7374 コンフィデンス・インターワークス 1Q後取材 20240821【初回取材】
2024/09/03
2024/09/03
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スピーカー: CEO
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Q. 事業の成り立ちから現在までの経緯はどのようになっているか?
A.人材業界とゲーム業界の双方で経営者として大きな功績を収めた方より出資を受けたことが契機となり、ゲーム業界に特化した人材事業を手がけることとなった。
Q.インターワークスとの合併の背景も含め、今後の事業拡大の方針をどう考えているか?
A.コンフィデンスとしては、創業時からゲーム業界に特化した派遣・受託で事業を拡大させてきたが、より網羅的に特化業界内における求職者・クライアントニーズに対応するため、サービスの拡充が必須であると考えていた。人材紹介・メディア・採用支援サービスに関しては立ち上げたばかりで事業基盤が整っていない部分も多かったため、インターワークスとの合併による補強によって、人材サービスのラインナップが網羅されたことは大きなメリットがあった。
一方で、合併によりゲーム業界特化というブランディングが多少曖昧に見えている点は現時点でデメリットとなっているが、上述の通りゲーム業界を皮切りに今後、様々なニッチ領域のトップポジションを各方面に広げていくことでリブランディングしていきたいと考えている。
また、派遣・受託事業に関しては、組織的に大きな課題はないが、ゲーム業界全体の業界トレンドの影響を受けることで成長が鈍化するなど、当社もその煽りを受ける可能性があるため、いかなる状況においても成長性を維持できるよう、新規事業の立ち上げや派遣領域の開拓等にも力を入れていくべきと考えている。
Q. 企業として目指す姿はどのようなものか?
A.総合人材サービス業界は、大手による市場の寡占化が進み資本力が勝敗を分ける部分もあるのではないかと考えている。一方で、大手の注力しないニッチな領域であれば十分に勝機はあるため、まずはニッチな領域でトップを獲ることによって売上高を数百億円規模まで成長させていき、業界内で相応のプレゼンスを持つ会社にしていきたい。また、狭く絞り込んだターゲティングで、業界・クライアントに深く、網羅的に入り込むことによって、これまでに無かったような人材サービスを生み出し、業界の人材課題解決を担うキーカンパニーへと成長していければと考えている。
Q.メディア&ソリューション事業について、転職求人メディア「工場ワークス」の主要顧客はどこの企業か?
A. 大手から中小の製造メーカーおよび製造業向けの大手人材派遣会社が主要顧客である。
Q. HRソリューション事業(ゲーム・エンタメ業界)について、競合他社との差別化についてどのように考えているか
A. 先行している各社のビジネスモデルには非常に注目しており、プロモーション分野で相当の売上高を確保している会社や、ゲーム分野についてもIPライセンス事業や開発受託事業等で豊富な実績を持っている会社、ITやWEB領域に事業範囲を広げている会社もあるため、今後の当社の事業領域の展開の参考にしたいと考えている。
一方で、当社の強みはスタッフィングであるため、基本的に人材派遣や人材紹介、フリーランスマッチングを軸にしつつ、付随するサービスの受託を拡充していくことで、HRソリューション事業(ゲーム・エンタメ業界)の売上高100~120億円程度を目指していきたい。
Q. 中長期的には、ゲーム業界の人材サービスの売上高はどのように推移していくと予想しているか?
A. ゲーム業界全体の業績悪化の影響を受ける可能性はあるものの、現時点でも業界において当社のプレゼンスは一定程度確立されており、今後も、顧客企業の現場のキーマンと密な関係構築を継続し、評価を維持していくことで、ゲーム業界全体の景気回復による恩恵を受けて、売上高を成長させていきたい。
ただし、ゲーム業界の市場全体の回復まで一定の時間を要すると考えているため、当面は将来的に考えていた周辺領域開拓による事業拡大を前倒しで進め、他カテゴリーでの成長を狙っていきたいと思っている。
Q. HRソリューション事業について、直近では稼働人員数が横ばいとなっている要因は何か?
A.ゲーム業界の業績悪化によりスマホタイトルの新規開発案件や既存タイトルの大型アップデート案件等が減少しており、特に大手企業が開発費や人件費等の予算は縮小している。その結果、より少数精鋭化に向けて高度なスキルを持つ人材のみが求められており、あまり難易度の高くない業務に対する受注が減少していることが要因の一つである。
一方で、対策として受託案件の獲得やフリーランスマッチングなど、クロスセルの拡充により受注減少分を一定程度補うことができているため、稼働率自体は今後も維持可能と考えている。
Q. HRソリューション事業における稼働人員数について、派遣・業務委託(フリーランス)・受託の中でどの形態で増加させたいなどの考えはあるか?
A.業務委託はハイレベル人材が多いため単価は高い一方で、受託は、例えば、デバッグ作業であれば単価が低いなど、業務内容により変動するが、しっかりと売上高及び売上高総利益に貢献してくるため、特定の形態にこだわりはなく、全体を伸ばしていきたい。
Q. HRソリューション事業の稼働人員の増員について、短期的にはどのような方針か?
A.積極的に増員してシェアを拡大していくことが将来の大きな成長の足掛かりとなるだろうと考えているが、ゲーム業界全体の業績悪化は、当社の業績にも一定程度悪影響があり、成長鈍化に繋がる可能性もあるため、今後の動向を踏まえて慎重に考えていきたい。
Q. HRソリューション事業について、採用費はどのように推移していくと予想しているか?
A.当社側である程度採用費をコントロールすることは可能であり、大幅な高騰等のリスクは低いと考えている。一方、高度なスキルを持つハイクラス人材の需要は高く、そうした人材を十分に確保できる手法が確立されれば、積極的な投資も検討していきたい。
Q. HRソリューション事業_派遣・受託の1Qの業績をどのように評価しているか?
A. 反省点は多く、本来であればもう少し業績を伸ばす余地はあったと考えている。クライアントの評価や発注優先順位等は依然高い水準を維持していると考えているため、今後は、スキルアップ講座等の拡充による技術レベル向上やクライアント企業への提案力向上により、しっかりと市場に向き合い、安定的な成長を目指していきたいと考えている。ただし、事業環境全体の影響も考慮して他事業も含めて成長投資の優先順位を付けながら対応を検討していきたい。
Q. HRソリューション事業_紹介が対象としている具体的なミドル・ハイクラスの人材の案件の詳細はどのような内容か?また、そのような人材を求めている顧客はどのような企業か?
A. 電機/自動車/化学/消費財メーカー、建設/不動産、再生エネルギー、IT、先端技術、金融、コンサルティングファームなどの業界企業ごとに、年収600-1200万円のミドルハイクラス人材を中心に企業と候補者の双方を担当コンサルタントが対応する両面型スタイルで人材紹介を実施している。
Q. HRソリューション事業_紹介について、直近2年間でキャリアコンサルタントを大きく増員した背景は何か?
A.ベンチマークとする競合他社よりも優位性を確立するための増員である。競合他社よりも優位性を確立するためには、産業別に部門を組織し、派遣人材からハイレベル人材まであらゆる人材を集客可能な体制を構築することが必要であり、増員と併せて、ゲーム業界における人材派遣で培った知見を活かしながら、当社の強みを磨いていきたいと考えている。
また、Web3に特化したHRテック系の会社であるプロタゴニストを買収した結果、大手の競合他社等ではアプローチできない人材のマッチングに成功するなどの一定の結果が出始めており、今後もこうした取組みを加速させていきたい。
Q. HRソリューション事業_紹介について、2025年度のキャリアコンサルタント数は前年度比で微増に留まる見込みである要因は何か?
A. 2024年度で大幅な増員は完了し、今後はキャリアコンサルタント一人当たりの生産性を高めていくことに主眼を置いていきたいと考えているためである。単に増員するだけでなく、採用後のパフォーマンスをしっかりとモニタリングして必要な人員を厳選していくことにより、健全な新陳代謝が働く筋肉質な組織へ昇華させていくことを目指している。
Q. HRソリューション事業_紹介について、今後は売上高向上だけでなく、セグメント利益率を向上させていくという理解で良いか?
A.基本的にその理解で合っている。
Q. メディア&ソリューション事業について、求人広告と採用支援はどのようなビジネスモデルか?
A. 求人広告は、「工場ワークス」へ求人を掲載した場合の掲載料収入、または求職者が掲載会社の面接まで進んだ場合の成果報酬型の収入を得る方式のいずれかであり、最近は成果報酬型のニーズが高まっている。
採用支援は、RPO(=採用業務代行)による業務委託収入を得る方式である。なお、「工場ワークス」は、2017年度~2019年度にかけて業績が良かった一方、競合他社の台頭や、コロナ禍による製造業の稼働低下に伴って、2020年度~2023年度は厳しい環境であったが、依然として老舗メディアとしてのドメインパワーは健在であり、業績はかなり回復している。
Q. メディア&ソリューション事業_求人広告における主要なKPI推移について抑えておくべきポイントはあるか?
A. 求人掲載数について、コロナ禍による工場の停止が収束した2022年度は掲載数が増加し、その後は強い売り手市場が続く中、掲載料方式ではなく成果報酬型方式のニーズが高まっており、2022年度をピークとして掲載数は減少又は横ばい傾向にある。なお、求人広告における成果報酬型方式の割合が高まってきた時点で、独自のKPIの設定も検討していきたい。
Q. メディア&ソリューション事業_求人広告について、追加的なコストや対応が発生することはあるか?
A. 概ね対応は完了しており、基本的に追加的なコストが発生することはない。具体的には、成果報酬型方式の割合が高くなることにより、求職者の面接確約までのフォローアップに工数を割く必要が出てきたため、営業人員をフォローアップ人員へ配置転換するといった組織再編等の対応を行った。
Q. 御社のコア・コンピタンスや今後目指す姿は何か?
A. 業界を細分化し、ターゲット市場を明確化し、その市場の求人案件を網羅的に獲得できる営業力、求人条件を満たす適切な人材を確保できるリクルーティング力、企業とその人材をマッチングできる組織を効率的に運用できる能力等が当社のコア・コンピタンスであり、市場を特化した上で人材紹介・人材派遣・フリーランスのマッチング全てを自社メディアを通じて一気通貫で対応できる体制を実現したいと考えている。
Web3等のニッチ市場やゲーム業界では比較的短期間でこれを実現し、製造業・DX等の大きな市場では、DX×マーケティング・DX×エンターテイメントといった掛け算による細分化でニッチ市場を定義し、その上で市場規模10億円程度を見込める分野を狙っていきたい。
Q. M&Aを行う上での戦略はあるか?
A. 当社のターゲット市場であるゲーム・エンタメ業界とも親和性の高いニッチな分野に強みがある会社や当社の弱みを補完できる技術を持つ会社で、最低でも企業価値10億円、可能であれば20~30億円程度の規模の会社をターゲットにM&Aを実行していきたい。
現状は無借金でキャッシュも潤沢にあるため、現実的には20億円程度、魅力的な案件であれば50億円以上のM&Aを検討していく方針である。
Q. IR資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」記載の成長戦略について、事業ポートフォリオの「3-5年後(目指すべき姿)」記載の売上高目標はM&Aを加味した数値であるか?
A.M&Aは予測しにくい部分も多いため、自前で事業を成長させる前提での数値であるが、M&Aによって年数を短縮できるように積極的に検討していきたいと考えている。
Q. 株主還元方針について、今後の見通しをどのように考えているか?
A. 継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針とし、中期的な目標としてDOE10%(2024年3月期実績は8.2%)、配当性向30%を基準をしているため、株主還元は重要な要素としてとらえている。また、トップライン成長に向けた投資も必要と考えており、タイミングに応じて最適なキャピタルアロケーションを引き続き模索していきたい。
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