伸ばすために設備投資を進める戦略は困難であると考えている。
そのため、建築業界の市況によるももの、今後は上述のとおり付加価値の高い製剤に注力しつつ、生産能力の向上は、スキルの向上や生産の効率化によって進めていく方針である。

Q.第十製剤棟の新設によって、全社の生産能力はどの程度上昇する見込みなのか?また、第十製剤棟の現在の稼働率はどの程度か?

A.本社工場の生産能力は30%程度上昇する見込みである。
製薬会社や医薬品の工場では、規制上、各製品が安定して製造できるかどうかの検証作業が品目ごとに必要となるため、竣工後すぐに稼働できるわけではない。8月から1品目の生産着手を予定しているが、現在の稼働率はゼロである。ただし、引合は多数あり、案件を決めて準備に取り組んでいる状況である。稼働率については今後、2~3年かけて100%に近づけていく方針である。

Q.新中期経営計画に記載されている2027年5月期の売上目標である570億円は、第十製剤棟がフル稼働した前提の数字ということか?

A.その認識で問題ない。また、中国ビジネスの強化による事業拡大も含まれている。

Q.前期の製剤の製品売上が約230億円であり、30%の生産能力向上と今後2~3年の薬価の下落を加味すると、2027年5月期の売上目標570億円と前期売上約469億円の差分である約100億円の内、約40~50億円は国内ビジネスの売上増加分という認識で正しいか?

A.基本的にはその認識で問題ない。

Q.2027年5月期は、今期よりも収益性や効率性は向上していると考えていいか?

A.その認識で問題ない。現在の大型の設備投資によって、減価償却費は中期経営計画期間の2年目をピークとして減っていく一方、売上は右肩上がりで伸びていく想定なので、2027年5月期は現在より収益性が向上していると考えている。
なお、今後強化していく中国ビジネスは国内ビジネスよりも利益率が高いと考えているため、収益性向上に貢献していくと考えている。

Q.中国ビジネスは市場の成長率が高く、参入後は容易に事業を成長させられるのか?それともリスク等があるのか?

A.中国ビジネスは製剤で海外に進出する当社として初の試みであり、現在はジェネリック製剤の承認申請中である。承認が取れるかが不明瞭であり、リスクとして捉えているが、承認を得られればしっかり売上を上げることができると考えている。

Q.初めての中国国内向け製剤の承認はいつ頃に取得できると考えているか?

A.一般的に申請から承認までは約1年かかり、2023年9月の承認申請からもうすぐ1年が経過するため、いつ承認が下りてもおかしくない状況であるが、具体的な承認時期は不明である。

Q.新規ビジネス参入について、オーファンドラッグビジネスは来期から業績に寄与する想定か?

A.オーファンドラッグビジネスは新薬領域のビジネスであり、商談があっても、現在はまだ臨床開発中である。そのため、業績に寄与するタイミングとしては、この度の中期経営計画2027には見込んでおらず、その次の中期経営計画期間中になる。

Q.今期1Qの為替や収益性等、業績について気にしておくべきポイントはあるか?

A.前期から大きな変化はないと考えている。

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