6620 宮越ホールディングス 2Q後取材 20241216【初回取材】

2025/01/09

2025/01/09

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株探 バフェット・コード

スピーカー: IR
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Q.今日に至るまでの事業の経緯はどのようになっているか?

A.代表取締役会長兼社長の宮越が1966年に創業した。創業当時は国内で電子部品を製造していたが、その後音響機器、映像機器メーカーとして主に海外に輸出していた。中国事業においては、日中国交正常化後の、1977年に中国政府の李先念副総理(のちの国家主席)の要請を受けて日本企業で初めて上海に進出した。その後、中国との関係が深化していく過程で、1987年に、新たに経済特区に指定された深圳市に進出し音響や映像機器等の家電全般の現地生産を開始した。当社が徐々に生産を縮小させると同時に、当時使用していた工場を日系企業や現地のスタートアップ等に貸与した。これらの工場の賃料収入が、現在の当社の売上として計上されている。なお、当社による生産は全て停止している。
6, 7年前に、深圳市の当時副市長(現グレーターベイエリア弁公室主任)より、深圳市が中心地となっているグレーターベイエリアの再開発事業を委託されており、新型コロナウイルスによって遅延が生じていたが、2年ほど前から徐々に再開し、現在は佳境に入っている。
中国の各都市では海外からの企業誘致が主な政策となっており、企業誘致競争が激化している中、当社は深圳市において日米欧の100社以上の企業誘致進出意向書を取得し歓迎を受けている。

Q.今後、どのような事業を展開する計画か?

A.現在深圳市に127,000m²の土地の使用権を保有しており、このうち22,000m²に高さ250mのオフィスビルを2棟、高さ150mの賃貸住宅を1棟建設することが先行して決まっている。また、隣接している西側の土地29,164㎡については協議中であり、残りの土地は深圳市に返還し、深圳市が大学誘致や教育施設及び道路建設等の公共事業を行う予定である。当社はこのオフィスビルに企業を誘致して家賃収入を得ることを一つのビジネスモデルとしている。
また、土地の使用権が残り13年となっているが、新たに50年の土地使用権を取得する。

Q.土地の使用権は、貸借対照表では土地使用権として表記されているという認識で間違いないか?

A.その認識で間違いない。現在の評価額では約600億円程度だが、取得時の価格で資産計上し減価償却も進行しているため、数億円程度となっている。

Q.具体的な収益源泉は何か?

A.主な収益源泉としては、建設したビルからの家賃収入と、入居した企業が中国で事業を拡大するためのサポートを行うことで得られる収益である。中国でビジネスに新規参入する場合、人材の獲得や情報収集が困難であるため、中国商務部の協力を得て、13省4直轄都市の情報ネットワークサービスを提供し、入居後のコンサルティングやM&Aに関与することで収益を獲得することを目標にしている。

Q.中国に対して不安を抱く投資家が多い中、今後の中国に対してはどのような見方をしているか?

A. 今後の中国については、1) 世界最大級の人口と拡大する中産階級による巨大な内需市場、2) AI、EV等先端分野での技術革新と政策支援、3) WTO、APEC、G20等組織を活用し先進国との貿易投資強化を図りつつ、BRICS、一帯一路構想を通じた新興国・途上国との連携強化が大きな魅力として挙げられる。拡大を続けるBRICSは、世界人口の45%を占め、GDPでは世界全体の約35%に達しており、その最重要国である中国に対して、日本、欧米はもとより、アジア・アフリカはじめ世界の新興国は、今後の中国マーケットのポテンシャルの高さに注目しており、中国国内のビジネス拡大を検討している。

Q.今後も中国に事業を集中的に展開するという認識で合っているか?

A.その認識は間違っている。中国事業で計上された利益は、今後中国だけではなく日本及び欧米・アジアへの投資に充てることで、一極集中を避けて各地域の比率を上げていく予定である。

Q.現在の中国における全体的な事業の状況はどのようになっているか?

A.大手企業は中国市場のポテンシャルを評価して投資を継続しているが、競争力のない企業は撤退しており、二極化が進んでいる。特に、電子部品や医療機器等、付加価値の高い製品の製造を行っている企業については中国での事業拡大を加速させている。また、飲食業界についても中国でのビジネスを拡大させている傾向がある。

Q.土地の使用権を中国に接収されるリスクはあるのか?

A.そのリスクはない。

Q.現在の懸念事項やリスクはどのようなものがあるか?

A.建築したビルの延床面積が合計して430,000m²あり、2029年から2030年までに入居契約を確実に締結させることが喫緊の課題であると考えている。そのため、ビルの設備だけでなく、情報ネットワークサービスを提供することで付加価値を増加させ、入居契約を確実に締結しようと考えている。

Q.貸借対照表に掲載されている長期貸付金は、ワールドイノベーションセンター(WIC)に関連する貸付金であるという認識で間違いないか?

A.その認識は間違っている。日本に比べて海外では金利が高いため貸付による運用を行っており、開発の進捗に合わせて回収していく予定である。

Q. 深圳プロジェクトにおける建物の建設費用はどのくらいかかると考えているか?

A. 建設費用は、800億円から900億円を見込んでいるが、中国での不動産不況の影響で資材価格が下落しているため、想定から1割ほど安くなる可能性がある。資金調達に関しては、200億円ほどを自己資金で賄い、残りは中国の銀行から融資を受けることが決まっている。

Q.エクイティファイナンスを行う予定はあるのか?

A.当社はオーナー企業であり、オーナーの株式保有率の低下を避けるため、エクイティファイナンスを行う予定はない。

Q.利回りはどの程度になると考えているのか?

A.収益は家賃収入とコンサルティングサービスによるイノベーション収益の二つに大きく分類される。
イノベーション収益は、深圳市にある有望なスタートアップ連携サービスや経済・産業が発達している中国の13省4直轄都市とも連携できるサービスを提供し、対象企業の調査・分析・交渉・クロージングまで当社が請け負う。また、企業が入居する前後の事業として、ビジネスマッチング、M&Aコンサルティング、業務提携支援及び人材紹介事業を仲介することで収益を得ることを考えている。
全てのテナントが埋まり、入居前後に実施する上述のコンサルティングサービスを展開すれば、投資金額を8年程度で回収可能と考え、営業利益率は60%ほどになると見込んでいる。

Q. 深圳プロジェクトの主な費用は建物の減価償却費や営業の人件費であるという認識で間違いないか?

A.その認識で間違いない。加えて、設計費用、コンサル費用等が発生している。

Q.中国の建物の耐用年数は何年か?

A.減価償却の年数は20年の定率法である。現在中国の建物の質は向上しているため、変動する可能性はあるが、当面は20年で考えている。なお、建物の実際の使用年数について、当社は日本品質で百年建築を目指している。

Q.土地の使用権にはどのくらいの費用がかかるのか?

A.深圳市政府の規程で研究開発の建物部分(オフィス)の土地使用権には費用がかからない。その代わり、商業、住宅に対し延床面積を基準に費用が掛かる。なお、現在想定している費用は期間50年で約100億円である。

Q.稼働率はどのくらいを想定しているか?

A.100%の稼働率を目標とし、常に5%の入居希望先企業をウエイティングさせる計画であり、ハード面だけではなくソフト面を充実させ中国ビジネスの課題解決のソリューションを提供する。
例えば、深圳市にある有望なスタートアップ連携サービスや経済・産業が発達している中国の13省4直轄都市とも連携できるサービスを提供し、中国ビジネスで困難な、人材や情報をスピーディーに入手可能にし、付加価値をつける計画である。

Q.設計は日建設計が担当しているのか?

A.日建設計が担当しているが、現地の設計会社も担当している。また、日本のスーパーゼネコンが施工管理を行う可能性もあり、品質の向上が期待できる。また、WICは環境の持続可能性発展の面において、国際認証LEED、WELLの認証レベルは「プラチナ」、中国グリーン建築は「3星」の取得を目指している。

Q.2024年5月13日のリリースでは具体的に何を開示したのか?

A.ワールドイノベーションセンタープロジェクトの実施主体としての申請を深圳市が確認して公示し、公に意見を求めた(パブリックコメント)ことを開示した。

Q.2024年7月16日のリリースでは具体的に何を開示したのか?

A.規劃案にあったゴミ集積場について、他地域への移転を要請したことを開示した。

Q.2024年7月22日のリリースでは、ワールドイノベーションセンタープロジェクトのメンバーについてのリリースであるという認識で間違いないか?

A.その認識で間違いない。現在、現地の人材を10人採用しているが、開発関係人材10人ほど増員する予定である。

Q.2024年9月6日のリリースでは、具体的に何を開示したのか?

A.日建設計及び深圳市華陽国際工程設計株式有限公司と設計契約の締結についての承認決議を行ったことを開示した。日建設計は設計コンサルタントとして、深圳市華陽国際工程設計株式有限公司は設計会社としてワールドイノベーションセンタープロジェクトに参画する。
また、2024年10/25日のリリースでは、契約の締結が完了したことを開示した。

Q.実施主体として確認することに関する公示と開発許可は異なるものであるという認識で間違いないか?

A.その認識で間違いない。今後開発の詳細に関する認可が必要である。現在、建物の仕様は概ね確定しているので、ゴミ集積場の移転や、人や車の動線について打ち合わせを行なっている。

Q.開発許可はいつ下りる見込みか?

A.当社としては年内を予定していたが、ゴミ処理場の移転先がまだ決定していない。中国の旧正月である2025年1月末までに許可が下りることを期待している。

Q.今後の見通しはどのようになっているのか?

A.プロジェクトの収益性について、投資家向けに開示する予定である。また、人材採用も積極的に行っていく予定である。

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