4572 カルナバイオサイエンス 4Q後取材 20250326【初回取材】

2025/04/11

2025/04/11

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株探 バフェット・コード

スピーカー: IR
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Q. 創業から今日に至るまでの事業の経緯はどのようになっているか? 

A. 当社の主要メンバーは、元々カネボウで創薬研究に従事していたが、経営悪化に伴い1999年に医薬品部門がオルガノンに売却されて、研究部門もオルガノンの日本研究所となった。当時、オルガノンは世界約30位の規模で、米国におけるうつ病治療薬販売により高い成長率を誇っていたが、2002年の特許切れに伴い、売上が停滞し始めた。同年8月の特許切れからわずか2か月後にリストラの計画が出たことを受けて、研究所の幹部がスピンオフする形で当社を2003年4月に設立し、同年8月から神戸で研究活動を開始した。 

設立後は継続的な研究資金確保のために、他社の抗体をヒト型化して利益を上げながら、自社のパイプラインを臨床試験するという、抗体医薬企業であるPDLバイオファーマのビジネスモデルを参考に、オルガノンで培っていた技術を活用しキナーゼを製造販売しながら、キナーゼを用いた創薬を推進するビジネスモデルを開始した。その後、今日に至るまでに複数回のパイプライン導出や共同研究を実施している。 
2008年のジャスダックNEO上場及び2015年のヤンセンファーマへのパイプラインのライセンスアウトがそれぞれ大きな契機となっており、後者のヤンセンファーマのようなメガファーマとの取引実績は、その後の導出活動に好影響を与えている。また、ギリアドにもパイプラインを導出して、高いサイエンスレベルを評価されたことは、他社への良いシグナルとなっている。 

Q. 中長期的に、どの分野で創薬・製薬を目指しているか?  

A.経口薬は注射薬に比べて開発難易度が高いものの、患者にとっての利便性が高いため、経口薬の開発を基本目標としている。また、ターゲットの病気については、アンメット・メディカル・ニーズの高い、キナーゼが原因となるがん等としている。 
近年はメガファーマによるバイオベンチャーのM&Aが多く見られるが、当社はEXITすることなく、自社による臨床試験のPh.2にこだわらず、Ph.1でも好結果が得られればメガファーマと交渉を開始することで、世界の医薬品供給者であり続けたいと考えている。 

Q. 自社のパイプラインの中でどのパイプラインの注目度が高いか? 

A. 個人投資家は、ギリアドと共同開発しているDGKα阻害剤に注目しているように見える。しかし、ギリアドは情報開示に慎重であり、発信できる情報量は限られているため、実際に質問が多いのは、日本で臨床試験を実施中の3つのパイプラインについてである。 

Q. DGKα阻害剤について、現状と今後の見通しはどのようになっているか? 

 A. 現状、Ph.1は順調に進捗しており、進捗状況に応じて最大で630億円(=1ドル140円換算) の支払金を受け取れる契約となっている。なお、今後について、ギリアドは2026年にPh.2試験に移行予定と公表している。 

Q. 現在開発段階のdocirbrutinibについて、既存薬と比較した優位性は何か? 

A. がんへの投薬は治療体系が確立されており、認可時にどの段階で使用していい薬かが決められるが、docirbrutinibはファーストライン(=1次治療薬) として認可されることを目指している。臨床試験段階ではIbrutinibやPirtobrutinib等の既存薬が効かなくなった患者にも有効である可能性があり、かつ安全性も高いと期待されているため、上述の薬の代替薬として期待されている。 
なお、代替薬としてはメルクのNemtabrutinibも期待されているが、副作用が強い点とPirtobrutinibが効かない患者の一部にしか有効ではない。また、Pirtobrutinibは現在セカンドライン(=2次治療薬) として認可されているが、ファーストラインとして認可されると最も売れるようになると考えているため、ファーストラインとしての認可のタイミングで、docirbrutinibが代替薬として販売できると大きく売上を伸ばすことが出来ると考えている。 

Q. docirbrutinibの開発状況と導出活動の状況はどのようになっているか? 

A. 現在Ph.1試験の後半で複数の企業から接触を受けている状況であり、十分な対価が提示された段階で導出を検討する。 

Q. メガファーマによる買収や導出が増加している現状において、グローバルでの相場は上昇傾向にあるか? 

A. 近年はメガファーマによる買収や導出の価格が上昇しており、一昨年、昨年についてはバブル状態であったとも言われている。 

Q. sofnobrutinibの対象疾患である免疫・炎症疾患の市場規模は、血液がんと比較して市場規模が小さいという理解で良いか? 

A. その認識の通りであり、相対的には小さいものの免疫炎症疾患を対象とするBTK阻害剤の市場規模は大きく、ノバルティスはPh.3が終了したRemibrutinibで4,000億円、サノフィはTorebrutinibで3,000億円の売上をそれぞれ見込んでいる。特に、sofnobrutinibが重要な治療標的としている慢性特発性蕁麻疹の患者数は増加傾向にあり、人口の1%がり患しているとも言われる。ノバルティスは慢性特発性蕁麻疹の治療薬としてインターロイキン阻害剤を数千億円売り上げているが、通院による注射が必要なため、sofnobrutinibのニーズは大きいと考えている。 

Q. sofnobrutinibの開発状況、今後の見通し、導出活動の状況はどのようになっているか? 

A. オランダで臨床試験を実施しており、現在はPh.1が完了した状況である。なお、オランダで実施した理由は、上述のオルガノンが元々オランダの企業であり、メルクによるオルガノン買収時にアメリカ以外の全研究所が閉鎖した際に、閉鎖したオルガノンの研究所の元同僚が医療関係企業に分散し、指導を依頼した結果、オランダでの実施を提案されたためである。 
なお、sofnobrutinibはがん領域と異なり、炎症性疾患の知見が当社にないため、既に導出活動を開始している。 

Q. monzosertibの開発状況、今後の見通し、導出活動の状況はどのようになっているか? 

A. Ph.1において、用量漸増パートを実施中であり、固形がんについては、効果のありそうな患者のみを対象とした用量拡大パートに移行している。急性骨髄性白血病 (AML)についても試験中で、良好な結果が得られている。 
今後については、2025年中にPh.1試験を完了させ、その後、導出活動を検討する予定である。なお、市場規模については対象となる癌が完全に特定されているわけではないので現時点では未知数である。 

Q. 住友ファーマとの共同研究の進捗状況はどのようになっているか? 

A. 現在、前臨床試験段階であり、臨床試験に進む化合物を選択中である。2025年3月には共同研究の延長に合意しており、良好な関係が継続している。 

Q. 創薬支援事業の業績見通しはどのようになっているか? 

A. 2024年12月期は、アメリカのバイオベンチャーの資金不足による研究中止と中国での受注減少により減収となったが、2025年は業績が回復すると予想している。 

Q. 今後の研究開発費と損益の見通しはどのようになっているか? 

A.導出契約やマイルストーン収入の時期によって変動する。導出一時金やマイルストーン収入の計上がない場合、今後も年間20億円程度の赤字が見込まれる。 

Q. マイルストーン収入の使途についての方針はどのようになっているか? 

A. マイルストーン収入はdocirbrutinibの開発促進を最優先とし、合わせて、monzosertib等の自社パイプライン開発及び基礎研究にも投資していく。 

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