6309 巴工業 2Q後取材 20260708【初回取材】
2026/07/30
2026/07/30
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スピーカー: IR
P/E 12.7x P/B 1.27x (取材記事公開日現在)
Q. 創業から現在に至るまでの事業の経緯はどのようになっているか?
A. 1941年に創業し、創業者が米国で築いた企業とのネットワークを生かし、米国の優れた製品を日本市場へ導入するために、1950年からはシャープレスの機械を取り扱うメーカーとして機械事業(機械製造販売事業)を、1952年からはユニオン・カーバイドの製品を取り扱う商社として化学品事業(化学工業製品販売事業)を開始した。その後、現在に至るまで、優れた製・商品を供給するという共通の理念の下、両事業を継続している。
Q. 事業間の機能連携はどのように進めているのか?
A. 従来は事業間の関わりは限定的であったが、直近は事業間の人材交流を進めるとともに、機械事業において欧州等から環境関連機器を輸入・販売する商社型ビジネスを開始するなど、両事業を持つ強みを生かした事業拡大を進めている。
Q. 現在の事業に至るまでの経緯において、転機となったポイントはどのようなものがあるか?
A. 機械事業では、経済成長期に建設された石油化学工業などのプラントへシャープレスの技術導入をした国産遠心分離機を多数導入し、日本の産業発展とともに事業を拡大したことが最初の転機である。その後、1970年代後半には公害対策に伴う下水処理場の整備を背景に、脱水工程向けの遠心分離機の需要が拡大し、現在も大都市の大容量下水処理場を中心に採用されている。
一方、化学品事業では、後に太平洋海底ケーブルの被覆材にも採用されるポリエチレンを日本で初めて輸入・販売し、1950年代の国内経済の発展とともに多数納入したことがその後の事業基盤を築く契機となったと考えている。
Q. 機械事業では、遠心分離機以外にどのような製品を取り扱っているか?
A. 現状は遠心分離機が売上高の約90%を占めており、残りの約10%は破砕機等の付帯機器で構成されている。なお、直近では環境分野に貢献する機器としてバイナリー発電機の取扱いを開始したほか、機械商社としての機能強化を進め、水素濃度センサー等の取扱いも開始している。
Q. 新たに取扱いを開始した環境分野の顧客層は、既存の遠心分離機の顧客と重複するのか?
A. 基本的には新規顧客を開拓しているが、一部では既存顧客へも展開している。具体的には、バイナリー発電機は下水処理場等の焼却設備から生じる廃熱を利用するため、既存顧客や営業リソースを活用できる一方、水素濃度センサー等は既存顧客との属性が異なることから、新規顧客の開拓を進めている。
Q. 2026年10月期2Q決算説明会資料P.8に記載している「官需・民需・海外」と「機械・装置/工事・部品/修理」は、それぞれどのような区分となっているのか?
A. 「官需、民需、海外」に関して、官需は国内の下水処理場等の官公庁向け、民需は国内の化学・食品企業等の民間企業向け、海外は国外の官公庁・民間企業向けとして区分している。
「機械・装置/工事・部品/修理」は各市場における売上内容の区分であり、新品の機械販売は「機械」、周辺装置や設置工事は「装置/工事」、保守部品や修理サービスは「部品/修理」として計上している。
Q. 官需・民需・海外では、営業アプローチにどのような違いがあるのか?
A. 官需は入札が中心である一方、民需は既存顧客との商談に加え、新規顧客の開拓を進めている。海外は入札案件と顧客からの個別の見積依頼という2軸体制で営業を実施している。
Q. 機械事業の収益構造はどのようになっているのか?
A. 遠心分離機は導入後20~40年程度使用され、その間に修理や予備部品の交換需要が継続的に発生するというストック収益型となっている。また、手厚い保守サービスを通じて顧客との関係を維持することで、プラントの新設・増設時における機械の追加導入や更新需要にもつながる循環を構築している。
Q. 機械の導入時は、利益は出ているのか?
A. 機械導入時にも一定の利益を確保しており、赤字で受注するケースはほとんどない。加えて、導入後に発生する部品販売や修理は導入時よりも高い利益率を確保しており、機械事業全体の収益性を支えている。
Q. 機械事業では、受注残から売上を見通すことができるという認識で合っているか?
A. その認識で合っている。
Q. 機械事業の競争環境はどのようになっているのか?
A. 国内のデカンタ型遠心分離機市場には、当社のほかIHI、三菱化工機、クボタ等が参入しており、海外市場では欧州を中心にグローバル展開する有力企業が4社程度存在し、先行企業が強固な顧客基盤を有していることから新規参入障壁は高い状況になっている。
Q. 化学品事業における御社の強みは何か?
A. 市場競争力を有する認証取得商品や特殊原料等のニッチで高シェアな商材を多数有している点が最大の強みである。他にも、理工系人材を積極的に登用し、専門的な知見と高度な商品知識を有するセールスエンジニアが顧客対応を行う事で、新製品開発の初期段階から顧客と連携できる体制を構築している点や、競合他社の参入が少ないアフリカ・中東・東欧地域での独自調達を展開している点、業界有力企業と長期的かつ良好な信頼関係を構築できている点も強みであると考えている。
Q. 化学品事業ではどのように他社との差別化を図っているのか?
A. 市場競争力を有する認証取得商品や特殊原料等のニッチな商材の取扱いに加え、競合他社の参入が少ないアフリカ・中東・東欧地域での独自調達により差別化を図っている。 例えば、当社が取り扱うシリカフュームは、高層ビルの建設時に使用される超高強度コンクリート向け混和材として利用されるが、当社商品の使用を前提とした処方で認可が取得されており、国内シェアは約95%に達する。他にも、難燃助剤として使用される三酸化アンチモンは、中国のレアメタル輸出規制に対しても中国以外の輸入元から調達を継続できたことで受注を拡大できた。
今後も市場競争力を有する高利益商材を増やすことで、景気変動に左右されにくい事業構造を目指す方針である。
Q. 化学品事業では、為替や仕入れ価格の変動にどのように対応しているのか?
A. 海外から仕入れた商材を国内で販売するため、為替や仕入れ価格の変動による影響は受けるものの、原価上昇分は販売価格へ転嫁することで利益を確保している。
Q. 化学品事業における重要指標は売上総利益ではなく営業利益という認識で合っているか?
A. その認識で合っている。
Q. 今期の人件費が前年比で増加している理由は何か?
A. 主な要因は毎年実施しているベースアップと賞与の増加であると考えている。賞与は経常利益に連動する制度となっているため、近年の業績の拡大に伴って賞与額が増加している。また、前期は当初の経常利益見通しが低く、2Qまでの賞与引当金繰入額が低めに見積もられていたことにより、2Q時点では前年との差が大きくなっている。なお、この差は4Qにかけて縮小していく見込みである。
なお、今後もベースアップや業績に応じた賞与制度は継続する方針であることから、人件費は増加傾向で推移する見通しである。
Q. 機械事業の2Qまでの業績をどのように評価しているか?
A. 民需は顧客の設備増設や定期修繕のサイクルの影響を受け、やや低調に推移している。一方、官需は大都市圏の元請工事や部品・修理の需要が活発化したことや、海外もインドへ納入した機械の部品・修理が好調に推移した結果、民需の低調を補い、全体では前年同期比でほぼ横ばいで推移している状況である。
Q. 受注残には民需向けの案件が中心であるという認識で合っているか?
A. その認識は間違っており、受注残には民需向けだけではなく官需向けの案件も含まれており、現状は官需向けの構成比の方が高くなっている。
Q. 受注残が売上として計上されるまでに要する期間は各事業でどの程度となっているか?
A. 案件の規模によって異なるものの、機械事業は受注から納入まで概ね6~12ヶ月程度、化学品事業は5~12ヶ月程度を要する。
Q. 中期経営計画における2028年10月期の売上高700億円、営業利益70億円の達成に向けた成長ドライバーは何か?
A. 機械事業を成長の中心に位置付け、3つの柱で事業拡大を進めている。
第一の柱は遠心分離機であり、新工場の稼働を通じて生産効率を高め、インド等の海外における大型化学工場向け需要への対応と、国内向け中小型機の納期短縮を図る方針である。
第二の柱は低温廃熱活用事業のバイナリー発電装置、小型蒸気発電装置、熱交換器である。これらのメンテナンス案件は今期から徐々に業績へ寄与し、機器納入も来期以降実現を見込むことから最終年度までに売上高10億円規模への成長を見込んでいる。
第三の柱は欧州等からの環境関連機器の輸入・販売であり、機械商社型ビジネスを拡大していく方針である。
Q. バイナリー発電装置は、どのような用途で使用されるのか?
A. 下水処理場やごみ処理施設、民間工場等で廃棄される低温の廃熱を回収し、電力へ変換する用途で使用されている。
Q. 顧客にとってバイナリー発電装置を導入するメリットは何か?
A. 従来は廃棄していた廃熱を発電に活用することで、電気代の削減とCO₂排出量の削減を実現できるほか、補助金を活用することで導入時の費用負担を抑えることができるというメリットがある。
Q.TOPIX採用維持に向けた対応方針はどのようになっているか?
A.当社としては可能な限りTOPIXへの採用維持を目指す方針であり、基準達成に向けて各種施策を進めている。現状は厳しい状況にあると認識しているが、結果に関わらず企業価値向上に向けた取り組みは継続する方針である。
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