2987 タスキ 1Q後取材 20240209【初回取材】

2024/02/21

2024/03/10

KS

さん

Disclaimer
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株探 バフェット・コード

スピーカー: CEO
P/E 9.5x P/B 2.62x (現在)

Q.創業からの今日に至るまでの経緯はどのようになっているか?

A.弊社は新日本建物のグループ会社として2013年に設立したが、開店休業状態であり、2016年にITを活用して不動産業界に変革を起こしたいという思いを持ったメンバーが集まって第二創業を開始した。その後、2017年に新日本建物からMBOを実施し、2020年に東証マザーズ市場に上場した。
今後、2024年4月に新日本建物との経営統合を予定している。新日本建物は弊社より大規模な10~20億円規模の物件を取り扱っているので、そのような物件を自社のファンドに売却して、フロー収入とストック収入を作ることで、シナジーが発揮できると考えている。

Q.柏村氏が代表取締役社長に就任された背景は何か?

A.会社を成長させるためには、代表2名体制で役割分担をして事業運営をする必要があると考えて、上場から約1年後に柏村が代表取締役社長に就任した。現代表取締役会長の村田氏はIoTレジデンス開発事業に注力しており、連結子会社である株式会社タスキプロス(不動産担保ローン)も管轄している。一方、柏村は主に全社管理とリファイニング事業、SaaS事業を管轄している。

Q.創業当初からの御社の事業の特徴は何か?

A.創業当時は、サラリーマン投資家向けの1.5~2億円規模の物件や、大手デベロッパーによる大規模物件の供給が豊富だった。そこで、プレイヤーが少なかった3~5億円規模の物件を狙って、現在、売上の95%を占める新築投資用レジデンスの開発事業を始めた。

当時はリスクを取って物件を購入しているサラリーマン投資家が多かったので、弊社は富裕層向けの相続税対策をターゲットとした不動産開発を開始した。創業当時は新築物件のみを扱っていたが、2023年から中古物件も取扱いを開始した。中古物件については、バリューアップ後に外部の投資家に販売しているだけでなく、自社のファンドビジネスにも繋げている。

また、不動産テックへの注力も弊社の特徴である。物件価格の可視化・査定や仲介管理業務支援といった領域はレッドオーシャンだが、弊社が外部販売している用地の仕入や物件開発のDX支援をするプロダクトにはプレイヤーが少ないと考えている。

Q.Finance Consulting事業はどのような事業か?

A.不動産会社向けに不動産担保ローンのサービスを展開している。中小の不動産会社に対して融資を行うことで、より川上から物件の売買情報を得たり、最終的な売却先として弊社を選定してもらったりすることを目的としている。なお、現在の融資額は20~30億円であり、累計の融資額は約40億円である。

Q.IoTレジデンス事業とSaaS事業では何を目指しているのか?

A.家電をスマホ等のデバイスで操作できる物件を取り扱うIoTレジデンス事業では、依然として多いIoTが未整備な賃貸物件との差別化を図っている。また、東京23区内の駅近物件に絞って仕入を行っており、資産性の高さも魅力のひとつとなっている。コンパクトな土地を仕入れ、弊社独自の規格でレジデンスを開発している。エレベーターやバルコニーをつけず、共用部分をなるべく少なくすることで、占有部分比率が一般的な物件と比較して約20%アップしており、コンパクトな土地でも戸数を確保できている。また、共用設備が少ないことで、購入後の管理コストの抑制にもなっている。

デベロッパー向けのSaaSプロダクトを提供しているSaaS事業では、弊社が提供する一気通貫のプラットフォームによって不動産開発業務の無駄をなくし、不動産流通の円滑化を目指している。具体的には、不動産開発において、不動産仲介会社・金融機関・デベロッパー・建築会社が物件情報を現在は各社がシステムに1から打ち込んでいるため、このような業務の非効率性を解消したい。
また、SaaSプロダクトの提供は、弊社内部の課題の解決にも繋がると考えている。弊社が開発しているコンパクトマンションは業界内では新しいビジネスモデルであり、一般的な仲介会社への認知度が低かった。そこで、用地に建築プランを自動生成できるTOUCH&PLANというプロダクトを仲介会社に提供すれば、弊社に用地を売却した時の物件価格を認知してもらえると考えている。なお、TOUCH&PLANでは法規制や斜線制限も考慮した建物の形状のシミュレーションが可能となっている。

Q.TOUCH&PLANは以前から御社で使っていたツールなのか?

A.以前から構想はあったものの、開発に着手してから3年経過しており、今年から社内運用を開始した。

Q.Life Platform事業とSaaS事業の長期的な事業展望はどのようになっているか?

A.Life Platform事業で得た資金を投資資金に回して、時間をかけてSaaS事業等の新規事業を成長させることで、事業形態のバリエーションを増やしたいと考えている。

Life Platform事業ではIoTレジデンスの開発だけでなく、用地での販売も行っており、その理由は2点ある。
第一に、パートナーであるゼネコンの案件のキャパシティに限度があるからである。
第二に、弊社は用地仕入に強みをもっているので、開発を行わずとも用地販売によって利益を出せたからである。ただし、開発した場合は用地販売より粗利率が高く、エンドの購入者の顔が見えるので、将来的には用地販売を減少させたいと考えている。

Q.用地販売では、開発の企画まで行ってファンドに売却するのか?

A.その認識は間違っている。売却先はエンドの顧客であり、顧客が自宅や賃貸物件を建てている。

Q.リファイニング事業は賃貸収入を受領しつつ数年で売却するというロードスターキャピタルと類似した事業か?

A.その認識で問題ない。ただし、ロードスターキャピタルと比較して、弊社は売却先として個人をターゲットにしているため小規模物件を取り扱っている。また、大型物件の売却先としてSPCファンド等の組成も行っている。

Q.アセットマネジメント事業の売上はまだ小さいのか?

A.その認識で問題ない。ただし、今後はファンド運営に関連して、オンバランスで購入した物件のSPCへの売却、アセットマネジメントフィー、再開発エリアの物件の将来的な売却という3つのキャッシュポイントを作ることができると考えている。

Q.リファイニング事業を開始した経緯は何か?

A.第一に、収益不動産のボリューム拡大である。
第二に、レントロールを成約事例としてデータベース化し、オリジナルのマーケットシステムを構築するためである。新築投資用レジデンスでは入居者がいない状態で販売しているので、賃料相場を把握するために、実際の賃料データを取る目的がある。
第三に、新築投資用レジデンスは外部に販売した方が高く、自社のファンドに売却しており、ストック収入に繋がっていないため、将来的なストック収入を確保するためである。

Q.IoTレジデンス事業では、相続税対策としての購入を顧客に提案しているのか?

A.その認識で問題ない。小規模住宅の特例によって、貸付事業用地で200m2までの土地面積は評価額の50%、税額が減額されるという制度がある。そのため、他社で一棟10億円の物件を購入するよりも、弊社の物件を複数件購入する方が相続税対策上のメリットがあることを伝えている。

Q.IoTレジデンス事業の物件はオンバランスで仕入れるのか?

A.その認識で問題ない。

Q.IoTレジデンスの売却先は、仕入先の元土地所有者か?

A.その認識は間違っており、顧客は金融機関等から紹介される。

Q.青山財産ネットワークスとは顧客層が共通しているのか?

A.その認識で問題なく、青山財産ネットワークスにも顧客に弊社の物件を紹介してもらっている。青山財産ネットワークスとは良い関係性を築けている。

Q.IoTレジデンスの売却後は御社が管理を行うのか?

A.売却後の管理は顧客が選定した管理会社等が行っている。

Q.売却後の満室率等に問題はなく、売却後も顧客にとって価値がある物件なのか?

A.その認識で問題ない。富裕層の顧客には日頃から取引をしている不動産管理会社がいるので、弊社の物件を購入した場合の空室率等は管理会社と検討した上で購入している。

Q.事業期間が他社より短い理由はなぜか?

A.事業期間が10ヶ月程度と短いのは、変形地を取り扱わず、正方形や長方形といった弊社の規格が当てはまる土地に限定しているからである。そのため、仕入検討、価格算定、投資判断が他社よりも早く、業界内で信頼を得て継続的に用地情報を獲得できている。

Q.用地に関する情報はどのように獲得しているのか?

A.大手の不動産流通業者から獲得することが多い。弊社は他社よりも高く仕入れているので、情報を提供してもらえる立場にある。

Q.なぜ他社より高く仕入れても高い粗利率で販売できるのか?

A.一般的に小規模物件は大規模物件に比べて間接コストが大きくなるが、弊社はドミナント戦略で一つの駅に集中して複数物件を取り扱うことで建築コストを抑えているからである。

Q.用地仕入ではどのような業者と競合するのか?

A.用地仕入では、仲介会社に複数の戸建業者と弊社の購入価格を比較してもらい、弊社への売却を決めてもらうことが多い。戸建業者の木造三階建住宅よりも、弊社の4~5階建鉄筋RC住宅の方が、提示価格が高いので、仕入競争で優位性がある。

Q.同様のビジネスモデルで土地の仕入から物件の売却までを行う競合は出てこないのか?

A.弊社の好調な業績を知って参入する競合は現れるものの、ドミナント戦略で建設コストを安くしないと採算が合わないので、複数棟を手掛けてから最終的に撤退するケースが多い。

Q.ドミナント戦略について、同一エリアにおける最初の物件では粗利率が低くなるのか?

A.その認識は間違っている。普段から取引のある建設業者に発注するので、融通を利かせてもらっている。また、ドミナント戦略による建築コストのメリットがなさそうであれば用地販売に切り替えている。

Q.御社のドミナント戦略によるIoTレジデンスの開発だからこそ粗利率が確保できる価格で用地を仕入れているのにも関わらず、用地販売でも粗利率が確保できている理由は何か?

A.エンドの購入者は粗利率よりも用地の場所を重要視しているからである。立地にこだわった仕入を行っているため、相場価格以上の評価をいただけている。

一方で、直近の建築コストの高騰によって他社が粗利を確保するのが難しくなっているという背景があり、同業者に販売する場合の粗利率は低下している。この結果、今期1Qは粗利が微減した。

Q.Life Platform事業の成長に加えて、SaaS事業も急成長を目指すのか?

A.その認識で問題ない。
例えばTOUCH&PLANのような建築プランを自動生成するプロダクトはまだ業界にないので、不動産開発事業者と不動産仲介業者に良いプロダクトを提供すれば、爆発的に成長すると考えている。

Q.TASUKI TECH LANDはどのようなサービスか?

A.TASUKI TECH LANDはTOUCH&PLANの川上に位置するプロダクトであり、様々なチャネルから獲得した物件情報を登録して進捗管理できる。TASUKI TECH LAND上の情報をもとにして、TOUCH&PLANで建築プランを自動生成できるというフローになっている。なお、現在の顧客数は約50社である。

Q.TASUKI TECH GOINGはどのようなプロダクトか?

A.部屋の内覧をバーチャルにできるプロダクトだが、競合が多く成長させるのは難しいと考えている。

Q.TASUKI TECH FUNDSはどのようなプロダクトか?

A.弊社が手がけるクラウドファンディングのシステムを外部提供するプロダクトである。

Q.クラウドファンディングはLife Platform事業の販売先にも活用しているのか?

A.その認識で問題ない。なお、クラウドファンディングでは免許の都合上、弊社がオンバランスで仕入れて開発した物件を別勘定でファンド化している。そのため、現在は内部取引となっており収益面での貢献は小さいが、将来的にはオフバランスのSPCファンドを組成したいと考えている。

Q.TASUKI TECH LANDの価格や機能は?

A.価格面では、競合A社が月額料金40万円~、B社が初期費用130万円~かつ月額料金10万円~なのに対して、弊社は初期費用30万円かつ月額料金5~10万円と安価な料金設定である。さらに、弊社は100アカウントまで上記の料金で導入可能なので、価格競争において強みがある。
機能面については、物件情報管理をExcelで行うことによる課題を解決できる。

Q.TASUKI TECH LANDとExcelの機能面の違いは?

A.TASUKI TECH LANDでは、土地ごとの用途地域や法規制、斜線制限等の分散されていた情報をデータベース化しているので瞬時に可視化でき、業務管理も行える。また、クラウド上で情報を管理しているので、会議で紙印刷が不要な点や、同時アクセスによる複数人での情報確認が可能な点も特徴的である。

Q.競合プロダクトとの差別化はどのような点で行っているか?

A.TASUKI TECH LANDは弊社が業務で使用していたツールを改善して提供したプロダクトなので、デベロッパーのニーズを理解したプロダクトになっている。必要な機能・情報の搭載や、システムに詳しくなくても使いこなせるUI設計にしている。そのため最近では競合のリプレースプロダクトとしてTASUKI TECH LANDが選ばれている。

Q.TASUKI TECH LANDの利益率は売上の成長とともに改善するのか?

A.顧客の利用が増加すると、サーバー利用に伴うデータ費用が増加するが、従量課金にしているので、売上が成長すれば利益率は高い水準で推移すると考えている。

Q.TASUKI TECH LANDの顧客単価や解約率は?

A.月額料金やOCR機能のオプション込みで月10万円程度である。また、現在約50社の顧客のうち約半数が有料プラン、約半数が無料プランである。解約については、トライアル時に1社が離脱したのみである。

Q.どのように顧客を獲得しているのか?

A.業者会の参加、展示会出展、仕入担当者からの紹介などが割合としては多いが、徐々にHPからの問い合わせも増えてきている。また、金融機関を中心とした販売パートナー契約も積極的に締結しており、そこからの紹介案件も多い。

Q.2026年9月期導入社数の目標である350社には無料プランも含んでいるのか?

A.その認識で問題なく、ARRは10億円を目標としている。

Q.2026年9月期におけるSaaS事業の利益率をどう想定しているか?

A.しっかりと利益を出したいと考えており、粗利はARRの約50%を想定している。

Q.新日本建物との経営統合後は、どちらの経営方針を採用するのか?

A.各社の事業体を維持する方針である。また、弊社は高回転のビジネスモデルを目指しているが、新日本建物は物件規模が大きく開発期間が長いので、リスクヘッジが重要である。

Q.経営統合後のPMIはどのような方針か?

A.組織再編も含めて、管理部門の合理化には既に取り組んでいる。事業部門については、物件サイズが異なる2社が事業上のシナジーを生むために、販売先の戦略立案や、仕入・建築におけるドミナント戦略を進める必要があるが、期間については、早ければ1年で完了する見込みである。

Q.新日本建物はデベロッパーとしてどのような特徴があるのか?

A.仕入に強く用地販売も行う点や、海外のファミリーオフィス等のファンドに販売している点が特徴的である。弊社も新日本建物もエリアを東京に絞っているので、今後は外部のファンドだけでなく、自社のファンドに物件を売却してストック収入を創出することでシナジーが生まれる。

Q.直近デベロッパーにおいて見受けられる建築コストの上昇に伴う利益率の圧迫は、新日本建物との経営統合後のリスク要因になるのか?

A.新日本建物は事業期間が弊社より長いので、少なからずリスク要因になると考えている。

Q.株式移転比率(新日本建物:タスキ=1:2.24)にもそうしたリスク要因は考慮されているのか?

A.その認識は間違っており、2社の株価をベースにして株式移転比率を決定した。新日本建物も着実に成長を続けているので、経営統合後についても安心してもらいたいと考えている。

Q.新日本建物の過去業績について、リーマンショックによって打撃を受けて事業規模が縮小したという理解で合っているか?

A.その認識で問題ない。

Q.金利や建築コスト上昇によるリスク要因をどのように考えているか?

A.弊社は相続税対策のニーズがある顧客に販売しているので、金利が弊社の業績に与える影響は小さいと考えている。一方で、用地仕入から建築、販売にはタイムラグが生じるので、短期間でも建築コストの上昇があると業績への影響がある。そのため、建築コスト上昇のリスクを考慮して用地仕入を行うことが重要である。

Q.経営統合後の決算期は?

A.弊社の9月決算に揃える。

Q.株主還元の方針は?

A.富裕層向けに信用力を付けながら成長を継続するために、配当性向35%を保つ方針である。経営統合後のキャピタルアロケーションについては、弊社の方針を踏襲する。

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