9245 リベロ 4Q後取材 20250312、20250319【初回取材】
2025/05/12
2025/05/29
Disclaimer
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スピーカー: IR
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Q.創業から今日に至るまでの事業の経緯はどのようになっているか?
A.創業者兼代表取締役社長である鹿島はサラリーマン経験がなく、サッカー、スノーボード、ウェイクボードの選手を経て、ウェイクボードのポータルサイト事業を立ち上げた。その後、事業を拡大するため、事業会社へ所属した際、常務取締役 経営管理本部長の横川と出会い、所属していた事業会社を同時期に退職した横川と共にリベロを創業した。
その後、賃貸の部屋を契約する際にインターネット回線の提供をするビジネスモデルをスタートし、不動産会社や引越会社との提携を拡大していったが、大手資本にビジネスモデルを模倣され、レッドオーシャンとなった。そこで、法人向けの転居者サポート事業に注力し、提携先である不動産会社や引越会社に送客するビジネスを開始し、実績を積み重ねることで大手企業との取引を実現した。
Q.現在の事業内容はどのようになっているか?
A.新生活を迎える転居者と、転居者向けのサービスを提供する企業をつなぐプラットフォーム事業を展開しており、特に新生活のスタートである部屋探しが事業の根幹となっており、部屋探しの件数に比例して業績は伸びていくと考えている。また、法人向け社宅の事業において、単なる社宅管理業務のアウトソーシングではなく、当社名義の物件を転貸借契約という形で提供している点について、ユニークであると考えている。そのため、成長性については法人の提携社数、転貸戸数を投資家には見てもらいたい。
Q.ビジネスモデルはどのようになっているか?
A.当社は、部屋を決める必要があり、入居確度が高い顧客を対象にした集客・送客を、広告費をもらわずに不動産会社へ行っており、入居が確定したタイミングで事務手数料として1万円をもらっている。近年スマートフォンやインターネットの普及により直接の集客が困難になる一方、不動産業界、引越業界では一部プラットフォーム事業者による寡占化が進んでいる。また、不動産業界では、部屋探しの手続きの煩雑さ、エリア・オーナーによる契約内容の差異、退去時の費用負担、仲介手数料が無料であるAD物件(=広告料を物件のオーナーから不動産仲介会社がもらう物件)の増加等、顧客にとって複雑なものとなっている。こうした環境の中で、当社は不動産会社に対して高確度・高収益性の顧客を送客する一方、その不動産会社が保有する管理物件や仲介顧客に対し、ライフライン・引越し等の関連手配サービスを提供することで収益を得ている。
将来的には人口減少により空室率が上昇し、入居者の獲得に大きな費用がかかることが予想されるため、安定した集客・送客が可能である当社サービスの価値が向上すると考えている。当社の賃貸住宅を転貸借するビジネスモデルは、空室を埋めることを目的としつつ、入居者向けには電子契約などDX化を当社が主体となって進めることができるため、入居者向けに柔軟なサービス展開が可能なビジネスモデルであり、現在の管理戸数が4万戸であるが、これを100万戸まで増加させることでさまざまなビジネスの展開が可能になると考えている。
家賃は毎月の支出の中でも特に高額であることから、当社名義の物件においては将来的に当社ブランドのクレジットカードによる決済の提供も可能になると考えております。これにより、オーナーや管理会社の枠を超えて、入居者向けに多様なサービスや決済代行を提供できる点が、当社の大きな強みとなります。さらに、入居時の審査を通じて取得した顧客情報を活用することで、各入居者のライフステージに適した広告やサービスの提案も可能になると考えています。
Q.競合他社との比較したときの強みは何か?
A.顧客と提携事業者のマッチングにおける提携事業者からの手数料収益や、システム化によるコスト削減により、顧客から直接収益を得ていない点である。これにより、顧客にとっては導入・活用のハードルが低くなっている。また、提携事業者との間で相互送客の仕組みを構築していることに加え、各業界が抱える課題に対して、同業他社同士が協力し合い、解決策を共創するプロジェクトの発足にも取り組んでいる。これらの取り組みにより、単なるビジネス上の取引関係にとどまらず、業界横断的かつ中長期的な視点での強固なパートナーシップ構築を実現している点が、当社ならではの優位性であると考えている。
Q.不動産会社向けサービスである新生活ラクっとNAVIの売上はどこから得ているのか?
A.ライフラインを提供している企業へ顧客を紹介した際に獲得する紹介手数料を売上として計上しており、ストック収益ではなくフロー収益の要素が大きい。
Q. 新生活ラクっとNAVIはどのような事業か?
A.当社が提携する不動産会社で転居をする転居者向けに、新居で利用できるライフラインを紹介するビジネスである。転居者は、複数のライフラインの中からサービスを比較することができ、当社を通して契約をすることもできる。当社を通してライフラインの契約を実施した際に、ライフラインを提供している企業から売上を獲得し、売上の一部を紹介料として不動産会社に支払う事業である。
転居者は、転居時の煩わしいライフラインの契約を任せることができ、不動産会社にとっては新居で利用可能なライフラインの案内を当社にアウトソースできる上に、収益に繋がっている。また、ライフラインを提供する企業にとっても、転居時の契約は長期契約を見込めるため、関係者全員にメリットのある事業である。
Q.不動産会社向けサービスの単価が2024年12月期に1,000円程度急上昇した要因は何か?
A.不動産会社向けサービスにおける単価向上の要因としては、社内オペレーションの見直しや体制の強化により、コールセンターの受注率が改善されたことが挙げられる。 加えて、 ユーザー数の増加に伴い、新生活関連事業者への送客件数が拡大したことにより通信キャリ アなどからの手数料収入が増加したことも、単価向上に貢献している。
Q.不動産会社向けサービスの中長期的な単価やユーザー数についてどのように考えているか?
A. 法人企業向けサービスの顧客の送客を継続し、不動産会社との信頼関係構築を推進することでユーザー数は今後も増加していく見込みである。また、単価については業務改善や受注率の向上、販売件数の増加による手数料交渉にて、上昇することができると考えている。
Q.不動産会社向けサービスの収益はどのように計上されているか?
A.収益はグロスで計上している。なお、不動産会社に支払う手数料は売上原価と販管費の二種類に分類され、ライフラインの開通等による成果報酬と、不動産会社から当社に連携される情報に支払う情報料で異なる。情報料は成約結果に拠らず手数料の支払いが必要となる。また、不動産会社との取引条件の変更により粗利が下がっていてもそれ以上に販管費が下がっており、利益率が上がるという点は留意してもらいたい。
Q.法人企業向けサービスはどのような事業か?
A.契約した法人企業の、社宅管理・お部屋探し・引越しの手配などを請け負うサービスであり、社宅管理費用は業界最安水準の一か月500円/部屋で、お部屋探し・引越しの手配は無料となっている。
当社の強みである、不動産会社・引越会社との強固なパートナーシップにより、法人企業の社内規定に沿った日本全国の物件手配が可能で、引越し手配に関しては、入札形式w引越価格の高騰を抑えながら、手配が困難な引っ越しシーズンでも99%以上の手配率を実現している。
Q.法人企業向けサービスで最も注力している事業はどれか?
A.社宅管理の事業が最も注力している事業となっている。
Q.ワンコイン転勤社宅の「ワンコイン」は何がワンコインであるのか?
A.法人企業から当社に業務委託する際の1戸当たりの管理手数料が500円という意味である。
Q.ワンコイン転勤社宅は、なぜ500円/部屋で提供できているのか?
A.業務のDX化を推進し、AIやシステム化などオペレーションコストを日々下げるよう努力している。それに加えて、新生活ラクっとNAVIで得られる収益があるため、法人企業からの委託に関するハードルを下げるべく、手数料を500円に抑えている。その結果、従来は予算制約上、委託が難しかった法人企業が当社を利用して、安価かつ効率的な社宅管理の委託をできるようになっている。
Q.法人企業向けサービスのメインターゲットは中小企業であるという認識で問題ないか?
A.当初は、中堅~中小企業を狙ったサービスであり、そのターゲット通りになっていたが、最近は大手企業や、大手企業のシェアードサービスのサポートを行うことも増えてきている。
Q.法人企業向けサービスの一部であるワンコイン転勤社宅とヘヤワリ、ベネフィット社宅の違いは何か?
A.ワンコイン転勤社宅は転勤時の社宅管理のサービスであり、転勤時の手間を楽にするものである。一方、ヘヤワリは当社が契約している企業の従業員の家賃を割引する福利厚生サービスである。ベネフィット社宅は企業の社会保険料の軽減や従業員の離職率の低下、手取りの増加といった効果が期待できるサービスとなっており、こちらも福利厚生としての側面が強い。
Q.法人企業向けサービスが細分化されているのは、転勤社宅を持っていない法人もターゲットにするためであるという認識で問題ないか?
A.その認識で問題ない。転勤社宅の管理戸数は全体で200万戸程度あると考えており、そのうち70〜80万戸はすでに大手の社宅BPO企業に管理されているため、残りの120万戸ほどはこれまで社宅管理業務の委託ができなかった企業の需要があると考えている。一方、福利厚生としての社宅の管理戸数は全体で約1,900万戸であると考えており、そのうち学生向けを除いた1,600~1,700万戸がターゲットになると考えている。
Q法人企業数や転貸戸数をKPIとしているが、四半期の業績はKPIからどのように評価したらよいか?
A.四半期の業績について、転勤は年度の開始時に多くなるなど季節性があるが、ヘヤワリやベネフィット社宅等の福利厚生として利用されるサービスは、新卒の入社時期に多くなるものの、各社の従業員の引っ越しタイミングによるため、非常に読みにくい。そのため、開示としては年間のユーザー数を開示している。
Q.法人企業向けサービスが転貸を行っているにも関わらず粗利率が高い要因は何か?
A.ネット計上を行っていることが要因である。
Q.2024年12月期における法人企業向けサービスのユーザー数36,478人は転貸戸数を利用提供した人数ではなく、新生活サービスを提供した顧客も含んでいるという認識で問題ないか?
A.お部屋探しや引越しの手配などの法人企業から社宅サービスの利用社数であるが、その中で新生活サービスを提供している人も存在し、ユーザー数として二重にカウントはしていない。
Q.法人企業向けサービスの顧客として社宅管理を利用する顧客が引越会社向けサービス、新生活サービスを利用した場合、収益は法人企業向けサービスの収益として計上される理解で良いか?
A.その認識の通りである。
Q.法人企業向けサービスの単価である44,407円の内訳はどのようになっているか?
A.社宅の管理費用が月額500円であるため年間6,000円となる。残りの38,000円は社宅に関連する火災保険、退去時の精算プラン、名義変更手数料等や、ライフラインの紹介手数料が計上されている。
Q.2023年12月期から2024年12月期にかけて法人企業向けサービスの単価が4,000円ほど上昇した要因は何か?
A. 上述の火災保険や退去時の精算プラン等の社宅のストックが増加したことや、コールセンターの生産性向上によりライフラインの案件の受注が増加したことが要因として挙げられる。
Q.法人企業向けサービスの今後の単価の見通しについてどのように考えているか?
A.具体的な数字は非開示だが、現状維持からさらに伸ばしていく必要があると考えており、社宅管理における新たなサービスの追加による単価上昇を考えている。具体的には、今年から保険代理店の業務や駆けつけサービス等の保証系サービスを開始しているだけでなく、企業が想定していない費用の保証サービスの企画もしており、企業にとって有益なサービスを提供することで単価上昇に向けた取り組みを行っている。
Q.管理戸数の増加に伴い単価が下落する可能性はあるのか?
A. 可能性はないとは言えないが、そうならないように前述の施策を含めた対策を進めている。
Q.副商材や追加サービスはどのようなものか?
A.火災保険の申込や企業からの共有情報を伝達する機能、家具家電セット販売や、引越しの保証サービスを行っている。
Q.法人企業向けサービスのユーザー数の見通しはどのように立てているのか?
A.顧客企業からの情報共有によって毎月の異動者数はある程度、前年比を基準に把握しており、毎月の予算に組み込んでいる。
Q.ライフラインの加入状況はどのようになっているか?
A.大前提として、転居者の方が納得してサービスを選べるように、それぞれのサービスにおいて複数のサービス提供企業と提携している。その上で、電気・ガスは必ず契約をするものであるため、最も契約が取れやすい。インターネットは自身で契約する顧客も多いが、引越しのタイミングで実施する場合、やるべき手続が多く手間になるため、当社を通して契約をする人も多い。
Q.引越会社向けサービスはどのような事業か?
A.引越しラクっとNAVIなどのWEB集客による収益と、引越し業界の課題解決のためのプラットフォームである「HAKOPLA」の収益で構成されている。
通常の一括見積サイトでは、情報を入力すると10社ほどから顧客に連絡が来るが、当社の引越しラクっとNAVIでは顧客情報を2~3社にしか提供していないため、通常の見積サイトを用いるよりも素早く見積りを出すことが可能となっている。また、当社が引越しのコールセンターの能力を保有しているため、顧客情報を一度ヒアリングするだけで引越会社に見積りを提示してもらうことが可能となる。
HAKOPLA内には、引越会社間の「引越し案件」「空きトラック」のオンラインマッチングサービス、協業による「人材」「倉庫」のマッチングサービス、「燃料」の共同購買、「幹線便」の共同利用等のサービスがあり、業界団体としてスケールメリットを活かすなどの協力体制構築を支援している。
また、業界全体の課題解決のために立ち上げた「引越業界の未来をつくる会」では、「売上向上」「コスト削減」「企業/業界価値向上」を掲げており、この業界団体から、引越業務の一元管理と DX 化を実現する引越専用業務管理システム「HAKO-Tec」や、コスト削減と人員リソースの確保を可能にする「資材の共同購買」などの取り組みが生まれている。
Q.引越しラクっとNAVIは引越会社から手数料を獲得するという認識で問題ないか?また、HAKOPLAは引越案件のマッチング時に手数料を獲得するという認識で問題ないか?
A.その認識で問題ない。HAKOPLAについては当該手数料に加えて、スケールメリットを生かした調達による利益や利用している引越会社から、各社が自社開発するよりもはるかに安価ではあるが、システム利用料を得ている。
Q.今後の人員体制についてどのように考えているか?
A. マザーズへの上場を契機に転貸戸数が拡大したため、直近の1〜2年は正社員を増員していった。今後は契約書の確認のために増員が必要となる可能性が高いが、当社作成の契約書ひな型を用いて、契約を進められるように不動産管理会社と調整を進めている。他にもAIを使った契約書レビュー等も進めており、これらの契約書関連のDX化がしっかり推進できると、人件費の抑制だけでなく、より多くの顧客獲得に注力できると考えている。
Q. 不動産会社向けサービスや法人企業向けサービスの売上原価はどのような費用が含まれているのか?
A. 上述のとおり、不動産会社向けサービスの主な売上原価は不動産会社に対する成果報酬が該当する。一方、法人企業向けサービスはほとんどの売上がネット計上されており、一部代理店への紹介手数料や、社宅管理事業にかかる原価のみ計上されている。
Q.2025年12月期の販管費の見通しはどのようになっているか?
A.営業人数の強化を考えており、10名程度の採用コストがかかると考えている。
Q.四半期ごとで販管費の増減が発生する要因は何か?
A.2Qと4Qに実施している展示会にかかる費用や、3,4月の繁忙期の派遣社員の人件費が要因である。
Q.2024年12月期の4Qで販管費が増加した要因は何か?
A.毎年12月は翌年から始まる繁忙期対応による人材採用にかかる費用が計上される。それに加え、昨年はパソコンの買い替えや、コールセンターの移転を行い、その費用が約3,000万円計上されていることが要因である。
Q.粗利率の目標はどの程度で考えているか?
A.今のビジネスモデルが大きく変わらない前提だが、今後も粗利率は上昇すると考えており、20%までは目指していきたいと考えている。
Q.キャピタル・アロケーションはどのように考えているか?
A. 当社では、キャピタル・アロケーションを成長投資と株主還元の両立という観点で考えている。転貸ビジネスを拡大していく上で、一部で前倒しのキャッシュアウトが発生するが、成長を見据えた投資は継続しつつ、株主還元の強化にも取り組んでおり、配当性向は30%と設定している。また、将来的なプライム市場への上場も視野に入れられるよう、今後は資本効率や財務健全性を意識したアロケーションを行っていく。
Q.今後注力する事業は何か?
A.法人企業向けサービスでは現在転勤のある企業をターゲットとしているが、転勤のある企業はこれから大きく増えない、むしろ減少することが予測されるため、転勤に関わらない社宅を取り込むべく、ベネフィット社宅のサービスを展開している。また、外国人就労者を採用する企業向けにインバウンド転貸サービスも開始予定である。
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