8508 J トラスト 2Q後取材 20240911、20240917【初回取材】

2024/10/03

2024/10/07

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株探 バフェット・コード

スピーカー: IR
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Q.事業の成り立ちから現在までの経緯はどのようになっているか?

A.1977年に一光商事として設立され、2008年に現社長の藤澤が全国保証からイッコー(旧一光商事)をTOBしたことを契機として、実質的にJトラストとしての事業が始動することとなった。2008年から2012年にかけては、国内の消費者金融やクレジットカード会社を買収することで事業拡大を行っていた。2011年から韓国に進出し、アベノミクスの影響により当社株価が急騰したことを契機に2013年のライツ・オファリングにより約970億円の資金調達に成功し、海外進出を加速させることとした。
現在は主に銀行業・証券事業・クレジットカード事業業・サービサー(不良債権の買取り・回収ビジネス)等の幅広い金融事業を手掛けており、好景気時は銀行業が好調に推移、景気悪化時は不良債権が増加するためサービサー事業が好調に推移するなど、全体として景気の影響を受けにくい事業ポートフォリオを構築している。また、海外進出も積極化することでもカントリーリスクの分散も行っている。これにより、2008年では連結子会社2社、社員数が81名だったが、前期末時点では連結子会社30社、社員数が3,082名にまで成長している。

Q.信用保証事業の事業内容とその状況はどうか?

A.提携先の金融機関が貸付をする際に、借入人から一定の信用保証料を受け取る代わりに、借入人がデフォルトとなった場合にその債務の履行を保証する事業であり、主な保証対象は収益不動産の購入ローンに関する債権である。2024年6月末時点の信用保証残高は2,432億円であり、信用保証料は平均で1%程度のため、年間20~25億円程度の営業利益を計上している。

Q.日本保証は投資用不動産のローンの保証であり、全国保証は住宅ローンの保証という理解で合っているか?

A.その理解で合っている。

Q.日本の信用保証事業について、どのような流れで案件獲得に至るのか?

A.信用保証事業の対象は投資用物件のローンに関する債権の保証となる。提携している投資事業者が投資用物件を買いたいという時に日本保証に連絡が来る。その後、日本保証側で保証可否を判断し、保証可能な場合に保証提携している銀行に紹介し、融資が成立する。

Q.なぜ日本保証に保証料を払ってまで保証してもらうのか

A.銀行単独の融資では審査が通りにくい属性の時などに効果がある。銀行は属性を気にする一方で、当社は担保価値を気にしているため、銀行だけでは属性を考慮して融資がしにくい時などに効果がある。

Q.銀行が担保価値を基準に貸し出さないのは査定のノウハウが蓄積されていないなどの問題か?

A.不正融資に関連する事件等を経て、銀行が業者に対して属性を重視して融資する傾向になったためである。

Q.投資用物件のローンの保証事業について、事業上の競合はどのような企業か?

A.ローン保証を行っている会社は多いが、多くは住宅ローンの保証を行っており、投資用物件の保証はブルーオーシャンと考えている。理由は不明だが、投資用物件の保証は住宅ローン以上にリスクがあると考えられているためと推察している。

Q.保証料の引き下げなどを迫られることはあるか? 価格交渉力はどのようか?

A.保証料を下げることはあまりないが、現在当社ではリスクに応じて3つの保証料率を設定しており、それらのミックスが変わり、全体の保証料率が変わって見える可能性はある。

Q.しばらく伸び悩んでいた保証残高が、直近で伸び始めたのはどのような背景か?

A.自社で不動産事業を立ち上げ、自社案件は当社のグループ会社で保証するような流れにすることで、保証残高が伸びている。今後も年間100億円程度の貢献を見込んでいる。

Q.日本の政策金利の上昇等の影響はあるか

A.現状では無いが、1~2%と金利が上がり、投資用ローンの利率が上がっていき、買い控えが起きた場合は影響する可能性がある。

Q.サービサー事業の事業内容とその状況はどうか?

A.金融機関などから不良債権額面の25%程度で買い取り、債務者に対して債権の回収を行う事業である。当社が保有している不良債権のうち、回収余地のあると考えているものの残高は約1兆円ある。当該事業はIRRが28%程度あり、現在は年間25億円程度の営業利益を計上している。また、保有残高も上昇しており、今後も増益の見込みである。

Q.証券事業の事業内容について

A.一般的な総合証券事業(金融商品取引業)を行っており、また、当社がIPOの取扱権限も取得していることが特徴である。現在、大手のネット証券や老舗証券会社との差別化を図るため、プライベートバンキング事業の強化に注力している。

日系証券会社では、不正防止の観点から数年で顧客の担当者が変わるが、当社は長期にわたって顧客と密にコミュニケーションを取り、顧客の長期的な資産形成に資するサービスの提供が可能な体制を構築し、外資系証券会社と同等のプライベートバンキングサービスを目指している。

現在の預かり資産残高が約4,000億円と順調に増加しており、5年後(2028年12月期)には預かり資産残高1兆円、営業利益では30~35億円程度を目指している。

Q.プライベートバンキング事業について、5年後の預り資産1兆円という目標の達成方法や確度をどう見ているのか?

A.今年1月にクレディスイスやUBSでプライベートバンカーとして最前線で業務を行っていた松木を副社長に招聘した。人を増やすと同時に人材教育を行っていくため、預かり資産も増えていくと考えている。IPOした創業者の自社株を入れて貰うなど、様々な施策に取り組んでいる。

Q.プライベートバンキング事業の収益性の現状と見通しはどのようか?

A.前期までは先行的な投資により若干赤字だったが、今期からは黒字になる想定である。また、今後は前年比での増益を続けられると考えている。通期計画の営業利益約1.8億円に対し2Q時点で2億円超となっており、通期で5億円程度の着地を見込んでいる。

Q.日本事業の収益性について、事業モデル上は安定している印象だが、四半期でブレがあるのはなぜか?

A.回収実績に応じた引当金の計上があり、それが四半期単位では増減することがあるが、通年で見れば安定して利益が出る事業と考えている。

Q. 日本金融事業(クレジット・信販事業)の状況はどうか?

A.現在はショッピングクレジットが好調である。具体的には、エステ脱毛、ジム、ゴルフ、美容医療クリニック等を中心に加盟店が増加したにより割賦売掛金残高が順調に増加しており、今期計画を過達する見込みである。

Q.韓国及びモンゴル金融事業の事業内容とその状況はどうか?

A.韓国では営業可能エリアが一定の地域に限定されている、貯蓄銀行を2行運営しており、2行合計で貯蓄銀行79行のうち第6位の総資産額を誇っている。

JT親愛貯蓄銀行は、韓国経済の悪化の影響により貸出残高が減少傾向・不良債権比率は増加傾向にあるが、経済悪化は底打ち感や、審査を厳格化し優良な債権のみを厳選して債権の入れ替えを行っていることから、黒字化を達成している。なお、不良債権比率は10.18%だが、貸倒引当金を控除した比率(ネット)は3.06%であり、健全な水準である。

JT貯蓄銀行は、主に法人向けローンで不動産関連のプロジェクトファイナンスで発生した不良債権の影響があり、ネットの不良債権比率は7.28%と比較的高い水準にある。ただし、当該不動産を担保としているため、レギュレーション上で引当率が低くなっており、不良債権の大部分は回収可能と考えている。

モンゴル金融事業は現時点で規模が小さく、業績への影響が非常に軽微である。

Q.韓国の貯蓄銀行2行の預貸スプレッドが改善している要因は何か?

A.2022年後半にアメリカで地方銀行が数社破綻したことを契機に預金金利が上昇した際に獲得した預金の影響が収束したためである。預金金利は基本的に1年毎に見直しがなされる一方で、平均貸出金利は3~5年毎の見直しとなるため、預金金利上昇分を貸出金利に転嫁できていなかった。
なお、前期は金利の影響や債権の不良化に備えた引当金の積み増しにより約35億円の営業損失となったが、預貸スプレッドの改善や債権の厳選等により、今期は営業利益8億円を達成予定であり、2026年度には営業利益50億円を見込んでいる。

Q.韓国事業について、不良債権の整理は終わったと見て良いのか

A.2022年以降に貸し付けたものについてはほぼ不良化しておらず、ほぼ出尽くしたと見ている。

Q.韓国事業の貸出残高について、減少傾向が止まって増加に転じる見込みはあるのか

A.貸出についてはBIS比率が関わっており、不良債権が多いと貸出残高を伸ばすことが出来ない。スプレッドが改善し、利益を積み上げて自己資本が増えていく局面に入れば増加に転じる見込みである。

Q.韓国事業の今期の黒字化計画に対して、上期の進捗をどう評価しているか?

A.上期時点では-11億円の想定に対して1億円程度上振れて推移しており、計画対比では堅調と考えている。

Q.東南アジア金融事業の事業内容とその状況はどうか?

A.Jトラスト銀行インドネシアは貸出資産ベースでインドネシアの商業銀行105行中31位に位置している。経営再建に向けて経営層を刷新後、債権の不良化是正に向けて、2019年から2020年にかけて一時的に新規貸出を停止し、審査基準の見直しを実施した。

新規貸出を再開後、コロナ禍が収束した頃から国営企業や大企業といった優良企業向けを中心に貸出残高が増加し始めたことによりNIM(純金利マージン)は低下したものの、ネットの不良債権比率は0.97%まで低下しており、また貸出残高も順調に増加していることから営業黒字を達成することができた。また、資金調達コストも買収当時の9.30%から5.86%へ低下しており、健全な体制となっている。

Q.インドネシア事業について、なぜ過去は赤字が多く、今後は改善していくのか?

A.過去の赤字の要因は不良債権の多さであり、現在は解消している。今後は経済成長も合わせて残高が増えることにより増収増益になる想定である。

Q.インドネシア事業について、成長ドライバーの中心は何になるのか

A.今後数年に関しては銀行の貸出残高の伸びに伴い成長すると考えている。中長期的な観点ではサービサー (債権回収) のビジネスのポテンシャルが大きいと捉えているが、現状はレギュレーション上の課題があり、まだ大きな成長ドライバーには至っていないが将来的にはレギュレーションも緩和されるものと期待している。

Q.カンボジアの商業銀行事業の現状はどうか?

A.Jトラストロイヤル銀行は、現在貸出資産ベースでカンボジアの商業銀行59行中13位に位置しており、韓国やインドネシア進出の場合と異なり、買収当初から健全な財務体質である。また、Jトラストロイヤル銀行の預貸スプレッドは4.70%(2024年6月時点)と非常に高く推移している。一方で、中国経済の減速に伴い、コロナ禍収束後も中国マネーの流入が低迷していることから、貸出残高は微増から横ばいとなっている。また、不動産市況の冷え込み等により一部の債権が不良化し、ネットの不良債権比率は7.78%に上昇しているが、許容範囲内であり、現在は改善傾向にある。

Q.東南アジア金融事業の今後の見通しをどのように考えているか?

A.Jトラストグループの利益の柱になっていくと考えている。Jトラスト銀行インドネシアは預貸スプレッドが3.16%(2024年6月時点)と日本と比較して非常に高く、国営企業や大企業への貸出を増加しつつ、大手銀行が取り扱わない日系の中小企業向けの貸出にも強みを持っているため、引き続き貸出残高は堅調に推移すると見込んでいる。

Q.不動産事業はどのような状況か?

A.Jグランド及びグローベルスの2つの子会社で事業を展開しており、グローベルスは収益不動産の開発・販売、グローベルスは居住用不動産の開発・販売を行っている。両社合計で今期売上高200億円、営業利益11億円程度を見込んでいる。

Jグランドの業績は非常に好調であり、その理由として、当該不動産の購入者の債務を日本保証が保証することで、購入者は当社と提携先の金融機関を通じて45年ローンを組むことが可能となり、前金なしで利回り6%以上を見込めることから、即時完売の状況が続いているためである。

Q.投資事業の事業内容とその状況はどうか?

A.投資事業は、現在本質的な投資は行っておらず、過去に行った投資案件のうち、訴訟問題に発展していた案件が終結し、回収金等から裁判・弁護士費用のコストを差し引いた金額が利益となるセグメントである。

具体的には、タイの上場企業であるGroup Leaseの転換社債を引き受けたが、当該企業に財務諸表の虚偽記載が発覚し、当社はGroup Leaseに対し、転換社債引受の無効を主張する訴訟を提起した。その後、当社の主張が全面的に認められ、全額(約182億円)を回収できる権利を有しており、現時点で約8.5億円を回収済みである。

なお、同金額は貸倒引当金として計上しているため、回収完了した分から裁判・弁護士費用(年間20億円程度だが、今後は減少見込み)を差し引いた分が営業利益となる。

Q.バランスシートについて、投資や還元についてどう考えているか

A.余剰資金はM&Aのために取っておくというよりは自社株買いや配当を通して株主に還元したいと考えている。

Q.その他に押さえておくポイントはあるか?

A.各事業とも順調に推移しており、機関投資家からの懸念でもあった訴訟が終結したことによりレピュテーションリスクの解消も見込んでいる。当社全体として改善傾向にある一方、株価は低い状態で推移していると考えており、本年2月には自社株買いの発表を、8月には自己株式取得枠の拡大を行っている。

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