4417 グローバルセキュリティエキスパート 3Q後取材 20240327【初回取材】

2024/04/12

2024/04/09

Disclaimer
この取材ノートは投資の参考となる情報提供を目的としたもので、掲載企業の株式 (有価証券) についての投資判断あるいは有価証券の価格やリターンに対する動向に関する助言を行うものではありません。
当取材ノートに投資勧誘を意図するものはなく、投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。
取材ノートに記載された内容は取材時の内容・取材ノート原本を一言半句違わず記載しているものではなく、話の流れ等が分かりやすいよう幾らか加筆している部分がございます。ご了承ください。
また、取材ノートに記載された内容等は取材・作成時点のものであり、正確性・完全性を保証するものではなく、今後予告なく修正、変更されることがあります。
大きい変更があった場合は再投稿という形で新しく上げ直すよう努めます

※こちらの取材ノートは 企業様検閲済み となっております。

株探 バフェット・コード

スピーカー: CEO
P/E 53.1x P/B 16.66x (現在)

Q.事業の成り立ちはどのような経緯か?

A.ビジネスブレイン太田昭和がIBMと合弁で1992年に設立したギャブコンサルティングの1部門として立ち上げたセキュリティ事業が始まりであり、当時はWebサイトの脆弱性診断や個人情報保護法への準拠のためのセキュリティコンサルティングを行っていた。2000年にはセキュリティ専門企業として、グローバルセキュリティエキスパートに商号変更し、ビジネスブレイン太田昭和と新日本有限責任監査法人の顧客を中心にセキュリティサービスを提供し、売上は3~4億円程度を推移していた。
リーマンショック前には、ビジネスブレイン太田昭和が内部統制ビジネスにシフトし、弊社のセキュリティのチームも内部統制のコンサルティングに参画するようになった結果、売上は9億円まで伸びたが、その後直ぐにリーマンショックの影響で売上が半減し、会社として大きな転機を迎えた。

その後、日本年金機構やベネッセコーポレーションのセキュリティインシデント等が発生し、世の中のセキュリティへの意識が高まり始めたタイミングで、セキュリティ事業への回帰をしつつも、弊社の得意な中堅・中小企業だけでなく大企業までビジネスの領域を伸ばそうとした。
しかしながら、大企業に対してセキュリティサービスを提供していく中で、単価は上昇したが、合わせて顧客のサービス要求レベルも上昇した結果、ホワイトハッカーを始めとする社員が疲弊し、一時は離職率が40%を上回ってしまった。

この状況を踏まえて、事業の立て直しを模索する中で、当時経営企画と営業の管掌役員であった私に社長就任の要請がされた。経営体制の刷新、準大手以下の中堅・中小企業向けのセキュリティコンサルティングへの回帰や、IPOを目指すという全社共通の目標で、その後業績が堅調に伸び、2021年にIPOを実現して今日に至る。

Q.社長の青柳氏はIT業界からどういった経緯でセキュリティ業界に転向したのか?

A.ユニリタの営業としてIT業界に入った後、次のステップとして、ベンチャー企業の取締役となり経営を学び、クラウドテクノロジーズの取締役となった。
その会社ではファイルサーバのクラウド化等のサービスを提供しており、営業、マーケティングを全面的に担っていたが、当時の重要顧客がクレジットカード情報を含む個人情報を漏洩してしまうインシデントを起こしてしまったことがあり、その時に弊社と出会い、セキュリティに興味を持ち、弊社入社のオファーを受けた。

Q.前述の通り、一時は離職率が高かったが、2017年以前と以降では役員含め内部の人間は変わっているのか?

A.その認識の通りであり、現社員の7~8割は2018年以降に入社している。

Q.一時期サービスを提供していた大企業から、ホワイトスペースとなっていた中堅・中小企業向けのセキュリティサービスに注力しようと思った経緯は何か?

A.大企業にサービスを提供していた時期は、ほとんどが紹介案件であり、競合が多く、戦っても案件が取れないことがあった。事業の立て直しをするにあたり、顧客の規模等を分析した結果、競合の少ないホワイトスペースとなっていた中堅・準大手企業に目を付けて、大企業向けのサービスを半年~1年くらいかけて、現在の取引先の8割を占めている中堅・準大手企業向けにサービスレベルと価格を最適化した。
2017年頃から時流が変わり、中堅・準大手企業もセキュリティ対策をせざるを得ない状況となった結果、業績が伸びていった。

Q.大企業と比べるとセキュリティに予算を割けていないイメージがある中堅・準大手企業を相手にどのようにビジネスしているのか?

A.中堅・準大手企業は大企業の3割程度のセキュリティ対策をしているのが一般的で、中小企業はほぼ対策していないという状況であったが、2015年頃にオリンピック誘致が決まった段階で国から初めてサイバーセキュリティガイドラインが発出されて、電気、金融、医療等の13業種は企業規模を問わずサイバーセキュリティガイドラインに準拠しなければならなくなった。
さらに、2017、2018年には各省庁が独自のサイバーセキュリティガイドラインを策定した。企業規模を問わずセキュリティ対策をせざるを得ない状況となったが、弊社はそのような動向をいち早く捉えて、中堅・準大手企業向けに、ちょうど良いサービスを準備していたため、中堅・準大手企業向けのセキュリティコンサルティングでは弊社しかないという状況を生み出した。
また、サイバーセキュリティ教育として、IT企業の人材に対するセキュリティトレーニングを行い、独自の認定資格を付与してIT企業の付加価値向上を図っている。このように中堅・準大手企業マーケットと、セキュリティ教育ビジネスを組み合わせることで、ここまで勝ち残ってきた。

Q.大企業向けサービスから価格を落として中堅・準大手向けにサービスを提供できる理由はなぜか?

A.中堅・準大手企業が求めているのは、大企業向けのフルカスタムではなく、必要最低限のセキュリティ対策である。フレームワークを活用し、レポートの粒度を調節するなどコストを抑え、中堅・準大手企業のニーズに最適化したサービスにしている。

Q.上場企業で競業となっている企業はどこか?

A.個々のサービスでは競業はいるが、総合的なセキュリティコンサルティング企業として実質的な競業はいないと考えている。また、セキュリティ製品としてクラウドストライクやサイバーリーズン等の導入支援を行っており、製品レベルでは販売代理店競合が有り得るが、弊社は一つのセキュリティサービスを機に他の複数のサービスに取引を広げて、顧客単価を上げていくことが信条である。顧客数をしっかり獲得し、複数サービスで顧客単価を上げることで勝負している。

Q.社員数がサービス数と比較して少ないが、オペレーション上の強みがあるのか?

A.資本提携や業務提携を行っている会社に対して、半年程度のサイバーセキュリティの教育コンテンツを無償で提供し、セキュリティ人材を育成した上で、弊社内で対応しきれない業務の一部を委託するパートナー企業となってもらっている。ニアショアで、内製と利益率を変えずにオペレーションでき、これは弊社がサイバーセキュリティ教育会社であるからこその強みである。

Q.決算説明資料に記載の沖縄県のセキュアイノベーションが上述の提携会社になるのか?

A.その認識の通りであり、脆弱性診断や運用等、弊社内で溢れた作業を担ってもらっている。

Q.セキュリティ人材として一人前になるのはどの程度の時間がかかるのか?

A.ITの開発がある程度できる人であれば、半年間のOJTを受けると、あるセキュリティサービスの業務が10とすると、その内の4が出来るようになる。
一人前になるまでは3、4年程度の時間がかかるが、パートナー企業にはその4の業務を委託している。

Q.教育事業、コンサルティング事業、セキュリティソリューション事業、ITソリューション事業のどの事業でも外注のリソースは活用可能なのか?

A.どの事業でも外部リソースを活用できる業務は存在する。

Q.今期3Qまでの実績では販管費率16%強、売上高総利益率30%強であるが、外注比率が高いのか?

A.業務の約6割は外部リソースを活用している。根幹のコンサルティングではなくレポートをまとめる部分など一部の業務を委託している。

Q.3Q末時点で従業員数が150人強と決算説明資料には記載されているが、内訳はどのようになっているのか?

A.現在の人員数は約160人であり、営業・マーケティング・プリセールスが40人、営業支援スタッフ・管理部が約20人、残りの100人がハッカー・コンサルタント・サイバーエンジニアになる。

Q.セキュリティ業界の企業について、セキュリティの品質に高低による差別化はあるのか?それとも、品質に差はなく、営業の上手さや外注のリソース活用によって差別化が図られているのか?

A.例えば脆弱性診断では、誰がやっても、ある程度の脆弱性を見つけられるが、どこまで細かい脆弱性を確認するかに関わってくる。大企業向けのセキュリティサービス会社が、弊社より高い単価を取っている理由としては、細かい脆弱性まで見つけてくる点であり、弊社は、代表的で事業にクリティカルな影響を与える脆弱性のみを確認することに留めている。
また、大企業向けセキュリティ会社は、セキュリティコンサルタントとして、グローバル案件等の大規模プロジェクトをPMとして回していく能力は高い。しかしながら、弊社は中堅・準大手企業の顧客が多いため、そのようなハイエンドな人材は求めておらず、ちょうど良い水準のコンサルティングサービスを提供する人材を育成し、コスト・クオリティのバランスを取っている。

Q.事業ポートフォリオの分散によってサービスのラインナップが多い点が御社の強みのように感じるが、幅広いサービスを提供するために営業担当は色々な会社へ営業するのではなく、既存顧客のニーズを深堀しているのか?

A.アカウントセールスのような深堀は行っていない。現在の顧客割合について、既存顧客が6、7割で、残りが新規顧客であり、既存顧客のリピート率が高い。新規顧客については、販売パートナー企業から、セキュリティの悩みを抱えている会社を紹介されるパターンと、セキュリティに関するウェビナー等のデジタルマーケティングをきっかけに問い合わせをいただくパターンがある。基本的に弊社は反響営業である。

Q.販路の最初の流入元はパートナー企業なのか?それとも直販なのか?

A.直販とパートナーの割合は55:45になっている。

Q.今後、直販とパートナー企業の比率は変わらないのか?パートナー企業を増やす想定はあるのか?

A.兼松エレクトロニクスに匹敵する販売パートナーとなり得る企業との資本提携を考えている。提携後は仕事の流入が大幅に増加する想定であり、一旦はその提携でパートナー企業を増やすのを止める考えである。

Q.パートナー企業からの紹介の流れは具体的にどのようになっているのか?

A.パートナー企業は、弊社のセキュリティサービスをフックにして自社の商品販売に繋げることを目的としている。パートナー企業の営業マンが顧客にセキュリティに関するヒアリングをし、そのクロージング依頼が弊社の営業にくる。

Q.ビジネスモデルとして魅力が大きいにも関わらず、競合が生まれない理由はどう考えているか?

A弊社のように、一つのセキュリティサービスを提供後に他領域のセキュリティサービスの提供へと取引を拡大していくためには、それぞれのサービスの専門人材を有する必要がある。サイバーセキュリティ人材が不足している昨今で、これらの人材を集めるのはハードルが高く、参入障壁となっている。この総合力が、弊社が中堅・準大手企業に選ばれる理由だと考える。

Q.セキュリティサービスを提供している大手企業ではそのような人材もいると考えられるが、御社の主要顧客である中堅・準大手企業向けのセキュリティサービスはそのような企業からすると案件単価が低いのか?

A.大企業向けのセキュリティサービスを提供している企業の成長率の目安は10%ほどである。大企業は潤沢なセキュリティ予算が決まっており、その範囲でセキュリティサービスを提供する構造が出来上がっているためである。
弊社は毎年25%成長を目指している。セキュリティの予算が決まっていないものの、セキュリティ対策をせざるを得なくなった中堅・準大手企業からの仕事を機動的に受けているため実現できている。
この構造の違いが、大手企業向けセキュリティサービス提供会社からの参入障壁になっている。

Q.中期経営計画の目標達成のための営業やエンジニアの人材が不足するリスクはどう考えているか?

A.営業人材は増やしていく必要がある。エンジニアはパートナー企業への一部業務の委託で可変的に対応できるため、ボトルネックではない。

Q.営業の仕事はクロージングが中心なのか?それともパートナー企業の教育が中心なのか?

A.どちらも同じくらいの割合である。

Q.四半期で業績にボラティリティがあるが、1Qだけ売上が低い理由は何か?

A.セキュリティ業界の通例であり、1Qは顧客企業の組織変更等があるため、セキュリティ対策が後回しになる傾向がある。

Q.来期の業績はどのような見通しか?

A.ほぼ中期経営計画の来期計画通りになる見通しである。年25%の売上成長をあげるための組織を構築しているので、成長率は20%にも下振れないし、50%にも上振れないと考える。

Q.3月に開示したセキュリティファンドの設立はBS、PLにどのようなインパクトがあるか?

A.リターンは2、3年後になるため現在はBSやPLへの影響は考えていないが、もたらされる恩恵は大きいと考えている。
第一に、セキュリティ会社にのみ投資するファンドのリーダーとして、現在はセキュリティ専業企業の社長に対してファンドの意義を説明しており、この活動によってセキュリティ業界における弊社の存在感が高まると考えている。
第二に、この活動により出資元や投資先との繋がりが深まるため、弊社の事業とシナジーを上げやすくなるとも考えている。

Q.サービスを拡充しても中堅・準大手企業のセキュリティ予算が急に増えることがないため、顧客を増やしていくことが重要になるか?

A.その認識の通りである。

Q.キャピタルアロケーションについてはどう考えているか?

A.弊社はプライム上場を目指しており、そのタイミングには配当性向を40%まで引き上げることを目標としたい。
なお、弊社は製品開発を行っておらず、事業投資がほとんどないため、配当性向の目標を高く設定しているが、出資やM&A等で資金が必要となった場合は借入や増資等で柔軟に対応する。

Q.社長の株の保有比率が高くないにも関わらず、モチベーションが高い理由は何か?

A.自身の保有比率は約2%であるが、IPO時に当時の社員全員にストックオプションを配った。しっかりと業績を伸ばして株価を上げることで社員の資産を増やすことができる。これによって社員に喜ばれることがモチベーションとなっている。

下の投稿タグから過去のノートが参照できます。

 

追加の質問や、「これ違くない?」という指摘などあればコメント欄よりお願いします。
企業様宛のコメントや質問、要望なども受け付けております。
この辺りは公開されませんのでご安心ください。

関連記事

コメント

コメントする

コメント記入欄の上に表示するメッセージ

コメント記入欄の下に表示するメッセージ

PAGE TOP