607A エブリー 4Q後取材 20260914【初回取材】
2026/10/01
2026/10/01
Disclaimer
この取材ノートは投資の参考となる情報提供を目的としたもので、掲載企業の株式 (有価証券) についての投資判断あるいは有価証券の価格やリターンに対する動向に関する助言を行うものではありません。
当取材ノートに投資勧誘を意図するものはなく、投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。
取材ノートに記載された内容は取材時の内容・取材ノート原本を一言半句違わず記載しているものではなく、話の流れ等が分かりやすいよう幾らか加筆している部分がございます。ご了承ください。
また、取材ノートに記載された内容等は取材・作成時点のものであり、正確性・完全性を保証するものではなく、今後予告なく修正、変更されることがあります。
大きい変更があった場合は再投稿という形で新しく上げ直すよう努めます。
※こちらの取材ノートは 企業様検閲済み となっております。
スピーカー: CFO
P/E 11.8x P/B 3.33x (取材記事公開日現在)
Q.創業から今日に至るまでの事業の経緯はどのようになっているか?
A.代表取締役社長である吉田がグリーに在籍していた際、スマートフォンの普及に伴うモバイルシフトが進行する中で、信頼できる情報を発信する動画メディアを立ち上げたいという考えのもと、2015年に当社を創業し、特に日々の暮らしに不可欠な「衣食住」の領域を主軸に捉え、事業を開始した。
そのような経緯のなか、現在の主力メディアである「デリッシュキッチン」や育児メディアの「MAMADAYS」(2023年に「トモニテ」に名称変更)、ライフスタイルメディアの「TIMELINE」などの複数のメディアを同時に立ち上げた。
特に、主力メディアの「デリッシュキッチン」については、当時、静止画のレシピメディアが主流であったなかで、管理栄養士監修の高品質なコンテンツを動画で配信することにより差別化を図り、多数のユーザーを獲得した。また、TVCMの出稿料の約3割が食品飲料メーカーからの広告出稿であるなど、食品飲料業界における広告宣伝市場の規模は大きく、それらメーカーに対して、広告ソリューションを提供することで、マネタイズも加速した。
2019年に実施した伊藤忠食品との資本業務提携も大きな転機となった。伊藤忠食品が持つ全国の小売企業とのネットワークを活用することで、小売店舗内のデジタルサイネージの設置台数が拡大するなどリテールメディア領域での取り組みが進み、それらデジタルサイネージに広告を放映する「ストアビジョン広告」による収益の獲得が進んだ。また、小売企業とのリレーションが強化されることで、POSデータやID-POSデータなどの実店舗でのデータを獲得できるようになり、それらを活用することで、広告施策による実際の購買への影響を可視化・証明できるようになり、広告主からの出稿料が増加した。また、2022年には同じく大手食品卸企業である加藤産業からも出資を受けるなど、食品卸企業との提携は足許でも進んでいる。
Q.上場の背景はどのようになっているか?
A. 資金調達手段の多様化や知名度の向上による採用競争力の強化、社会的信用の獲得による取引先との関係構築が主な狙いである。当社の成長戦略の一つであるリテールメディア領域でのビジネスの拡大は、食品卸・小売企業との長期的な連携が前提となるものであり、上場企業としての透明性・信頼性が、そうした企業との取引をスムーズにすると考えている。今後、着実に業績を伸ばし、時価総額を上昇させていくことが重要であると考えている。
Q.御社の強みをどのように考えているか?
A. 当社最大の強みは、「デリッシュキッチン」が持つオンラインデータと、食品卸・小売企業との連携によって獲得する実店舗での購買データなどのオフラインデータを組み合わせた「食生活行動ビッグデータ」にある。これにより、生活者の食トレンドや興味関心に沿った的確な広告プランニングが可能になるだけでなく、これまでのデジタル広告では実現が難しかった、実店舗における広告効果の可視化までを実現できる点が独自性だと考えている。
特に、食料品業界のメーカーは、競合商品のユーザー層や利用シーンなどを多角的に分析した上で、マーケティング戦略やプロダクト戦略を構築しているため、当社のサービスはオンライン・オフライン双方のデータを活用して戦略立案から広告効果の可視化までをサポートできる点で大きな強みであると考えている。
Q.人流データなどのオフラインデータをどのように収集しているのか?
A.スマートフォンでデリッシュキッチンのアプリをダウンロードしているユーザーには個別のアドIDを付与している。そのユーザーがスーパーに来店すると、提携先が提供するビーコンを活用し、入店を検知する。さらに、提携先のポイントカード等と連携しているユーザーについては、アドIDを通じてID-POS等の購買データと連携しており、提携先のスーパーを利用するデリッシュキッチンのユーザーについて、オンライン上の行動から来店・購買までを一気通貫で分析できる仕組みとなっている。
Q.デリッシュキッチンの月間アクティブユーザー数はどの程度か?
A.決算説明資料P.8に記載のとおり、アプリ・ウェブの合算で3,100万超となっている。
Q.デリッシュキッチンのアプリ内ではどのようなデータを収集しているのか?
A.決算説明資料P.12,13にも記載されている通り、ユーザーの属性、料理スキル、食事や健康に関するデータに加え、アプリ内での検索や回遊履歴を取得している。さらに、定期的に実施するアンケートの情報も組み合わせてデータを収集している。
Q.Marketing Solution ビジネスにおいて、メーカーと小売流通から計上される売上の割合はどのようになっているか?
A.具体的な数値は開示していないが、基本的には食品メーカー等の広告主からの収益の割合が大きい。
Q.Marketing Solution ビジネスにおいて、食品卸はどのような役割を担っているか?
A.デジタルサイネージの設置における小売企業への営業活動や設置後の保守運用、デジタルサイネージへの広告配信ソリューションである「ストアビジョン広告」の案件獲得など、リテールメディア領域での取り組みにおいて、幅広い役割を担ってもらっている。当社が持つシステム開発技術や広告ソリューションに対するノウハウ、レシピコンテンツなどと、食品卸が持つ小売企業や食品・飲料メーカーとのネットワークを組み合わせることで、小売企業に対するDX支援やメーカーに対するリテールメディアを通じた効果的な広告ソリューションの提供を実現することができている。
Q.デジタルサイネージの設置にかかる費用は誰が負担しているのか?
A.デジタルサイネージやセットトップボックスのハードウェア費用及び設置に関わる費用は、基本的には食品卸企業に負担していただいているケースが多い。その代わり、当社が獲得した広告収益をレベニューシェアで食品卸に還元するといった座組で提携している。
Q.今後の売上の成長ドライバーをどのように考えているか?
A. 主力事業であるMarketing Solutionビジネスでの顧客単価の向上が最も重要であると考えている。特に年間の顧客単価が1,000万円を超える顧客のことを「ロイヤル顧客」と定義し、ロイヤル顧客社数を増加させ、それに伴う顧客単価の向上を目指したい。具体的な戦略については、決算説明資料のP.33に記載のとおりであり、継続出稿の獲得や複数ソリューションのクロスセル、同一顧客内での取引ブランドの拡張などを通じて、単価の向上を実現したい。
主な顧客である大手の食品飲料メーカーは、現状、TVCMなどのマスマーケティングに多くの予算を投下しており、足許で進んでいる広告のデジタルシフトの流れのなかで、当社サービスへの予算のシフトを狙っていきたいと考えている。
Q.現在の顧客単価の規模感はどのようになっているか?
A.最大規模の顧客で年間2億円程度である。1億円以上の顧客も既に一定数存在している状況である。
Q.顧客単価が上昇し続けている要因は何か?
A.前述の通り、当社が保有するオンライン・オフライン両面でのデータ基盤により、実際の広告効果を可視化できるようになったことで、広告主の出稿金額が増加しているというのが一番の要因である。
Q.更なる顧客単価の上昇に向けた施策をどのように考えているか?
A.決算説明資料のP.33に記載している戦略を愚直に実行し続けることを重視しているとともに、データ基盤の更なる強化が重要であると考えている。特に、小売流通との連携の更なる強化により、購買データなどの実店舗でのオフラインデータの収集を加速させることで、広告プランニングや広告効果の可視化の精度がより向上し、収益拡大に繋がると考えている。
Q.顧客単価7億円超の顧客が生まれるまでに、どの程度の時間がかかると想定しているか?
A.具体的な計画は開示していないが、食品飲料業界の大手企業の広告予算は、未だにテレビCMへの広告出稿が半分程度を占めている状況であり、この予算のアロケーションが一朝一夕に大きく変化することはないため、一定の年月は必要であると考えている。一方で、広告費用のデジタルシフトは着実に進んでおり、当社が提供できるソリューションも今後更に高度化することが想定されるため、7億円という目安は十分見通せる数値であると考えている。
Q.今期の売上成長率はどの程度か?
A.今期の全体の売上成長率は16.5%、主力事業であるMarketing Solution ビジネス単体の成長率は31.6%を計画している。
Q.Marketing Solution ビジネスの成長率に比べて、全体の売上成長率が低い要因は何か?
A.その他ビジネスにおけるKDDIとのライブコマース事業が9月末に終了することに伴い、取引が減少することが要因で、全社の成長率が低くなっている。
Q.Marketing Solution ビジネスの売上成長率は、今後も30%前後を維持しながら売上を拡大させていくという認識で問題ないか?
A.その認識で問題ない。
Q.販管費は一定のコントロール下の水準で推移する一方、売上が拡大することで営業利益を成長させていくという認識で問題ないか?
A.その認識で問題ない。決算説明資料のP.26に記載のとおり、直近では販管費を増加させない状況においても、生産性向上により売上成長を続けている。今後も収益性を意識した財務運営を継続したいと考えている。
Q.前期まで営業利益が赤字であった要因は何か?
A.人件費等の固定費が先行していたことが要因である。メディアの立ち上げに際して、システム開発に対する投資やコンテンツ制作への投資、ユーザー獲得のためのマーケティング活動への投資などが先行していた。
先行投資の結果、現在においては、一定以上のユーザー数やデータ基盤、収益基盤の獲得に成功し、黒字転換にも成功している。今後について、現時点では大規模な投資等は計画しておらず、収益性を意識した財務運営により、安定して利益を創出していきたいと考えている。
Q.BtoC領域であるConsumer ビジネスをどのように位置付けているか?
A.安定的な収益基盤として位置付けており、引き続き一定の成長を見込んでいる。主力事業はMarketing Solutionビジネスであるが、継続的にアプリのUXの向上などに取り組むなかで、今後も有料会員数の増加等を見込んでいる。
Q.KDDIとのライブコマース事業終了の業績への影響はどのように考えているか?
A.前提として、KDDIグループとの取引が中心となる「その他ビジネス」は、番組制作などの受託がメインであり、主力事業であるMarketing Solutionビジネスとは別のものになる。そのため、「その他ビジネス」の縮小は当社の競争優位性や中長期での成長戦略自体に影響を及ぼすものではない。当該領域における収益の減少により、売上高成長率などに対する一時的な影響は発生するが、Marketing Solutionビジネスの継続的な成長によりそれらを補完し、全社としては増収増益を確保できると考えている。
Q.決算説明資料P.35に成長戦略として記載されている小売アプリとデリッシュAIはどのようなサービスなのか?
A.「小売アプリ」は小売企業が消費者に対して提供するアプリのことで、ポイントや決済、クーポンなどの機能が搭載されているものを指す。当社は自社アプリの開発・運営で培ったノウハウを活用し、システムの開発や保守運用、アプリのユーザー拡大施策などを支援している。
「デリッシュAI」は、管理栄養士が監修する57,000本を超える当社のレシピコンテンツと、アプリ内での検索・閲覧等のユーザー行動データを前提としてレシピの提案を行う機能である。一人ひとりの嗜好や利用状況を踏まえたうえで、よりパーソナライズされた提案を行うことができることが当該サービスの特徴であり、こうした機能の拡充を通じてユーザー体験の向上を図っていきたい。加えて、料理を決める前のユーザーのインサイトデータの収集・活用にもつながっており、当社のデータ基盤の強化にも寄与する取り組みであると考えている。
Q.小売アプリの収益は、Marketing Solution ビジネスの売上成長率30%という目標の達成に向けてどのように貢献するのか?
A. 短期の目線では、小売アプリソリューション単体で大きな収益を獲得していくことは想定していない。当社がこの領域に取り組むことの意義は「食生活行動ビッグデータ」の強化にある。小売アプリの支援を行うことで、当社はアプリ内に蓄積された各ユーザーの実店舗での購買データ等を取り込むことが可能であり、これによりデータ基盤が強化され、Marketing Solutionビジネスの収益拡大に直結する。
また、中長期的には、当社が支援するアプリ内に広告枠を設置し、新たな広告ソリューションとして広告主へ提供し、収益を獲得するということも想定し得る。
Q.四半期ごとの業績推移の傾向や、事業の季節性はどのようになっているか?
A.広告主の出稿意欲が年末のタイミングで高まる傾向があることから、2Q(10-12月)の売上・利益が高くなる傾向がある。この傾向は業界的な特性によるものであり、今後も一定継続するものと考えているため、当社の四半期業績をご評価いただく際には、この季節変動を前提としてご覧いただく必要があると考えている。
Q.営業利益率20%の目標はいつ頃達成するのか?
A.明確な時期の開示はしていないが、数年先を想定している。Marketing Solution ビジネスの売上成長率を維持しつつ、販管費をコントロールすることで、数年後に達成することができると考えている。
下の投稿タグから過去のノートが参照できます。
追加の質問や、「これ違わない?」という指摘などあればコメント欄よりお願いします。
企業様宛のコメントや質問、要望なども受け付けております。
この辺りは公開されませんのでご安心ください。
コメント