166A タスキホールディングス 4Q後取材 20241205
2024/12/17
2024/12/17
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Q.2024年9月期の販売件数についてどのように評価しているか?
A.タスキの販売件数はわずかに減少したものの、金額ベースでは堅調に推移した。一方、新日本建物においては、販売件数および金額ベースともに伸び悩む結果となった。
Q.2024年9月期におけるタスキの仕入KPIは95件であったのに対し、実績が93件となり計画を下回った理由は何故か?
A.建築費の高騰により、従来の20坪程度の小さな土地では採算が合わなくなり、現在では30坪〜40坪の大きな土地を取得して事業化を進めているためである。その結果、一軒当たりの土地の取得費や建築費が上昇し、従来は3億円程度であった販売価格が、現在では4億円〜5億円程度になっている。
Q.ホテル事業への参入について、他社が既に参入している現状を踏まえ、御社としてはどのように考えているか?
A.ホテル事業はレジデンス事業と比べてアップサイドが狙えるため参入する企業が多いが、都内のホテル事業では高層の物件が多くなり、事業期間が長期化する傾向がある。一方で、当社は事業期間を短くすることをコンセプトとしているため、ホテル事業への参入はせず、従来型のモデルを維持していく方針である。また、レジデンス市場では賃料の査定額が上昇しており、建築費の上昇分を賃料の上昇分が相殺することで、半年から1年後には正常なマーケットに戻ると予想している。
Q.現在の土地の仕入れ状況についてはどのように考えているか?
A.タスキは絶好調だが、一方で、新日本建物は競争が激しいためやや苦戦している。
Q.タスキと比べて新日本建物の競争が激しい理由は何故か?
A.新日本建物が取り扱う物件サイズは50坪~100坪であるが、ホテル事業者が取り扱う物件の立地や規模感と重複するため、競争が激しくなる。
Q.ホテル業界との競争激化を踏まえ、2025年9月期に向けて、ビジネスモデルを変更するなどの対策を講じる方針はあるか?
A.タスキは現状のビジネスモデルを継続する予定だが、新日本建物はホテルの立地と重複する部分があるため、重複しない都心の場所を厳選して事業を展開していく方針である。例えば、六本木の中でも駅から少し離れた住宅地等を狙っていく。
Q.新日本建物の4Qの粗利率が下振れた要因は何か?
A.以前に仕入れた物件の建築費が予算と合わなくなり、低価額で売却したことが要因であるが、これは一過性のものである。
Q.新日本建物の4Qの販管費が他四半期と比べて少ないが、コスト削減等の施策をしているためか?
A.大きなコスト削減は行っておらず、4Qは直接販売の割合が多かったため、他四半期と比べて販売手数料が減少した。
Q.タスキの業績が好調である要因は何か?
A.事業環境の追い風が吹いていることが挙げられる。コロナ禍が明けてから、国内投資家に加えて海外投資家が増加し、高値で物件が購入されている。
Q.海外投資家が増加している理由は何故か?
A.今なお続いている円安の影響があげられる。金利の上昇も見込まれるが、相対的に諸外国と比較すると東京の不動産は依然として割安感がある。当社の新築物件は4億円程度で、リファイニングを施した中古物件は8億円~10億円程度となっており、キャピタルゲインを狙う海外投資家のニーズに幅広く対応できている。
Q.リファイニング事業について、2025年9月期も業績は伸びる見込みか?
A.2024年9月期の資産残高は約80億円、売上高は約67億円であったが、2025年9月期の売上高の目標は97億円となっており、微増を見込んでいる。現在は、棚卸資産残高を積み上げていくフェーズであり、売上を伸ばしつつ棚卸資産残高を増やしていく方針である。
Q.2025年9月期の売上高の目標である97億円の内、ストック収益はどの程度存在するのか?
A.現状はストック収益ではなくフロー型の売却が多いが、今後はSPC型を増やし、アセットマネジメントフィー等の収益を増やす仕組みへと変更していく予定である。
Q.オーラの今後の事業方針について、別途開示する予定はあるか?
A.今後は、新日本建物およびタスキが展開するマンション領域のIoTレジデンス事業と、中古物件領域であるリファイニング事業、そしてオーラが展開する資産コンサルティング事業について、商品区分ごとに売上高や粗利を開示する予定である。
また、オーラの売上高について、2024年9月期の実績は5ヶ月分の取り込みで37億円であった。2025年9月期は12ヶ月取り込みとなるため、売上高も大きく伸長する計画となっている。
Q.オーラが直近に開始したコインパーキング事業の主な目的は何か?
A.不動産オーナーとの長期的な関係構築を主な目的としている。
Q.中期経営計画でSaaS事業について重点的に説明しているのは、今後SaaS事業に注力する方針であるという認識で合っているか?
A.その認識で問題ない。不動産事業では実績が出ているため、グループ全体としては、SaaS事業においても業界を牽引するようなポジションを目指していく。SaaS事業は積極的に展開できる領域であると考えているため、今後注力していく方針である。
Q.TASUKI TECH LANDの導入社数が想定以上のペースで増加している理由は、不動産業者からのニーズが強いという認識で合っているか?
A.その認識で問題ない。コロナ禍が明けてから、不動産業界の中で変化の必要性が高まっており、課題解決ツールとしてTASUKI TECH LANDが選ばれている。2025年9月期の導入社数の目標は累計220社であるが、現状は1社あたり単価が低いという課題があるため、無料プランから有料プランへの移行等を通じて、単価を引き上げることが成長の鍵であると考えている。
Q.TASUKI TECH LANDの導入社数を増やすために、営業人員を増やす以外に抜本的な対策は考えているか?
A.最初は新興不動産会社をターゲットとしていたが、最近は比較的大規模な会社からの乗り換え案件も獲得できている。プロダクト自体は市場に受け入れられており、営業方法を変えつつ、営業人員を増やすことでシェアを伸ばせると考えている。現在、積極的に採用を行っており、営業体制を2人から5人に増強したことに加え、インサイドセールスも外部リソースを積極的に活用し効率化を図っている。
Q.TASUKI TECH LANDの導入ペースは想定通りか?
A.導入社数は想定通りだが、有料プランへの移行は想定より遅れている。不動産会社はランニングコストに費用を払う文化がないため、有料プランへの移行が遅れている
Q.TASUKI TECH LANDの競争環境についてはどのように考えているか?
A.価格面では圧倒的に当社が安価だったが、最近は他社も当社に合わせて価格を下げている。その中でもTASUKI TECH LANDが選ばれる理由としては、デベロッパー発のプロダクトであるため、実務有用性の高さが評価されている点であると考えている。
また、現在の導入先としてはデベロッパーが中心となっているが、最近は中小企業の売買仲介業者にも導入が進んできている状況である。売買仲介業者向けの機能を拡張して、不動産鑑定士や金融機関等にも展開していくことで、不動産業界全体のエコシステムを構築していきたいと考えている。
Q.売買仲介業者向けの機能とは具体的には何か?
A.例えば、ストレージ機能は、物件資料のやり取りの際の容量制限をなくし、一元管理を可能にすることで、複数案件を並行して管理する際の効率化に役立っている。
Q.SaaS事業のARRが3億円に到達すれば売上高50億円の規模が見据えられるという認識で合っているか?
A.その認識で問題ない。ARRが3億円に到達するとTASUKI TECH TOUCH & PLANが市場に受け入れられ、それ以降ユーザーを獲得できるフェーズになるため、ユーザー数が格段に増加していくと考えている。TASUKI TECH LANDが1社あたり5万円~10万円と安価に提供しているのに対し、TASUKI TECH TOUCH & PLANは1アカウントあたり月額10万円で提供しており、ユーザー数が増えれば売上も増加していく。
Q.2027年9月期のARR目標の12億円を達成するために、「月額ARPU 21万円×470社」という目標を掲げているが、TASUKI TECH TOUCH & PLANの販売が急速に拡大することで達成可能であると考えているのか?
A.その認識で問題ない。通常、設計士に図面作成を依頼する場合、1件あたり約10万円かかるが、TASUKI TECH TOUCH & PLANは月額10万円で何回でも利用できるため、TASUKI TECH TOUCH & PLANが選ばれる可能性が高いと考えている。
Q.機関投資家からの反応や、期待されている点は何か?
A.統合によりLife Platform事業の不動産売買におけるフロー収入の割合が高くなっているという印象を持たれている。売上高はLife Platform事業の方が大きいが、SaaS事業は売上高に対し50%以上の売上総利益を見込んでいるため、今後大きなインパクトになることが期待されている。
一方で、Life Platform事業も順調に成長しており大きな利益が出ているため、SaaS事業が連結利益ベースで半分以上になるにはまだ時間がかかると考えている。
しかしながら、現在時価総額は400億円程度まで上昇しており、経営統合やM&Aを行いつつ、企業として新しいフェーズに来ていることは評価できるポイントであると考えている。
Q.中期経営計画発表後の組織体制、今後の組織作りについて?
A.10月にコーポレート部門を統合し、ある程度体制は整えられた一方で、事業部での採用面を強化し更に体制を整えていくことが必要であると考えている。
Q.採用面の強化について、どのような層の採用を強化していく予定なのか?
A.エンジニアはリファラル採用で増加しているため、不動産営業の採用を強化していく必要がある。当社の場合、インセンティブ割合は高いが固定報酬は平均的であるため、市場に合わせて報酬戦略を検討していく必要がある。
Q.上場している不動産会社の内、従業員一人当たりの売上高が2位(タスキ単体の売上高ベース)とのことだが、その要因は何か?
A.状況に応じて外部リソースを活用していることや、販売部門を持たず銀行や証券会社と提携して販売していること、土地に合わせて建物の企画を作るのではなく、自社の企画に合う土地を探して事業展開していることなどにより、他社と比べて効率性が高いことが要因であると考えている。
Q.新日本建物においても、タスキと同等の効率化をすることは可能か?
A.タスキは他社との差別化要因を見つけて効率化を実現してきたため、グループ全体でも同様の取り組みを行っていきたいと考えている。
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