3252 地主 4Q後取材 20260309【初回取材】

2026/03/31

2026/03/31

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株探 バフェット・コード

スピーカー: IR
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Q.創業から今日に至るまでの事業の成り立ちはどのようになっているか?

A.当社の土地のみに投資をする「JINUSHIビジネス」は、失敗から生まれたビジネスである。
当社の創業前、創業者である現取締役の松岡と、現社長の西羅が、総合商社である兼松グループの不動産会社において、GMS(総合スーパー)の開発及び建物賃貸事業に従事していた。しかし、当時のテナントであったマイカルが1990年代後半に経営不振に陥って撤退したことで、事業運営に大きな困難が生じた。
当該物件はマイカル専用仕様で建設されていたため、後継テナントの誘致に際して、建物改装の追加投資や賃料減額を余儀なくされ、特定の業態やテナント専用の建物を所有するリスクを思い知らされた。この経験を通じて、「建物を建てず土地だけを貸せば、失敗に至らなかったのでは」という発想に至ったのが、事業の成り立ちである。
2000年の創業当初は、兼松グループから委託を受けた建物運営管理や、不動産仲介等も行っていたが、現在は、建物は所有せず土地のみに投資をする「JINUSHIビジネス」を専業で行っている。
当社は、土地のみに投資し、建物はテナントが建設・所有・運営する。当社はテナントと定期借地権設定契約を結ぶことで、テナントの皆様から頂く借地料を、長期安定のキャッシュ・フローを生み出す不動産金融商品として、投資家に提供している。
そのため、当社は自らを不動産会社ではなく、資産価値の高い土地を活用し、長期安定の不動産金融商品を開発するメーカーであると考えている。

Q.2022年が大きな契機となったと聞いたがどのような理由か?

A.2022年は、当社にとって大きな転換点となっており、その理由は大きく2点ある。
1点目は、地主株式会社への社名変更である。
旧社名は「日本商業開発」であり、「商業施設を開発する会社」「商業テナントに特化した会社」といった誤解を受けることが多かった。当社は、日本だけでビジネスを展開しているわけでもなく、取引テナントは商業だけでもない。不動産開発をするわけでもない。
旧社名とビジネスの実態が乖離し始めていたため、ビジネスモデルそのものを表す「地主株式会社」へと社名を変更した。これにより、さまざまな業種・業態のテナントと取り組みが可能であること等、「JINUSHIビジネス」にはまだまだできることが多くあり、大きな可能性を秘めていることを、社内外へ訴求した。

2点目は経営体制の変更である。
同年、創業者である松岡から、創業メンバーであり、グループで運用する国内唯一の底地特化型私募リート「地主プライベートリート投資法人(地主リート)」の立ち上げに注力する等、運用会社で社長を務めていた西羅へ社長交代を行った。
西羅が当社社長に就任後、まず2つのことに取り組んだ。当社が目指す姿「地主リートの成長とともに日本の大地主を目指す」を定めたことと、JINUSHIビジネスを「テナントからいただく借地料を長期安定の金融商品として投資家に提供する事業」とし、当社の顧客は投資家、テナントは事業パートナーであると再定義したことである。これにより、社員の意識統一が図られた。
同時に、当社初となる中期経営計画や、3つの成長戦略「テナント業種の多様化」「事業エリアの拡大」「JINUSHIリースバック(土地のセール&リースバック)提案」を打ち出し、新体制のもとで成長戦略の実行を加速させた。
これらにより、当社の認知向上と経営基盤の強化を同時に実現し、以降、当期純利益の持続的な成長につながっている。

Q.ビジネスモデルはどのようになっているか?

A.当社のビジネスモデルは、「土地を買う、土地を貸す、貸している土地を売る、そして投資家の資金を運用する」という4つのSTEPでできている。転用性の高い土地を仕入れ、テナントと20年から50年の長期契約を結ぶことで商品化し、その商品(底地)を売却する。仕入から売却までは1年から1年半の高回転型のビジネスモデルである。売却先は地主リートが約7割を占めており、残り3割は事業法人やJ-REIT、資産管理会社等の外部である。売却益が当社の売上総利益の7割から8割を占める。
売却益以外にも、売却前の底地から得られる賃貸収入や、売却後の地主リートの運用報酬がある。

Q.ビジネスモデルの特徴は何か?

A.建物は所有せず、土地のみに投資をする点である。建物を持たないからこそ、建物に係るさまざまなリスクや手間から解放される。建物を所有しないため、建築や設計だけでなく、建物運営管理に人を配置する必要もなく、少人数で事業が可能である。さらに、建物の開発行為にも関与しないため、工事期間の延長もリスクとならず、契約に基づき借地料も得られる。加えて、地主リートという、機関投資家からの強いニーズを獲得し続けている売却先がいることも大きい。仕入から売却まで1年から1年半と高回転型のビジネスモデルを構築できているのは、このような理由からである。
これらに加え、土地の仕入とテナントとの契約を同時に実行し、在庫リスクを極小化している点も大きな特徴である。土地の売買情報を得た段階で、テナントの出店ニーズを確認し、テナント側と賃料や契約期間、違約金等の条件を交渉する。これらを取りまとめ、定期借地権設定予約契約としてテナントと事前に締結した上で、土地を取得することを徹底している。また、同時に、主な売却先である地主リートの取得目線も確認しており、売却の蓋然性を高めている。
現在のバランスシートには約800億円の在庫が計上されているが、いずれもテナントが決定しており、将来安定したキャッシュ・フローが得られる商品となることが確定している。

Q.価値のある土地を継続して仕入れられる理由は何か?

A.地主専業25年の歴史と実績が大きい。専業で25年継続してきたからこそ、独自のネットワークを構築しており、月600件・年間7,000件以上の土地情報が入手可能である。また、信用力の高いテナントと緊密なリレーションを構築しており、「この場所に出店したいので土地を取得してほしい」とテナントから持ち込まれる案件も多い。住宅デベロッパーとの共同開発もある。足元では、東証改革等の社会の変化を背景に、既存不動産の土地のみを切り出す「JINUSHIリースバック」の相談も増えている。継続的に、年間1,000億円以上の仕入が可能な能力が当社にはある。
これらの鍵となるのが「地主リート」の存在である。当社は高効率経営を志向しており、開発した底地は地主リートへ売却する。地主リートは長期にわたり底地を保有し「安定地主」として機能する。この仕組みにより、テナントは安心して当該土地で事業を継続できる。地主リートの存在こそが、当社の武器であり、テナントからの信頼を継続的に獲得できる要因となっている。これらの要素が相互に作用することで、継続的な仕入の実現につながっている。

Q.テナントは高い賃料を払う先を優先して選定しているという認識で良いか?

A.その認識は間違っている。賃料は大切な要件の1つであり、企業体力があるから高い賃料を払えるという部分はあると思うが、テナントと長期的な関係を築けるかを重視している。信頼できるテナントを選びたいと考えているため、一概に賃料だけでは判断していない。
例えば、その土地への出店が、ドミナント戦略上、重要な拠点と位置付ける企業と、新規参入で挑戦する企業では、事業継続性や粘着性に大きな違いが生じる為、そういった観点も踏まえてテナントを決定している。
また、初めて取引をするテナントについては、当社社長が相手企業のトップと面談し、お互いに信頼関係を構築できるかどうかを直接判断する文化もある。

Q.テナントの選定条件として、まちづくりや地域社会への貢献等は考慮しているのか?

A.当社は不動産開発企業ではない。投資対象は土地のみであり、実際にそこで事業を行うのはテナントであるため、まちづくり等の概念は持っていない。ただし、テナントの属性として、社会的意義のある会社であるかは重視している。社会的意義があるからこそ、長期に事業が継続可能だと考えている。
また、当社の顧客は投資家である。当社が開発する不動産金融商品の魅力は、長期安定の借地料に加え、建物に関わる様々な要素、修繕やリーシング、運営管理等の手間がかからないことであり、長期に安定した利回りが期待できる点である。

Q.地主リートの投資家はどのような属性か?

A.地主リートの投資家は国内の機関投資家のみである。海外の投資家は市場環境が良い時は多額の投資を行うが、悪化するとすぐに資金を引き揚げる傾向もあり、地主リートの長期安定の商品特性や運用方針と合致しない。
投資家層の内訳としては、2026年1月8日時点で中央金法や地銀、信用金庫等の金融機関で約5割を占める。事業法人が約4割と多いことも特徴であり、新聞社等のマスコミや学校法人等からの投資も多い。年金は約1割とまだ少ないが、今後伸びていくと考えている。

Q.年金からの投資が今後伸びると考えている理由は何か?

A.地主リートは2017年に運用を開始した新しい商品であり、現在はトラックレコードが積み上がってきたため、年金投資家が徐々に拡大しつつある段階にあるためである。年金は新しい商品への投資に対し、慎重な姿勢でもあるため、投資拡大にはトラックレコードが必要であった。
現在、底地マーケットは10兆円規模となり、地主リートは10年連続の増資を実現し、4%程度の利回りという実績が積み上がってきている。長期安定の商品特性は、年金と親和性が高いため、今後はさらに投資が増加していくと想定している。

Q.地主リートを私募で運用している理由は何か?

A.上場リートではなく私募リートで運用している理由は2点ある。1点目は私募リートの投資口価格は不動産鑑定評価によるものであり安定しており、株式市場の影響を受けないためである。上場してしまうと、投資口価格が市場のボラティリティの影響を受けるため、長期安定の商品を提供したい当社の方針とは合致しない。

2点目は投資家と長期的な関係を構築したいためである。投資家には、長期に安心して地主リートに投資してもらい、関係性を深めていきたいと考えている。投資した方、投資金額がわかる私募リートは当社の方針に合致している。

Q.御社は長期保有による土地の値上がり益を狙うのではなく、市場環境に応じた利回り商品を開発し、売却していくという認識で良いか?

A.その認識で問題ない。不動産市況は数年間のサイクルで波があると言われているが、当社の仕入から売却までは1年から1年半であり、その時々の事業環境、要求利回りに合致した商品を作っていくモデルである。長期投資、CAPレート低下を企図した値上がり益を狙うビジネスモデルは、良いリターンが得られる時は良いが、逆回転した際のリスクが大きいため、当社が目指すビジネスモデルではない。

Q.テナントの業種や業態によって収益性は異なるのか?

A.当社のJINUSHIビジネスは、どのようなテナント業種・業態とも取り組める点が特徴である。業種・業態によって収益性が異なるわけではない。

Q.昨今のインフレは御社にどのような影響があるか?

A. JINUSHIビジネスはインフレにも強い。インフレとなれば、土地の価格は上がる。当然、当社の商品価値も上がるだろう。加えて、建物を持たないため、建築費や修繕費、水光熱費などのコストUPによる影響からも無縁であり、JINUSHIビジネスの優位性が増す局面と考えている。
仕入にもプラスである。インフレ等の社会環境の変化により、事業会社が所有する不動産の土地のみを売却する「JINUSHIリースバック(土地のセール&リースバック)」案件や、不動産デベロッパーが開発目的で取得した土地が建築費高騰により収支が合わなくなり、競合ではない当社に素地で売却するような案件も増加しており、当社の仕入拡大に大きく寄与している。

Q.JINUSHIリースバック案件が増加し始めた理由は何か?

A.当社は2022年の社名変更を契機に、3つの戦略「テナント業種の多様化」「事業エリアの拡大」「JINUSHIリースバック提案」に取り組んできた。特に、新規開発に加え、既存の施設の土地のみを切り出す「JINUSHIリースバック」については、今後需要が拡大することを見込んでいた。
東京証券取引所の「資本コストや株価を意識した経営」等による市場改革が進む中、ここ数年で企業が土地だけを売却する動きが足元で増加してきたためである。また、アクティビストやPEファンド等の存在感が増し、企業価値を向上させるために不動産を活用する動き、CRE戦略の見直しも活発化している。
当社がこれまで進めてきた戦略に、社会の変化が重なったことにより、JINUSHIリースバック案件を含む仕入が加速している。

Q.土地のみのCRE市場で競合は存在するのか?

A.底地マーケットは10兆円規模となり、新規参入する企業も当社の狙い通り増加している。また、上場企業が持つ土地は46兆円あり、大きなCRE市場が存在する。
そのような中で、底地を専業としているのは当社のみであり、25年の歴史と実績、地主リートの10年の運用実績は大きな先行者メリットとなる。
当社には「地主リート」という強力な武器もある。仕入れた土地を保有し続けるとバランスシートの肥大化と資本効率の低下を招くため、仕入から売却までを円滑に回していく必要があり、それを実現可能にするのが「地主リート」である。テナントから見れば地主リートが、「安定地主」としていてくれるため、安心感・信頼感を持てる。土地のCRE市場、JINUSHIリースバック(土地のセール&リースバック)のメインプレイヤーは、引き続き当社であり続けると考えている。

Q.仕入が増加する中で、レバレッジやバランスシート等の財務面の方針はあるか?

A.財務規律は、自己資本比率30%程度としている。5%程度の上下の変動は許容しつつも、リーマンショックを乗り越えた経験からも、この水準は維持したいと考えている。その上で、1年から1年半で仕入と売却を繰り返し、内部留保を少しずつ積み上げることで、利益成長と還元を両立しながら、バランスシートを拡大していく。

売却先についても、地主リートに加え、機関投資家の個別ニーズに応える地主ファンドもある。リース会社とのブリッジスキームもあり、バランスシートマネジメントが可能な仕組みを構築済である。

Q.中期経営計画で掲げる2028年12月期の当期純利益100億円以上に向けて、金融機関からの借り入れは問題なくできているという認識で良いか?

A.その認識で問題ない。当社の仕入は先に伝えた通り、テナントと契約済みであり、将来のキャッシュ・フローが確定している。その長期安定の商品特性を金融機関にも理解してもらっており、融資を受けやすいことが強みである。

Q.借り入れ先として金融機関との付き合い方に特徴はあるか?

A.当社はリーマンショックを乗り越えた歴史がある。だからこそ、万が一の有事に備え、従前より8年以上の長期借入、財務コベナンツ条項を撤廃する等、リスク管理を徹底している。
また、金融機関との関係構築も大切にしている。メガバンクや有力地銀を中心に、さまざまな銀行と良好な関係を築いており、仕入時の高い機動性を確保すべく、借入枠・コミットメントライン契約も450億円程度確保済である。

Q.毎年1,000億円以上の仕入に向けたパイプラインや従業員の確保等にリスクや課題はあるか?

A.仕入に関しては、3つの成長戦略「テナント業種の多様化」「事業エリアの拡大」「JINUSHIリースバック提案」を着実に推進することで、達成可能な数字であると見込んでいる。
従業員に関しては、「営業人員数」×「一人当たり仕入額」=「仕入額」と推測されることもあるが、従業員数と仕入量は必ずしも比例していない。
当社は従業員数116名、内営業人員50名弱という体制だが、2024年12月期から2025年12月期にかけて人員は大きく増加していない一方で、仕入は倍増している。現状、大きな課題やリスクはなく、繰り返しになるが3つの成長戦略を着実に推し進めることで、仕入拡大を実現していく。

Q.購入する土地は規模が大きい方が好ましいのか?

A.当社は本来「小さいモノ」が好みであり、地主リート側のポートフォリオの分散化が図れることや、小型案件の方が相対取引等で土地の売主から有利な条件で購入できることも多い。
長期に需要がある転用性が高い土地、仮に今いるテナントがいなくなった時に「他に貸せる、売れる」土地に投資をすることが重要である。200坪程度から1万坪超、1億円から100億円を超える規模まで、さまざまな規模の案件に対応できることが特長である。今後は、JINUSHIリースバック案件が増えるにつれ、案件の大型化も進むと見込んでいる。

Q.足元の金利動向について懸念している点はあるか?

A.金利が上昇していくと、投資家の要求利回りが上昇する可能性はあるが、現時点で金利動向が事業のネックになっている状況ではない。
なお、金利上昇の影響は当社に限らず受けるものである。他社は、金利だけでなく、建築費、修繕費、運営管理費などさまざまな影響を受けている。そのような環境下、建物を持たない当社は相対的に有利とも考えている。

今後金利が上昇する可能性を踏まえ、インフレに対応した条項、例えば金利連動条項の導入等も議論している。まだ少数であるが、導入済みの案件もでてきている。「JINUSHIリースバック」案件については、比較的導入余地があると捉えており、そのような議論を前提に交渉を進めている。

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