3673 ブロードリーフ 1Q後取材 20260603【初回取材】
2026/06/30
2026/06/30
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Q. 事業の成り立ちや、現在の事業体制に至るまでの沿革はどのようになっているか?
A. 当社の事業は、1983年に創業した旧事業会社が、自動車部品商向けの業務システムを開発したことに始まる。当時、パソコンの普及が始まるなか、自動車部品商から業務を効率化するシステムへの要望を受け、仕入れや在庫管理などを支援するソフトウェアを提供した。
その後、部品商と取引関係にある自動車整備工場、鈑金工場、中古車販売店、リサイクル事業者などへ対象業種を広げ、自動車アフターマーケット全体を支援する業種特化型の業務システムへと事業を拡大してきた。
2005年には、旧事業会社のソフトウェア事業を承継する形で現在のブロードリーフが設立された。その後、2009年のMBOを経て独立し、2013年に東京証券取引所市場第一部へ上場した。現在は、特定の企業グループに属さない独立系のITサービス会社として事業を展開している。
提供形態については、従来のパッケージソフトウェアから、一定期間の利用権と保守・サポートを組み合わせたモデルへ移行し、2022年からはクラウドネイティブなソフトウェアサービスとして月額サブスク形式での提供を開始した。現在は、既存のお客様のクラウドソフトへの移行を進めるとともに、長年にわたり蓄積してきた業界データや顧客基盤を生かし、企業間の取引やデータ連携を支えるプラットフォームの構築に取り組んでいる。
このように、当社は自動車部品商向けシステムを起点として、自動車アフターマーケットの幅広い業種へ事業領域を拡大し、現在は個々のお客様の業務効率化に加え、業界全体のデジタル化を支える事業体制へと進化している。
Q. クラウドソフトへの切り替えは顧客に問題なく受け入れられているか?
A.既存のお客様のクラウドソフトへの切り替えは、現時点ではおおむね計画どおりに進んでおり、移行を妨げるような大きな問題は生じていない。
従来のパッケージソフトは、一定期間の利用権を購入いただく契約であり、契約期間の満了時に次のシステムへ切り替えるサイクルが以前から定着している。このため、クラウドソフトへの移行についても、従来の契約更新の延長線上としてご案内している。
また、従来は利用権の購入代金をリース契約により月々お支払いいただくケースが多く、クラウドソフトへの移行後も月額でお支払いいただく点では、お客様の実質的な支払い方法に大きな変化はない。お客様の事業規模や必要な機能に応じて複数のサービス構成を用意しているため、従来と同程度の費用水準で移行いただくことも可能である。
一方で、クラウドソフトでは画面構成や操作方法が変わるため、導入直後には新しい操作に慣れていただく必要がある。そのため、当社では導入支援や操作説明、稼働後のサポートを行い、円滑な切り替えを支援している。
こうした取り組みにより、操作への慣れに伴う一時的なご意見はあるものの、クラウド化そのものへの強い抵抗や、それを理由とする大規模な解約・他社サービスへの切り替えは生じておらず、全体としては順調に受け入れられていると認識している。
Q. 2022年12月期から2025年12月期にかけて、業績が期初計画を大きく上回って着地した理由は何か?
A. 2022年12月期から2025年12月期にかけて業績が期初計画を上回った主な要因は、クラウドソフトへの移行が着実に進んだことに加え、既存顧客基盤を生かして売上機会を柔軟に取り込めたこと、また、コストを適切にコントロールできたことである。
売上面では、当社は自動車アフターマーケットを中心に約4万社の顧客基盤を有しており、クラウドソフトへの移行対象となるお客様を多数抱えている。そのため、あるお客様の導入時期に遅れが生じた場合でも、準備が整った別のお客様の導入を前倒しするなど、全体の導入スケジュールを柔軟に調整することで、売上計画への影響を抑えてきた。加えて、お客様のニーズに応じて、ソフトウェアに付随するハードウェアや各種サービスを提案したことも、売上の積み上げに寄与した。
利益面では、事業の進捗を踏まえながら、人員配置や外部委託費を含む各種コストを継続的に見直し、効率的な事業運営に取り組んだ。特に、クラウド移行に必要な体制を確保する一方で、採用や人員配置を慎重に運営したことなどにより、費用が当初の想定を下回った年度もあった。
Q. 従業員数が想定を下回って推移した理由は何か?
A.退職者が大きく増加したためではなく、採用数が当初の計画を下回ったためである。
当社では、従来のパッケージソフトからクラウドソフトへの移行を進めるなかで、事業運営やサービス提供の方法が変化している。クラウド化によって、従来はお客様先で行っていたシステムの導入や更新作業の一部がオンラインで対応できるようになるなど、業務の効率化が進むことを見据え、必要な人員や配置について継続的に見直している。
一方で、今後の成長に必要となるクラウド技術やAIなどの専門性を持つ人材については、引き続き採用を進めている。ただし、採用人数を優先するのではなく、当社の事業戦略に合致する経験やスキルを持つ人材を厳選しているため、採用実績が計画を下回ることがある。
Q. 離職率はどれくらいか?
A. 5%台で推移しており、業界内でも低水準にあると認識している。
Q. 顧客が御社のシステムを導入する最大の理由は何か?
A.自動車アフターマーケットに特化した豊富なデータを活用し、見積り作成をはじめとする日常業務を正確かつ効率的に行えることである。
自動車整備工場や鈑金工場などには、メーカーや車種、年式が異なる幅広い車両が入庫する。当社は、約40年にわたり蓄積・整備してきた車両情報、部品情報、価格情報、標準的な作業時間などのマスターデータをソフトウェア上で提供している。お客様は、入庫した車両を特定することで、必要な部品や作業内容を確認し、精度の高い見積りを効率的に作成することができる。
また、見積りや請求、顧客・車両管理、整備履歴の管理といった一連の業務を同一のシステム上で行えるため、手作業や重複入力を削減し、業務の標準化や生産性向上につなげることができる。人手不足が課題となるなか、経験の浅い従業員でも一定の品質で業務を行いやすくなる点も評価されている。
Q. AIによるシステムの代替リスクをどのように考えているか?
A. AIの進化により、プログラム開発や一部機能の実装が効率化し、ソフトウェアそのものは従来よりも作りやすくなると認識している。一方で、当社のシステムがAIによって単純に代替されるリスクは限定的であると考えている。
その理由は、自動車整備や鈑金などの業務で実際に利用できるシステムを提供するためには、プログラムだけでなく、車両、部品、価格、作業時間などの一般には流通しない、正確な業界固有データが不可欠だからである。さらに、これらのデータを継続的に収集・更新し、実際の業務フローや商習慣に即してシステムへ組み込む必要がある。
当社は約40年にわたり、自動車アフターマーケットに特化したこのクローズドなマスターデータを整備するとともに、業界の業務フローや顧客ニーズに関する知見を蓄積してきた。こうしたデータ、更新体制、業務知識、既存システムとの連携基盤は、短期間で構築できるものではない。
したがって、AIによってソフトウェア開発のハードルが下がったとしても、当社が提供する業務システム全体が直ちに代替されるとは考えていない。むしろ、当社が保有するデータや業務知識とAIを組み合わせることで、既存サービスの利便性や提供価値をさらに高める機会になると捉えている。
Q. AIを活用して今後はどのようなサービスを展開していく方針か?
A. 具体的な活用領域の一つが、部品の問い合わせや検索業務の効率化である。整備工場と部品商との間では、現在も電話やFAXなどによる問い合わせが多く、車両や部品に関する専門知識を持つ担当者が、適合する部品を確認している。当社が保有する車両・部品データとAIを組み合わせることで、問い合わせ内容を読み取り、対象車両や部品を特定し、回答や担当者への振り分けを支援する仕組みを検討している。
また、自動車整備の現場では、作業を行いながら端末へ入力することが難しい場合がある。音声認識とAIを活用し、整備士が点検結果などを音声で伝えることで、必要な項目を判別してシステムへ入力するなど、現場での入力負担を軽減する機能についても開発を進めている。
さらに中長期的には、当社が蓄積してきた整備・修理に関するデータを、整備士の判断支援や作業支援に活用することも視野に入れている。将来的にフィジカルAIやロボティクスが自動車整備の現場に導入される場合には、当社のデータや業務知識が、それらを動かすための重要な基盤になり得ると考えている。
Q. 2026年12月期以降の成長戦略はどのようになっているか?
A. 2028年12月期までの中期経営計画においては、従来のパッケージソフトを利用する既存のお客様を、クラウドソフトへ移行していくことが成長戦略の中心である。クラウドソフトへの移行により、利用ライセンス数や導入する機能に応じた継続収益が積み上がるため、売上収益の拡大と収益構造の安定化につながる。
既存顧客の移行に加え、新規顧客の獲得も継続して進める。特に、全国チェーン、広域大手、地場大手や完成車メーカー系ディーラーの認定工場などを重点対象として、システム最適化のご提案を積極化している。
また、クラウドソフトの普及と並行して、整備工場や部品商などをつなぐマーケットプレイスの拡大に取り組む。従来、電話やFAXなどで行われてきた部品の問い合わせや受発注をデジタル化し、参加事業者と取引量を拡大することで、新たな収益基盤として成長させていく方針である。
Q. 大手顧客が御社システムを導入することによる価格面のメリットはあるか?
A. 大手のお客様に一律の割引を適用するという考え方ではないが、複数の従業員がシステムを利用する場合には、ライセンス体系の面で一定の価格メリットがある。
従来のパッケージソフトでは、同時に利用する人数が増えるごとに、基本的には同一のシステム利用権を追加する必要があった。これに対し、クラウドソフトでは、基本となるサービスに、利用者の業務や役割に応じたライセンスを追加する料金体系を採用している。
追加ライセンスは基本となるライセンスよりも低い価格に設定されているため、多くの従業員が利用する大手のお客様ほど、1ライセンス当たりの平均単価を抑えながら、必要な利用者へシステムを展開できる。また、インターネット環境があれば複数の拠点から利用できるため、拠点ごとに個別のシステム環境を構築・管理する負担の軽減にもつながる。
一方で、大手のお客様は利用人数が多いことに加え、必要とする機能や導入範囲も広いため、当社が受け取る契約全体の金額は大きくなる傾向がある。これは単純な値上げではなく、利用するライセンス数や機能、対象拠点など、サービスの利用規模が拡大することによるものである。
したがって、大手のお客様にとっては、利用者一人当たりの負担を抑えながら、多くの従業員や拠点で共通のシステムを利用できる点が、価格面を含むメリットであると考えている。
Q. 中期経営計画の目標達成に当たり、現時点で認識している主なリスク要因は何か?
A. 中期経営計画の達成に向けた主なリスクは、クラウドソフトの導入遅延、マーケットプレイスの立ち上がりの遅れ、外部環境の悪化である。
特に、準大手・大手顧客は既存システムとの連携や個別要件が多く、導入に時間を要するため、稼働開始が遅れる可能性がある。また、部品商のクラウド移行が遅れた場合、マーケットプレイスの参加企業数や取引量の拡大にも影響する。
加えて、地政学リスクや原材料・エネルギー価格の上昇により、お客様の仕入・事業運営コストが増加し、IT投資が先送りされる可能性も認識している。現時点では計画の前提を大きく変更する事象は生じていないが、引き続き注視していく必要がある。
Q. マーケットプレイス領域の成長戦略はどのようになっているか?
A. マーケットプレイス領域では、部品商向けクラウドソフトの普及に合わせて新たな受発注プラットフォームを展開し、参加事業者数と取引量の拡大を図る。
新たなプラットフォームでは、整備工場が見積りを作成する際に、複数の部品から価格や納期などを比較し、そのまま発注できる仕組みを構築する。また、当社システムの利用者に限らず、幅広い事業者が参加できる環境を目指す。
収益面では、取引高に応じた手数料を基本とする課金体系を検討している。
Q. 2026年12月期1Q時点において、クラウドソフトへの移行は計画通りに進捗している認識で合っているか?
A. はい、その認識で合っている。
Q. 契約件数の季節性はどのようになっているのか?
A. 四半期別で4Q、2Q、3Q、1Qの順に多くなる傾向がある。これは、自動車整備業界の繁忙期を避けてシステムを導入するお客様が多いことに加え、従来のパッケージソフトの契約満了時期が6月や12月に集中しているためである。
契約・導入件数が増える四半期は、初期導入に伴う売上やハードウェア売上が増加する一方、営業・導入活動に伴う費用も増加する傾向がある。
Q. 2026年12月期2Qに向けて留意すべき費用増加要因はあるか?
A. 2Qでは、子会社における賞与引当金の計上により、人件費が第1四半期比で増加する見込みである。
また、例年6月は契約・導入件数が増えるため、出張費や交通費などの営業・導入関連費用が増加するほか、20周年関連の一時的な費用も発生する。加えて、ハードウェアの仕入販売が継続する場合には、売上の増加に伴って仕入原価も増加する。
Q. 2026年12月期1Qに営業利益が大きく増加した理由は何か?
A. クラウドソフトの売上拡大により売上総利益が増加したことに加え、人件費や外部委託費などの費用が計画を下回ったためである。
また、ハードウェア販売が想定以上に堅調に推移したことも、子会社の大型案件の期ずれを補い、売上を下支えしたため、2Qの営業利益は慎重な見方をしている。
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