8739 スパークス・グループ 1Q後取材 20260904【初回取材】
2026/10/02
2026/10/02
Disclaimer
この取材ノートは投資の参考となる情報提供を目的としたもので、掲載企業の株式 (有価証券) についての投資判断あるいは有価証券の価格やリターンに対する動向に関する助言を行うものではありません。
当取材ノートに投資勧誘を意図するものはなく、投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。
取材ノートに記載された内容は取材時の内容・取材ノート原本を一言半句違わず記載しているものではなく、話の流れ等が分かりやすいよう幾らか加筆している部分がございます。ご了承ください。
また、取材ノートに記載された内容等は取材・作成時点のものであり、正確性・完全性を保証するものではなく、今後予告なく修正、変更されることがあります。
大きい変更があった場合は再投稿という形で新しく上げ直すよう努めます。
※こちらの取材ノートは 企業様検閲済み となっております。
スピーカー: IR
P/E -x P/B 2.57x (取材記事公開日現在)
Q. 創業から今日に至るまで、どのように事業を拡大してきたか?
A. 当社は1989年7月に、現社長の阿部が創業した独立系の運用会社である。当時の日本では独立系運用会社が国内で運用を受託することは一般的ではなかったため、創業当初は海外投資家から日本株の運用を受託することを中心に事業を展開した。
当時は大型株を中心とした運用が一般的であった中、当社はアナリストがカバレッジしておらず、価格形成に歪みが多い中小型の上場企業を自ら調査して投資する運用に注力した。その後も、ロング・ショート投資や集中投資など新たな運用戦略を開発し、バブル崩壊後やリーマン・ショック後の長期的な市場低迷期においても、新たな投資機会を探し、運用戦略を広げることで事業を成長させてきた。
現在は、創業以来の「良い投資を探す」という考え方のもと、事業を大きく4つの領域に広げている。
1つ目は日本株式である。大型株や中小型株等の伝統的な運用に加え、ロング・ショート投資やエンゲージメントを行う価値創造投資など多様な戦略を展開しており、2026年6月末のAUM(=運用資産残高)2兆6,123億円のうち、約1兆7,406億円を占める最大の柱となっている。
2つ目はアジア株式への投資であるOneAsiaである。日本株式に偏らない事業構成を構築するため、2005年頃から韓国をはじめとするアジア地域へ投資対象を拡大し、2006年にはPMA Capital(現SPARX Asia Capital)を買収するなど、アジアでの運用基盤を構築してきた。
3つ目は実物資産である。東日本大震災を契機に、化石燃料や原子力だけに依存しないエネルギー体系の構築に貢献したいとの考えから、再生可能エネルギー分野へ参入した。現在は全国で約350カ所の再生可能エネルギー発電所に投資しており、実物資産のAUMは約3,300億円まで拡大している。なお、同領域における不動産投資はAUMに含まれていない。
4つ目はプライベート・エクイティである。海外投資家との対話を通じて、AIやロボティクスなどの先端技術が将来の大きな投資テーマになると考えたことをきっかけに事業を開始した。日本ではモビリティ分野など製造業とのシナジーに着目し、事業会社や金融機関と連携してベンチャーキャピタルファンドを組成し、2015年から未来創生ファンドの運用を開始した。現在では未来創生ファンドに加え、宇宙フロンティアファンドも運用している。さらに、モノづくりの分野では企業の経営権を取得し、改善によって企業価値を高めるバイアウトファンドなどにも投資対象を広げている。
Q.中長期的な経営目標をどのように考えているか?
A. AUM3兆円を当面の目標として掲げているものの、資産ごとの内訳等に関する明確な目標は設けていない。世界中により良い投資を行うために運用の質を高めることに注力することで、結果としてAUMも増加していくと考えている。
Q. 顧客の属性はどのようになっているか?
A. 日本株式やOneAsia領域は海外の機関投資家が一番比率として高い構成となっている。日本株式では公募投信の商品もあることから個人投資家も一定の層を形成している。一方、再生可能エネルギー等の実物資産やプライベート・エクイティの領域は、事業会社や国内の機関投資家が多く参画している。なお、事業全体としては海外投資家の顧客を中心に事業を開始した背景もあり、現在でも海外機関投資家の比率が約45%と高い水準にあることが特徴となっている。
Q. 日本株式領域の中長期の見通しはどのように考えているか?
A. ロットが大きな海外の機関投資家に対して、長期厳選投資や中小型投資等の戦略に投資してもらうことで、AUMの拡大を目指している。
一方で、収益性の向上を考慮すると、成功報酬が付帯することが多いロング・ショート投資や価値創造投資等の販売を強化したいと考えている。また、2025年には欧州の機関投資家が投資しやすいUCITS(EU圏内における投資信託に関する規制)に準拠した日本株ロング・ショートファンドを新たに立ち上げ、これにより欧州の年金基金などが投資しやすい受け皿を整備したため、欧州を中心にマーケティングを強化している。
Q.今後もAUMの継続的な増加を目指していけるという認識で良いか?
A. その認識で問題ない。AUMが増加しても対応できる組織能力はあり、長期的な視点では顧客数を増やしてAUMと収益を増加させていく方針である。ただし、足元では市場環境が非常に良かったこともあり、パフォーマンスが一定水準を超えるとリバランスに伴う解約も発生する。そのため、純粋な資金流入は緩やかになっており、現在のAUMは、保有株式の時価上昇による影響が大きい状況である。
Q.新規顧客の獲得に際して、営業組織ではどのような目標やKPIを設定しているか?
A. 新規顧客獲得のみに特化した目標は設けておらず、既存の投資家にも追加で資金をお預かりいただけるように営業活動を行っている。そのため、口座開設数や取引顧客数等の特定のKPIを継続的に管理することはしていない。当社グループの投資方針を理解していただける顧客との長期的な関係性を非常に重要に考えている。
Q. 運用者の人員不足等の課題は生じているか?
A. 現時点において運用者は不足していない。当社はファンドマネージャーを外部から招き入れることはせず、基本的には若手や中堅のアナリストが当社の運用方法を学び、ファンドマネージャーへと成長するよう育成する方針をとっている。
育成には時間がかかり、運用業界全体で年齢層が上昇しており、採用が激化することを考慮すると、将来的には若手を中心に次世代の人員不足が生じる可能性もあるが、当面の間は問題ないと考えている。
Q. 残高報酬料率の引き下げ競争等、AUMを獲得しても収益が低下する外部的なリスクはあるか?
A. 欧州等で日本株運用のコンペティションに参加する際、海外の運用会社が低い残高報酬料率を提示してくるなど、価格低下の圧力は存在している。しかしながら、当社は運用パフォーマンスだけでなく、バックオフィスを含む運用体制など、運用会社としての総合力を評価する投資家との取引を重視することで、価格競争に巻き込まれないよう努めており、足元の残高報酬料率は低下傾向にあるものの、これ以上の低下を避ける水準での契約を目指している。
なお、プライベート・エクイティや実物資産についてはそのような残高報酬料率の引き下げ圧力はいまのところない。
Q. 2026年3月期に成功報酬が大きく増加しているが、成功報酬を収益構造上どのように位置付けているか?
A. 収益の土台はあくまで基礎収益であり、成功報酬は追加的な収益と位置付けている。基本的に上場株式から得られる成功報酬は市場環境の影響を受けやすく、毎期安定して発生するものではない。
しかしながら、足元ではプライベート・エクイティ領域で2015年に運用を開始した未来創生1号ファンドが2027年3月期中に契約期間の満了を迎えるなど、ファンドの運用期間が進むにつれて投資回収が本格化し、成功報酬が発生する段階に入りつつある。
今後、複数のプライベート・エクイティ領域のファンドや実物資産から継続的に成功報酬を得られるようになれば、上場株式の成功報酬と比べて相場環境に直接左右されにくい収益が積み上がり、成功報酬全体の安定性が高まる可能性がある。そのため、中長期的には業績を押し上げる要因になると考えている。
Q. 2027年3月期末のAUMはどのような見通しとなっているのか?
A. 運用による変動等様々な要素があるため、現時点においてAUMの見通しは開示していない。ただし、投資家の方が進捗を把握できるようにAUMの結果は毎月開示を行っている。マーケティング活動としては、継続的に海外の機関投資家向けに中小型、ロング・ショート、韓国株式等の投資戦略を狙っている。
Q. 海外の機関投資家から見た、足元の日本の株式市場に対する関心度合いやアロケーションの状況はどうか?
A. アロケーションを減少させるという動きは聞いておらず、引き続きポジティブな反応を得ている。また、最近のコーポレートガバナンスコードの改善等は、日本の株式市場に対する信頼を高める要因になっており、ポジティブに働くと想定している。
Q. OneAsia領域は今後も海外投資家からの受託を増加させる成長ドライバーになり得るという認識で良いか?
A. その認識で問題なく、足元ではAUMに占める韓国株式投資の割合が拡大している。韓国株式戦略のAUMは、特定の海外機関投資家が占める割合が高く、新たな投資家を受け入れる余地は十分にある上に、市場環境も良くアウトパフォームもしている。そのため、直近では米国の機関投資家からの引き合いがあり、7月から少しずつ資金が流入してきており、今後もこの流れを継続させることで大きなロットを獲得することを目指している。
一方、日本・韓国を除くアジア株式投資に関しては長年にわたり調査・運用を行っている強みがある。今後の成長についてはマーケットのポテンシャルが大きいので、長期的には大きく成長すると捉えているが、短期的にはかなり控えめに想定している。
Q. OneAsiaのAUMが増加している理由は何か?
A. 韓国株式のAUMが大きく成長しており、半導体等の市場成長もAUM増加の要因となっている。さらに、日本と同様にガバナンス改善の動きや、政府による積極的な政策が注目されている。
Q. AUMの増加について、保有株式の株価上昇と資金流入を分けて示せるKPIはあるか?
A. 市場全体が急激な成長を示しているため、実力値として純粋にどれだけ資金を獲得できたかなどについて明確な数値を示すのは難しい。ただし、当社の韓国籍ファンドは2年・3年の期間ではKOSPI(=韓国総合株価指数)と比較してアウトパフォームしている。
Q. 実物資産領域の蓄電所事業は今後も安定して成長していく見通しか?
A. 蓄電所自体は成長分野であると考えている。開発競争が激しいため、短期的には成長が鈍化する可能性もある。しかし、現在組成している100億円規模のファンドにおいて、どれだけ着実に積み上げられるかが今後の成長を占う上で重要となるため、この1年から2年が勝負であると考えている。
実物資産は上場株と異なり、10年から20年の長い契約期間で資金が流出しないため、着実に積み上がっていく安定したビジネスモデルである。2026年3月には北海道を投資対象とする官民連携GXファンドを立ち上げており、2027年3月期末までの募集に向けて引き続き取り組んでいる。
Q. 実物資産領域やプライベート・エクイティ領域では、ファンドの組成はどのような方針で行っているのか?
A. 実物資産領域については投資対象のソーシング次第であり、計画的に立ち上げるのは難しい部分がある。一方で、プライベート・エクイティ領域については、契約期間が10年であり、最初の5年間が投資期間、後半の5年間が回収期間となるが、5年経過後に報酬の基準となるAUMが低下するため、その低下の時期に合わせて新たなファンドを立ち上げるという戦略をとっている。
Q. 足元のファンドの立ち上げ状況はどのようになっているか?
A. 2026年3月に、実物資産領域では蓄電所を投資対象とするファンドと北海道を投資対象とするGXファンドを立ち上げており、プライベート・エクイティ領域では2027年3月期1Qにベンチャーキャピタルファンドの後継ファンドとバイアウトファンドの後継ファンドを一つずつ立ち上げている。日本モノづくり未来2号ファンドはAUM500億円の目標に対し2026年8月末時点で400億円を超える水準まで積み上がっており、2027年3月期中の目標達成を目指している。
一方、上述のベンチャーキャピタルファンドは2026年8月末時点でAUM200億円弱までしか積み上がっていないが、今後1,000億円規模を目指していく。
Q. 未来創生ファンドと日本モノづくりファンドは、プライベート・エクイティ領域に含まれるという認識で良いか?
A. その認識で問題ない。日本モノづくり未来ファンドはバイアウトファンドであるが、IR上はプライベート・エクイティ領域に含めている。
Q. プライベート・エクイティ領域は成長戦略上どのような位置づけとなっているか?
A. プライベート・エクイティ領域は前述のとおり、契約期間が10年で、前半5年間で投資を行うため、短期間で加速度的にAUMを増加させることは難しい。
一方で、残高報酬料率が1%以上と高く、収益性の高い戦略であることは間違いないため、複数の投資戦略を持つことでバランス良く後継ファンドを組成し成長させていくことが会社の方針である。
Q. 来期以降のAUMの見通しはどのようになっているか?
A. 2027年3月期1Qにおいて新規で組成したベンチャーキャピタルファンドとバイアウトファンド等の主力ファンドの投資期間が過ぎないと次のファンドを立ち上げられないため、来期から数年間はAUMの増加が少し落ち着くと想定している。
ただし、未来創生1号ファンドは2026年11月に契約期間の満了を迎え、2号ファンドも2028年に契約満了を予定しているため、収益的には追加的な成功報酬が発生する余地は十分にあると考えている。
Q. 2027年3月期は残高報酬料率の改善によって収益が増加してくるという認識で良いか?
A. プライベート・エクイティ領域のAUMが増加したことで、1Qは前年同期比で残高報酬料率が低下しているものの、直近の四半期比較では上昇し、残高報酬料率は改善してきていると考えている。収益の増加は残高報酬料率とAUMから算出されるので、AUMの推移も重要である。1Qでは平均AUMが前年同期比で約3割増加している。
Q. 手元資金の活用や運用会社のM&Aを含む還元方針等、キャピタルアロケーションの考え方はどのようになっているか?
A. これまではリーマン・ショック時にAUMが減少しリストラを行った経験から、経常的な経費の3年分を現預金として保有する方針としていた。しかしながら、現状はAUMが安定的に推移し、固定費も大幅に増加しておらず、投資有価証券も上場株ファンド等流動性の高い資産であるため、経常的経費の2年分まで現預金を引き下げる方針へ転換した。
余剰資金は自己勘定投資や新規事業におけるパイロットファンドへのシード投資等の成長投資に充てると同時に、株主還元も増加させていく方針のため、直近で発表した通り、今後の基礎収益の増加に合わせ、配当を増加させていく予定である。
下の投稿タグから過去のノートが参照できます。
追加の質問や、「これ違わない?」という指摘などあればコメント欄よりお願いします。
企業様宛のコメントや質問、要望なども受け付けております。
この辺りは公開されませんのでご安心ください。
コメント