5587 インバウンドプラットフォーム 3Q、4Q後取材 20250924、20251210

2026/01/20

2026/01/20

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株探 バフェット・コード

スピーカー: CEO
P/E 13.3x P/B 2.22x (取材記事公開日現在)

Q. 創業から現在に至るまでの事業の経緯はどのようになっているか? 

A.当社は複数企業の事業を統合して設立されており、存続会社が設立された2015年を登記上の設立年としているが、現在のインバウンドプラットフォームという企業体が成立したのは2018年のことである。
私は、株式会社エアトリ(以下、「エアトリ」)において執行役員としてマザーズ上場及び東証一部への市場変更を経験し、2016年に取締役COOに就任した。
当時、インバウンド市場の拡大が予期される中で、エアトリで担当した買収や新規事業立ち上げの案件にインバウンド関連が多かったことや、自身が海外出身であることを背景に、インバウンド事業を統合・合併することで2018年にエアトリからカーブアウトする形で当社を設立した。

Q.エアトリからのカーブアウトは王氏が中心となって推進したという認識で問題ないか?

A.その認識で問題ない。

Q. 創業当初のWi-Fiレンタル事業から現在の移動関連サービスへ事業領域を拡大した背景は何か?

A.創業当初は、訪日外国人向けのWi-Fiレンタル事業を中心に、訪日外国人と日本人の両方をターゲットとしたキャンピングカーレンタルや、両替事業を展開していた。しかし、コロナ禍において訪日外国人が激減したことで、売上が大幅に減少した。
この経験から、訪日外国人だけでなく在留外国人へのサービス提供や、通信事業以外へのサービス範囲の拡大をコロナ禍にかけて推進した。当初は在留外国人に向けたメディア運営や医療機関の取次ぎサービス、不動産サービスなどを提供し、コロナ禍を経て事業基盤が安定した段階で、エアトリグループの得意領域である交通事業へ新たに進出し、ライフメディアテック事業において新幹線やバスチケット手配サービス、レンタカー手配サービス等を展開することになった。

Q.交通事業が得意領域である要因は、エアトリでの経験が背景にあるという認識で問題ないか?

A.その認識で問題なく、カーブアウト元のエアトリがオンライン旅行代理店(OTA)であったため、航空券販売を中心に、鉄道やレンタカー、バス等の様々な交通手段における販売方法やプロモーションのノウハウを十分に理解していた。その結果、サービスの展開やサプライヤーの確保を円滑に実行できており、次々に新たなサービスをリリースできている要因である。

Q.今後の事業ポートフォリオの展開をどのように考えているか?

A.中期的には、2024年以降にリリースしたサービスや新規事業の立上げにより、インバウンド関連サービスのラインナップを拡充させることで、更なるシナジー効果を生み出せるような横の広がりを持った事業拡大を目標としている。しかし、長期的にサービスを際限なく拡大させることは考えておらず、ある程度サービスが出揃った段階で各サービスの深化を推進しようと考えている。

Q.各事業間のシナジーをどのように考えているか?

A.事業間のシナジーは3点あると考えており、1点目はプロモーション面である。訪日外国人向け事業では、国や地域によって言語や使用媒体、検索行動やユーザー体験が異なるため、単一商材で多国展開するとコスト効率が悪化する。当社は先述の通り複数のサービスを展開していることや、多言語対応のオウンドメディアを保有していることにより、複数の国や地域に向けたマーケティングの効率化が可能になっている。
2点目はオペレーション面である。多言語対応が必要な訪日外国人向け事業において、単一商材のみの展開ではコールセンターの固定費が高く、コスト効率を悪化させる恐れがある。そのような中で、当社は多言語対応のコールセンターを保有しているが、各サービスのカスタマーサポートを一元化することより、固定費を全てのサービスに分散させ、コスト効率を向上させている。
3点目はクロスセルとノウハウの共有である。例えば、当社のWi-Fiを予約した顧客に対して、直前予約が多い新幹線の予約を適切なタイミングで促すといったクロスセルが可能である。また、あるサービスで成功した訴求方法を他のサービスに応用することが可能である。

Q.複数サービスを展開することで、オペレーション面で単一サービスに特化している競合に対する強みをどのように考えているか?

A.単一サービスに特化した企業は、先述のとおり、コスト面から多言語対応のカスタマーサポートを整備することが困難であるため、コストを分散した多言語対応の当社のカスタマーサポート体制は大きな強みであると考えている。

Q.複数サービスを展開することで、オペレーション面で単一サービスに特化している競合に品質面で劣ることはあるのか?

A.当社が展開しているサービスに対する問い合わせは高度な専門知識を必要とするものが少なく、一定の研修を受けたオペレーターで十分に対応可能であるため、品質面で劣ることはないと考えている。

Q. 2025年9月期の4Q単体及び通期の業績をどのように評価しているか?

A. 4Qの業績は大災害の予言による一時的な環境激化・将来への先行投資等の影響によりコスト増となったが、通期業績においてはインバウンドマーケットの好調さや広告の抑制等により、見込み通りの着地となった。

Q. 株価が軟調となっている要因をどう分析しているか?

A. 中国政府の日本渡航自粛要請が主な要因だと想定している。当社サービスにおける中国本土の顧客は実態として3%未満で、業績への直接的な影響は限定的だが、市場ではインバウンドプラットフォームという社名から、入国者数の多い中国からの顧客がメインと誤認されてしまい、ネガティブに捉えられたのではないかと考えている。IR情報として当社業績への影響について考えを開示しているが、継続的な情報発信・IR活動が重要であると認識している。

Q. 2026年9月期の通期計画については、2025年9月期4Qの売上や利益を基準として作成したという理解でいいか?

A. 4Qの売上や利益が前四半期で落ち込んだ理由は前述の通り一過性のものであり、現在は鎮静化して通常の状態に戻っている。今期の計画は9月末に決定し11月に開示したものであり、正常化した状況を前提としている。

Q. モバイルネットワーク事業の収益モデルは、稼働数×平均単価で算出されるという認識で良いか?

A.その認識で問題ない。

Q. Wi-FiからeSIMへの移行に際して収益モデルに変化はあるか?

A.eSIMはWi-Fiに比べて単価が低いため、eSIMの利用割合が増加すると、同等の顧客を獲得していても売上高が減少する。一方、利益構造はWi-FiとeSIMで大差はない。しかし、現在eSIM市場が黎明期であるため、顧客獲得競争が激化し広告宣伝費が高騰している。その理由は、eSIMは物理的なやりとりがないため、訪日旅行時のみならず、他国・他地域への旅行の際にも利用できるため、一度獲得した顧客が他国への旅行時などにリピーターとなり得るためである。そのため当面は広告宣伝費以外でコスト効率化を図りながら、新規顧客の獲得に注力するつもりである。eSIMへの移行期である現段階のうちに、積極的な広告宣伝費の投下を行っていく。

Q.eSIM事業に参入している事業者は、主にWi-Fiレンタル事業者が多いのか?

A.国内のWi-Fiレンタル事業者のほとんどがeSIM事業に参入しているが、Wi-Fi事業を手掛けたことのない企業も参入してきている。

Q.eSIM事業における各社の差別化点は何か?

A.回線の仕入れ先によって多少の価格差や利益率の違いは生じるが、各社で価格に大きな差はなく、差別化点はサービスの品質であると考えている。
具体的には、eSIM事業は新規サービスであり、顧客にとって不明瞭な点が多いため、データ残量の確認機能やインストールの簡便さ、データ容量の追加機能といったサービス内容が差別化要素となっている。
しかし、初めてeSIMを利用する顧客はサービス品質の差を理解することが困難であるため、現状はマーケティングによる認知の獲得が最重要事項となっている。

Q.eSIM事業における御社の優位性は何か?

A.当社は長らくWi-Fiレンタル事業を行っており、仕入れ元との関係値があるため回線の調達において優位性があると考えている。

Q.決算説明資料で開示されているモバイルネットワーク稼働数の内訳にある、「Japan Wireless」、「グロモバ」とはそれぞれどのようなサービスか?

A.Japan Wirelessは訪日外国人向け、グロモバは日本人向けのWi-Fi・eSIM提供サービスである。グロモバは、リモートワークや長期出張で利用するWi-Fi・eSIMを提供する国内利用向けのサービスと、海外旅行や海外出張時に利用するWi-FiとeSIMを提供する海外利用向けのサービスがある。

Q.モバイルネットワークの稼働数の伸びが2024年9月期ごろから鈍化している要因は何か?

A.Wi-FiからeSIMへの移行が進行していることが主な要因である。決算説明資料に記載のとおり、季節変動性はありながらもWi-Fiを利用した方のリピート獲得など稼働数を大きく減少させてはいないが、現状は競合環境の激化によりeSIMサービスの顧客獲得効率が図れていないためである。
その要因は、前述のとおり、eSIMは物理的な端末の受け渡しを必要としないため、参入障壁が低く、グローバルに競合が多数存在するためである。その結果、競合企業が強力なプロモーションを実施すると、当社の顧客獲得効率が悪化する可能性がある。このような状況に鑑みて、現状はコスト水準を見つつ、効率的なマーケティングを見定めつつ投下している。
今後は日本人向けのeSIM利用において、日本企業であるという信頼性や優位性を活かしてプロモーションを積極的に実施することも重要であると考えている。

Q.今後モバイルネットワーク事業では利益確保と投資のどちらを優先する方針か?

A.eSIMの顧客シェアを確保し、ライフタイムバリュー(LTV)を向上させることが重要であるため、足元は利益の確保よりも、積極的なプロモーションや品質の向上への投資を優先する方針である。

Q.eSIMの売上は利益率にどのように影響しているか?

A. eSIMは単価が低く、現在のマーケット環境では獲得単価もWi-Fiと同等かそれ以上のため、利益率は低下している。一方でWi-Fiよりもリピート率が高く、オペレーション費が低いため、LTVの拡大を見込み、eSIM黎明期より利用者数の獲得に注力している。長期的にはモバイルネットワーク事業の収益性は良くなる想定である。

Q. 今後の成長について、モバイルネットワーク事業は横ばいで推移し、主にライフメディアテック事業が業績を牽引していくという認識で良いか?

A. その認識で問題ない。

Q. 中国本土以外のアジア圏の顧客は全体の何割程度か?また、災害の予言が出た際の影響はどうであったか?

A. 約20%程度である。予言の影響として、顧客獲得競争が激化したことで獲得効率を優先したことで、獲得件数が減少した。これは中国本土からの旅行客減少を受けて、競合他社が中国本土以外のアジア圏の顧客へ広告出稿を強化したことに対し、当社は収益性の担保を優先して獲得効率を維持するために流入数を絞ったことが要因である。

Q. 4Qに実施した先行投資は中長期的な効果を狙ったものという認識で良いか?また、どのような効果を見込んでいるか?

A. その認識で問題ない。モバイルネットワーク事業において、eSIMに関するインフルエンサー動画の制作等、認知型の広告を出稿した。エンゲージメント向上に伴い、将来的に旅行需要発生時の想起、利用に繋がることを見込んでいる。また、一部新サービスの構築に向けた投資も行った。

Q. 2026年9月期の業績が好調に推移し計画を上回った場合、2027年9月期以降に向けて追加の先行投資を行う可能性はあるか?

A. その可能性はあるが、どの程度を先行投資に回すかは長期的な成長に資するものかどうか吟味し、決定する。その場合には、市場に対してきちんと説明責任を果たす考えである。

Q.ライフメディアテック事業のビジネスモデルはどのようになっているか?

A.主に新幹線やバス、レンタカーの検索・予約・購入ができるプラットフォームを運営しており、OTA(オンライン旅行代理店)と同じ形態のビジネスモデルとなっている。なお、収益は、顧客からの手配手数料を計上している。そのほか、webメディア運営、不動産情報提供・賃貸仲介、医療機関取次などを展開している。

Q.ライフメディアテック事業は、エアトリでの知見をビジネスモデルに活用しているという認識で問題ないか?

A.その認識で問題ない。

Q.ライフメディアテック事業の競合の状況はどのようになっているか?

A.外国人に特化した事業であり、国内企業に競合は少ない一方、主な競合はグローバルOTAとなっている。

Q.ライフメディアテック事業における多言語対応の特徴は何か?

A.当社はサービスサイトの立上げにおいても、単なる機械翻訳ではなく、基本的に母語の話者が、各言語の文化的背景や言い回しを反映し作成している。日本企業ではコスト効率の観点から本格的な多言語サイトの構築は難しい場合が多いが、当社はこの領域で強みを発揮している。

Q.ライフメディアテック事業のモビリティテックサービスの取次件数が急激に増加している要因は何か?

A.インバウンド市場の拡大に合わせて、様々な施策を着実に実行したことが要因である。コロナ禍では、医療機関の取次サービスを迅速に立ち上げ、社会的な混乱の中で、日本語の煩雑な手続きに戸惑っていた外国人の方々に多く利用してもらった。コロナ禍移行のインバウンド市場の回復・拡大に合わせて、オーバーツーリズムの顕在化などを背景に、モビリティテックサービスの立上げに注力をしてきた。

Q.ライフメディアテック事業の成長戦略において、認知拡大のためのマーケティングコストをかけていくか?

A.認知拡大よりも、成約率の向上を重視している。ライフメディアテック事業の主な顧客が訪日外国人であるため、日本旅行が一生に何度もあるとは限らない。そのため広告による知名度の向上はコスト効率が悪い。当社は多言語対応や各国の検索エンジンに合わせた対策の成果により、サイトに流入する顧客数は確保できている。サービス品質を向上させることで、成約率を上昇させることが重要である。

Q.ライフメディアテック事業の取次件数の成長が2Qから3Qにかけて鈍化した要因は何か?

A.前期にサービスをリリースし、急成長してきた新幹線チケット手配サービスがある程度シェアを獲得し、成長が落ち着いたことが要因である。訪日外国人の新幹線利用率や、新幹線の席数を考えると、成長率の鈍化は妥当と考えている。

Q. ライフメディアテック事業の四半期ごとの推移について、過年度の業績推移を踏まえると、1Qの売上が350百万円程度からスタートし、4Qにかけて450百万円程度まで増加する見通しか?

A. 四半期毎の見通しについては非開示のため、回答は控える。

Q.ライフメディアテック事業の今後の成長戦略をどのように考えているか?

A.現在まだ本格的に実働していないレンタカー手配サービスやバスチケット手配サービスが立ち上がっていくことで取次件数が成長すると考えている。
一方、新幹線チケット手配サービスは先述のとおり成長が安定したため、更なる成長のためには広告や機能拡充等の投資が必要であると考えている。

Q.今後のライフメディアテック事業において、投資と利益のバランスをどのように考えているか?

A.現時点で非開示であるため明確には答えられないが、売上を重視しながら再投資を図る方針に変化はない。

Q.ライフメディアテック事業において、モビリティテックサービス以外に注力している分野はあるか?

A.ライフテックサービスにおいて不動産や医療機関の取り次ぎや広告事業等も展開しているが、新たに大幅な投資は行っていない。

Q. 2026年9月期にリリース予定の新規サービスはすぐに業績に貢献する見通しか?

A. 開発中の新規サービスについては、売上を予算に組み込んでおらず、開発等のコストは予算に組み込んでいる。売上については、これまでの当社グループの知見からシェアの獲得が見込める領域に参入するものの、投入し初速を見て業績予想修正の必要が乗じた場合には、適時開示していく想定である。

Q. キャンピングカー事業の売上は、貸出日数の増加に伴い順調に増加していく見通しか?

A. その認識で問題なく、緩やかに順調に推移すると想定している。

Q.キャンピングカー事業を今後成長戦略の中でどのように評価しているか?

A.他の事業と比較して規模は小さく、注力している事業ではないが、競合が少ないこともあり、堅調に黒字を維持できる安定した事業であると評価している。加えて訪日外国人の利用者数が多いことや、特徴的な事業である上にコストがかかりにくいので、手放す理由がない事業となっており、現在も車両数を徐々に増やしたり、モータープール(キャンピングカー専用駐車場)や中古車販売など、付帯サービスを追加し、売上・利益ともに緩やかに成長している。

Q.各事業の収益構造は、単発利用と継続利用のどちらを前提としているか?

A.ライフメディアテック事業のモビリティサービスとWi-Fiレンタル事業は、単発利用で収益化できる収益構造となっている一方、eSIM事業は継続利用を前提とした収益構造となっている。

Q.各事業への広告投資の方針をどのように考えているか?

A.eSIM事業については、先述の通り顧客を確保してLTVを向上させることが重要であるため、利益を確保できる範囲で、顧客の獲得を優先して積極的に広告投資を実施する方針である。その他の事業に関しては、各事業内で設定した営業利益率を下回らない範囲で広告投資を実施する方針である。

Q.中長期的な経営戦略をどのように考えているか?

A.現時点で中期経営計画は開示していないが、売上成長を重視しながら、海外への展開やM&Aに注力する方針である。

Q.財務戦略について投資家にどのような説明をしているか?

A.明確に開示はしていない。なお、現状の財務について、健全性は非常に高い水準にあると認識しているが、この水準を維持することに固執はしていない。

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