7059 コプロHD 1Q後取材 20230901 【初回】
2023/09/27
2023/10/18
IR Agents
さん
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スピーカー: IR
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Q.事業の成り立ちついて創業から確認したい。なぜ建設技術者派遣事業やSES事業を始めたのか?
A.代表取締役社長の清川は元々、テクノプロHDの子会社である建設領域の人材派遣会社、現在のテクノプロ・コンストラクションにおいて代表を務めていた。
当時の人材派遣ビジネスは、労働力の穴埋めとして位置付けられていたので、退職した人数の分だけまた採用すればいい、という考え方が主流だった。
清川はそのような考え方にジレンマを感じており、より技術者ファーストの人材サービスを作れないかと考えていた。しかし当時は雇われ社長であり、その考えの実現が難しかったため、弊社を設立した。
Q.人材派遣事業を建設業界で開始したのはなぜか?
A.実家が建設業を営んでいた清川は当初、家業を継ぐことを想定して地元の建設会社に就職した。その後、テクノプロHDにおいて営業を経験し、頭角を表して役員になった経緯から建設業界に精通していたためである。
Q.御社は創業から継続して増収しているが、その成長ドライバーは何か?
A.弊社のビジネスは、数量×単価で売上が成長する。単価は人材に結びついているので、値崩れすることはない。技術者数が増加すれば売上は成長するので、弊社は創業から17期連続で増収している。
Q.機械設計開発技術者派遣事業やSES事業は、どういった経緯で始めたのか?
A.機械設計開発技術者派遣・請負事業の株式会社アトモスと、SES事業のバリューアークコンサルティング株式会社の2社は、M&Aでグループインした会社である。売上に占める割合はまだまだグループの5%程度と小規模であるその中で2社がグループインした目的は2点ある。
まずは、建設技術者派遣事業は日本国内の建設投資に依存する部分がある。
また、株価に関しても、国内の建設投資の成長性を織り込まれてバリュエーションを付けられてしまうところがある。
そこで、創業以来17年間培ったノウハウを活用するために、エンジニアに特化した領域を広げて第二、第三の柱を作っていくという目的で、領域を拡大している。
なお、コア事業である建設技術者派遣事業に関しては、建設業界の人手不足が続くと見通しているので、人材アウトソースの事業は伸びると考えている。
Q.オープンアップグループなど大手の人材派遣サービスとの違いはあるか?
A.
【建設技術者派遣業界のポジショニング】
業界1番手はオープンアップグループの夢真であり、売上高は約400億円だ。
2番手はアウトソーシング傘下の共同エンジニアリングであり、売上は約210億円だ。
3番手がテクノプロHD傘下のテクノプロ・コンストラクションであり、4番手が弊社だ。
共同エンジニアリング、テクノプロ・コンストラクション、弊社の売上高は200億円前後であり、差は大きくない。
【各社のサービスの違い】
オープンアップグループは売上高において2番手以下と差をつけているものの、対顧客や対技術者のサービス上で大きな違いがあるわけではない。建設領域は、人材派遣業界の中でも差別化が図りにくい領域である。
弊社の中期経営計画においても、エンジニア応援プラットフォームを通じて、エンジニアのキャリアアップを派遣元である弊社が支援する取り組みをしており、各社がサービス上での差別化を図ろうと取り組んでいる段階だと認識している。
Q.長期的に差別化を図る上でポイントになるのは何か?
A.
【差別化のポイント】
弊社は過去1年間、業界上位3社に対して技術者の採用数においてアウトパフォームしている。この理由は、人材派遣の本質的なサービスの部分で競り勝てているからだと考えている。顧客に対しては、どれだけ豊富に求人案件をもらえるかと、どれだけ豊富な人材を抱えて提案ができるかということが重要である。また、求職者に対しては、どれだけ豊富な選択肢を提案できるかということが重要である。現在は顧客や技術者から支持を得て足元の数字が伸びているので、今後もこの部分で差別化を図りたい。
プラスアルファで重要なのは、技術者に長く務めて頂くことだ。経験に応じて技術が高まるので、2年目以降もキャリアを作ってもらう体制を整備する。
【業務提携】
現在、弊社では新しい取り組みとして、建設DXサービスのスパイダープラスや、プラント系の設備チェックや検査を手掛けているブルーイノベーションと業務提携をしている。
自社では生み出せない独自のサービスを持っている会社と提携することで付加価値を生み出す取り組みをしている。
Q.業務提携先に対しては、より多くの顧客にサービスを使って欲しいというニーズに応えられるのか?
A.その認識で問題ない。
例えば、スパイダープラスは、設備会社におけるシェアが高いが、今後はゼネコンにおけるシェアを広げたいという思惑がある。弊社もスーパーゼネコンをターゲットとしているので、思惑が一致している。
Q.顧客の所在地を都市部と地方で分けると傾向はあるか?
A.建設投資が多い東名阪が事業の中心になり、他社とも事業エリアに大きな違いはない。
以前は地方にも支店を構えていたが、営業の生産性を考慮した結果、地方の支店は閉鎖して東名阪に対してリソースを投入する体制に切り替えている。
Q.顧客から求人案件を獲得するために重要な点は何か?
A.案件を獲得するために単価を下げることは考えていない。如何にして顧客とのパイプを太くすることで案件をもらうかに注力しており、弊社ではターゲット企業を定めている。スーパーゼネコン5社をはじめ、大手ゼネコンをターゲット企業に定めて深耕営業を行っている。
過去には新規開拓営業を実施して、窓口を広げることで売上を伸ばしたこともあったが、約2年前からは営業の生産性を追求するために営業方針を転換した。
Q.売上の 10%以上を占める顧客はいないと理解しているが、トップ10が占める売上の割合はどうか?
A.顧客ごとの売上は分散されている。
スーパーゼネコン5社と大和ハウス工業の6社でも約20%であり、突出して割合が高い会社はない。
Q.採用に関して御社が注視しているKPIは、開示している通り定着率、採用費、採用数か?
A.その通り認識で問題ない。弊社は人数×単価のビジネスモデルであり、人数は在籍技術者×稼働率に因数分解できる。
そのため、採用数を増加させて適切に配属することが重要と考えている。
Q. 2027年3月期に売上400億円を目指す中期経営計画を開示している。中期経営計画において、人員の獲得ペースや退職率の前提はどうなっているか?
A.2027年3月期に売上400億円の目標を掲げているが、必ず達成を目指すだけでなく、1年でも前倒ししたい。
今期は、建設技術者の年間採用数は2,120名を計画している。中期経営計画では最終年度に2,000名規模の採用を実施する予定だったので、すでに最終年度の計画と同水準の採用数を中計2年目で実施する予定である。今期も3四半期が残っているものの、順調に進捗している。
Q.採用数が計画対比で上振れて推移しているのはなぜか?
A.採用の仕組みを構築出来ているので、足元で他社をアウトパフォームしている。
前期に採用改革として社内の採用体制の強化を実施したが、それが成果を出している。
Q.採用改革は、採用に関するどのKPIに影響を与えたのか?
A.
【採用改革のインパクト】
社内の採用単価の目標は、1人当たり25万円である。前期は採用体制が整っていなかったが、期初から採用費を投入して採用に取り組んでいた。そのため上期は採用費が増加したものの、下期には修正した。今期1Qは採用単価が20万円台と計画を下回っており、コストを抑えながら効率的に採用ができた。
【他社の採用費】
競合は採用費や採用単価を開示していない企業が多いが、弊社は投資家にとって採用費は重要な指標だと考えているので開示している。7月に新規上場した競合のナレルグループでは、採用単価が40万円程度だと聞いている。
また、業界トップの夢真も、統合以前の開示によれば1人あたりの採用費は50万円台だった。
採用単価の定義が異なる可能性はあるものの、当社は効率的に採用体制を整備できている。
Q.採用単価とは具体的に何の費用か?
A.媒体費用であり、採用担当者の人件費は含めていない。
Q.粗利ベースでは、採用費はどのくらいの期間で回収可能なのか?
A.粗利ベースでは、採用後3ヶ月程度で回収可能である。
Q.退職率はどのくらいか?
A.建設技術者派遣に限れば他社と大きな差はない。
年間で約30%の退職率が業界平均だと考えている。
Q.1Qの決算説明資料では、定着率のKPIが計画以下であるとの開示をされているが、なぜか?
A.1Qに女性の退職者が増加したからである。
採用担当者が男女比率等をコントロールせずに面接をして採用した結果、弊社の女性合格者数は増加した。
しかし、業界未経験の女性を配属可能な案件数が追いついていないので、マッチング前に退職する女性が非常に多くなってしまった。
Q.定着率の低下に対しては、案件を獲得して稼働率を上げることでカバーするのか?あるいは、求人に合わせて採用数をコントロールして定着率を上げるのか?
A.女性の合格率を少しコントロールすることで、退職率を減少させる方針である。
Q.その取り組みはどれくらいの期間で定着率に影響が出てくるのか?
A.8月にはようやく計画通りの退職人数に収まってきた。9月も計画通りになると考えており、効果は出てきている。今後も定着率は徐々に改善していくだろう。
1Qは361名が退職しており、月あたり120名程度が退職している計算だが、2Qは月あたり80~90名程度に抑えられると考えている。
Q.現在のペースで採用を続けて問題はないのか?技術者数が増加することによって管理の難易度が上昇したり、面接数が増えることで人事社員が足りなくなったりなど、ボトルネックはあるか?
A.現在はボトルネックを感じていないが、2021年3月期や 2022年3月期にはボトルネックを感じていた。当時は技術者数約2,000名で頭打ち感が出てきており、そのラインを突破できなかった。
その理由は、以前は業務が属人的であり、優秀な営業担当や採用担当が数字を作っていたからだ。また、社内でも競争を促進しながら数字を上げてきた。
しかし2,000名以上に技術者数を増やすためには、仕組み化をして、一定以上の営業担当であれば標準的な数字を作れるようにする必要があるという壁にぶつかった。
そのため営業改革と採用改革に取り組み、前期までには営業と採用の両輪が回る体制が整備され、数字の再現性が確立できた。
Q.内部で体制を整えたのか?ノウハウを持った外部人材が入社して整備したのか?
A.基本は内部での整備だったが、社外取締役の藤巻が大きな役割を担った。トヨタ自動車出身であり、自分でも事業を行っている藤巻は、中に入って一緒に手を動かしながら、営業改革や採用改革に対して積極的に助言をしている。
社外取締役は、月1回の取締役会に出席するだけという場合が多いと理解しているが、藤巻は毎週のように現場の役員や幹部社員と打ち合わせを行っている。
また、月2回の全国の支店長が集まる会議や、バックオフィスを中心とした定例会議にも出席しており、毎週のように出社している。
藤巻がジョインしたのは、元々清川が同じ名古屋のネクステージの社長と親交があったことがきっかけである。藤巻はネクステージで役員を務めており、これからコプロが規模を大きくして社内体制を整えるには、藤巻のような人材が必要だろうと紹介してもらった。
Q.顧客のニーズは採用ペースに対して十分に存在するのか?
A.人手不足の業界なので、案件は豊富にある。案件数に関しては、1Qには10,000件の求人があり、前期比で60%程度増加した。前期も年間35,000件の求人があり、約90%程度増加した上でさらに伸びているので、需要は強い。この要因としては、営業担当の増加だけでなく、深耕営業がある。
Q.顧客の需要に応えきれないことには問題はないのか?
A.顧客は案件をコプロだけに出しているわけではなく、複数社に出している。
そのため、他社がその需要を埋めるか、顧客の内部人員でやりくりがされていると考えている。
Q.建設業界の労働環境がホワイト化する中で、人を外部から調達するニーズがあるという理解でいいか?
A.2024年4月に法改正が適用されるので、時間外の上限適用が開始される。
これにより、現在も人手不足な中で時間外業務をすることで回していたのだが、さらに人員が必要になるだろう。それをプロパー社員だけで回すことは難しい。
既に大手のスーパーゼネコンでは、約5割を弊社のような派遣人材を活用して現場を回しているところもある状況なので、需要は来年からさらに拡大するだろう。
Q.今期の採用数が2,120名だというお話があったが、来期以降も増加させるのか?
A.来期はまだ増やせると考えている。
Q. 1Qには社員1人あたりの売上が減少しているが、単価の下落ではなく、採用数の増加によるものか?
A.1人あたりの売上は、若干下落傾向である。
理由は2つある。
第一に、建設業界は来年以降に向けて時間外労働を抑制する流れがある。人手不足でなかなか実現できていないが、緩やかに時間外労働が減少しているので、請求単価が低くなる。
第二に、技術者数を伸ばしていく過程で、業界未経験者の採用を大幅に増加させているからだ。弊社では採用のうち7割程度が業界未経験であり、業界未経験の社員の割合が増えているので、1人あたりの売上が減少傾向にある。
Q.社員が複数年在籍すると、単価の向上や値上げが可能か?
A.弊社の商材は人材である。商材が商品であれば使えば使うほど価値が減少するが、人的資本は経験を積むほど価値が高まる。その価値の上昇に伴って交渉により契約単価を上昇させていくことが、弊社の役割になる。そのため、年次が上がるほど契約単価も上昇する。
Q.中長期的には、現在60万円前後の単価をどの程度まで維持して社員数を増やせるのか?人手不足でニーズが高まる中で単価の上昇も見込めるのか?
A.契約単価上昇のポテンシャルはあり、今が上げ時だと考えている。
しかし、来期になると需要が伸びる一方で、時間外労働が減少するので請求単価は減少してしまう。
契約単価の見直しは進めるが、単価の見直しでは吸収しきれない単価の下落が発生するだろう。
ただし、数量×単価の掛け算をすると、数量の増加の方が大きくなるので、需要全体としては拡大する。そのため弊社にとっては事業環境にプラスの影響があるだろう。
Q.粗利率について、上場している規模が大きい他社よりも粗利率が高いのはなぜか?
A.弊社は粗利として30%を取っているが、建設業界に限れば他社も大きな違いはないだろうと考えている。未経験、新卒の採用を積極的に実施しているか否かによっての差が出る可能性はある。
Q.未経験や新卒で、建設領域で仕事をしたいという方は多いのか?
A.年間約2,000名を採用しているが、応募から採用の比率は5%程度だ。95%程度は採用に至っていないので、応募は数多くもらっている。
弊社から不採用とする場合も、応募者が他社に流れてしまう場合もあるが、応募は多くある。
Q.2024年3月期に配当性向が64.2%になると理解しているが、目安である50%との差異はどのように捉えたらいいか?
A.ビジネスモデル上、固定資産投資が大きく必要ないので、M&A以外にキャッシュの使い道は多くない。
そのため、基本的には株主還元に回していくという方針だ。
今期は手元のキャッシュが40億円以上に積み上がっており、現預金比率も内部留保も貯まっているので、そうした観点から配当を決定した。
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