5570 ジェノバ 1Q後取材 20250221【初回取材】

2025/03/13

2025/03/13

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この取材ノートは投資の参考となる情報提供を目的としたもので、掲載企業の株式 (有価証券) についての投資判断あるいは有価証券の価格やリターンに対する動向に関する助言を行うものではありません。
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株探 バフェット・コード

スピーカー: CEO
P/E 18.3x P/B 2.52x (取材記事公開日現在)

Q.今日に至るまでの事業の経緯はどのようになっているか?

A. 1978年にアメリカで最初のGPSが打ち上げられてから、日本においては1992年にGPS連続観測網構築に向けて試験観測が開始され、1993年にまずは南関東・東海地方を中心に電子基準点の設置が始まった。電子基準点とは、国土地理院が管理する国家基準点の1つで、我が国の位置の基準である「国家座標」に整合する。また、バックアップ回線により完全二重化され、停電しても一定期間受信できる無停電電源装置、太陽光パネルを備え、強固な地下構造を持つ高度な基準点である。その後、電子基準点は、日本全国に設置が拡大し、1996年にGEONET(GNSS連続観測システム)が運用開始され、2002年に国土地理院が電子基準点の情報の一般公開を開始し、公共測量においても使用できるようになったことを契機として、測量分野で事業を展開していた創業当時の親会社が、GNSS測位事業への進出を図り、同年に子会社として当社を設立した。

Q.VRS方式はどのような測量方式なのか?

A.複数(3点以上)の電子基準点を基に、観測位置の近傍に仮想的に基準局(仮想点)を生成し、仮想点からの基線解析を行うことで、リアルタイムに高精度の測位を行なう方式である。
当社は複数の基準点として国土地理院の電子基準データを採用しているため、より高精度な位置情報の算出が可能になることが特徴である。

Q.VRS方式の代替方式は存在するのか?

A.VRS方式の代替技術はないと考えている。なお、類似の手法として準天頂衛星(QZSS)から提供されるCLASがあるが、補正情報提供プロセスが多いことから精度が劣ることは否めない。

Q.GNSS測位の事業の需要は開始直後から強かったのか?

A.当時は高額な受信機を複数台購入する必要があったため、導入できる企業は大手企業に限られていた。しかしながら、当社の配信方式の場合は顧客が購入する受信機が1台で済むため、コスト削減に繋がり、需要が拡大した。

Q.VRS方式を採用することで、補正情報データを保持する御社のデータセンターと、顧客が購入した受信機でデータを受信することにより、正確な位置データが得られるという仕組みで合っているか?

A.その認識で合っている。

Q.2021年6月に日立産機システムと資本業務提携契約を締結した後、2025年2月で提携解消に至った経緯はどのようになっているのか?

A.日立産機システムの開発する通信機器に、当社の高精度測位情報サービスをパッケージ化して展開するという計画で資本業務提携を提携したが、想定以上に販売が難航したため、協議の末に提携解消に至った。

Q.上場を決断した目的は何か?

A.上場の目的は信用力の向上と人材確保であり、上場により、従来に比べて企業取引や与信取引は円滑に進めることができるようになったと感じているが、採用状況は改善しつつあるものの、世の中における人手不足等による人材獲得の難しさにより、当社においても採用の難しさを感じる状況が続いている。

Q.どのような人材をターゲットに採用活動を実施しているのか?

A.全般的に人員が不足しているため、全ての部署をターゲットに採用している。

Q.データ通信サービス事業のビジネスモデルはどのようになっているか?

A.国土地理院が提供するデータを受け、高精度位置補正情報データを生成し、顧客に配信するというサービスを展開しており、主に測量業界や土木ICT施工・IT農業分野における建設機械、農業機器、航空測量用ドローン等の自動操舵等にも活用されている。

Q.自動操舵のシステムは他社が提供しているという認識で合っているか?

A.その認識で合っている。

Q.どのような企業と競合するのか?

A.VRS方式の配信サービスを提供する企業と競合し、上場企業も一部存在している。

Q.市場におけるシェアはどれくらいか?

A.かなりのシェアを占めていると推定している。これは主要測量機器メーカーが製品を販売される際に、補正情報データの契約先として当社を推奨していることも一因であると考えている。

Q.競合他社との差別化要因は何か?

A.国土地理院が管理する約1,300点の電子基準点を使用しているため、高精度なデータを安定的に提供できる点が強みであると考えている。

Q.データ配信の料金体系はどのようになっているのか?

A.ID数に応じて料金が発生する仕組みとなっている。1つのIDで複数機器の使用が可能であるが、同時使用は不可能であるため、大規模工事の場合はID数を増やす必要がある。

Q.解約率は低い認識で合っているか?

A.その認識で合っており、顧客からはサポート体制も含むサービスの使い勝手の良さ、精度の安定性、品質の高さをとても高く評価されている。

Q.四半期別の売上高推移を見た場合、1Qに偏重傾向がある理由は何故か?

A.顧客の多くが公共事業関連の業務であり、国や地方自治体の公共予算サイクルの影響で4月に予算が確定し、6月~7月頃から事業が本格的に開始されるため、当社の1Qに当たる10月~12月と4Qにあたる7月~9月の売上が高く推移している。

Q.民間企業の顧客が増加した場合、売上高の季節変動は抑制される認識で合っているか?

A.その認識で合っている。

Q.解約率が低いため、売上高の伸びは顧客数の伸びとほとんど比例する認識で合っているか?

A.その認識で合っている。

Q.売上高の分野別の比率はどのようになっているのか?

A.測量分野が全体の半数を占めており、残りが土木ICT施工とIT農業分野となっている。

Q.今後の成長性をどのように考えているか?

A. 当社のビジネスは、まずは測量分野から徐々に利用が広まっていき、20数年におけるビジネスの積上とお客さまからの支持とともに、安定成長を実現するための強固な顧客基盤ができあがった。

そこに、近年、深刻化する人口減少問題、少子高齢化、激甚化する災害といった我が国が抱える課題において、社会の生産性、安心安全を確保していくうえで、電子基準点の担う役割が増してきていることもあり、政府主導で策定している、官民による社会実装に向けた約10年の「デジタルライフライン全国総合整備計画」においても、高精度位置情報が必要とされる領域は幅広く、第2期デジタルライフライン全国総合整備実現会議における第1回会議が昨年9月に開催され、その後も普及戦略ワーキンググループとして、ドローン航路普及戦略ワーキンググループ(第1回)が昨年11月に、インフラ管理DⅩ普及戦略ワーキンググループ(第1回)が昨年12月に開催されるなど、引き続きその多様化と使用用途の拡大が徐々に普及段階へと進んできている。さらには、昨年の6月に成立したいわゆるスマート農業法が同年10月に施行され、2025年度から5年間を「農業構造転換集中対策期間」と位置づけ、政府主導で農政の再構築に取り組んでいく方向性を明確に打ち出し、生産方式革新の側面から農業者またはその組織する団体を、開発供給事業の側面から農機メーカーやサービス事業者等をそれぞれ支援すること、農業分野における技術対応力や人材創出の強化のみならず、スマート農業に適した農業農村整備の推進、農業農村の情報通信環境の整備まで予算として組み込まれているため、ICT土木の分野と同様、世の中が求める自動化・省人化のニーズとも相俟って、IT農業は注目度の高いビジネス領域として大きく成長が期待できる分野へと変貌してきている。

これらを踏まえ、特に省人化ニーズの高い土木ICT施工、IT農業の分野では高い成長が見込まれ、さらには利用用途がますます拡大することで、高精度位置情報を必要とするマーケット自体が拡大していくと予測されており、当社が必要とされる場面は今後も長い年月をかけても拡大していくと考えている。

Q.分野ごとの限界利益率の差はほとんどない認識で合っているか?

A.その認識で合っている。

Q.新規分野であるエンターテイメントでは具体的にどのようなサービスを提供しているのか?

A.情報を開示してもよい実例としては、当社はKDDIと業務提携しており、直近では、テーマパークへ自動音声ガイドの導入がリリースされた。これは、顧客に音声デバイスを装着することで、テーマパーク内での顧客の位置情報や見ている方角を計測し、自動音声ガイドを提供するというものである。

Q.KDDIとの業務提携は今後他の領域にも活かされていくのか?

A.当社のサービスはインターネット通信が困難なエリアでは利用できないことがデメリットであったが、山間部などでインターネット通信が利用できない地域等であっても、今後、KDDIが提供する衛星通信サービスの提供により、サービス提供エリアが拡大する可能性がある。

Q.海外展開は検討しているか?

A.現時点では検討していない。

Q.海外には同様のビジネス展開をしている企業は存在しているのか?

A.同様の企業は存在すると考えられるが、日本は位置情報の活用基準が厳しいため、海外企業の日本参入は難しいと考えている。

Q.四半期別売上原価の推移を見た場合、直近は減少傾向にあるが、2025年9月期以降はどのように推移する見込みか?

A. 2025年9月期と2026年9月期はサーバーの入れ替えに伴い、売上原価が増加する見込みである。

Q.2025年9月期のサーバー入れ替えはいつから開始する予定か?

A.4月頃を予定している。

Q.サーバーの入れ替えは定期的に実施しているのか?

A.4年~5年周期で実施しているが、今後のユーザーの増加に伴うサーバーの増強も計画している。

Q.労務費に季節性はあるか

A.ないと考えている。

Q.株主還元に関してどのように考えているか?

A.今後も安定配当を維持していきながら、業績に応じて増配していく方針である。

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