2780 コメ兵ホールディングス 2Q後取材 20231225【初回取材】
2024/01/19
2024/02/14
IR Agents
さん
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スピーカー: IR
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Q.戦後まもなくの中古品販売事業が祖業か?
A.その認識のとおりであり、現社長石原卓児の祖父が1947年に創業した。その後、祖父・父・叔父と承継し、現社長は4代目にあたる。
Q.創業70年以上の歴史において、事業上どのような転機があったか?
A.最大の転機は、バブル期にブランド品を購入する方が増えてきたことを受けて、中古ブランド品の取扱いを開始したことであり、現在では中古ブランド品の販売・買取が事業の中心になった。
また、政府主導の3Rの推進によってリユースという言葉が浸透し、中古品がポジティブに捉えられるようになったことも成長に繋がった。
2020年3月期以降は、コロナ禍におうち時間が増えて家の中を整理し、不要なものを売却する人が増加したことも、弊社の事業への追い風となった。BRAND OFFの買収なども経てホールディングス化し、近年は事業を拡大している。
Q.近年サステナビリティの意識が浸透してきたことも、事業にポジティブな影響があったのか?
A.はい。メルカリを代表とするC2Cアプリの利用者が増加して中古品の売買が身近になったので、中古品売買の敷居が下がった。
Q.タイヤ・ホイール事業はどういった経緯で開始したのか?
A.タイヤ・ホイール事業を手がけるクラフトは、最初に買収した企業である。買収した当時は、中古ブランド品の取扱いが中心になる中で、取扱商品を多様化するためにM&Aを検討していた。クラフトは高単価のタイヤ・ホイールを取り扱っており、顧客に提案をしながら関係性を築いて販売するスタイルが弊社と共通していた。また、タイヤ・ホイール業界における中古品のシェアが拡大する可能性が大きいと考えていたので、弊社の中古品取扱いのノウハウを活用すれば成長させられると考えて買収した。
Q.2020年3月期におけるBRAND OFFの買収はどのような経緯だったのか?
A.元々BRAND OFFは弊社の競合であり、本店がある金沢や香港・台湾など、弊社が出店していないエリアに強みを持っていた。
しかし、BRAND OFFはインバウンド顧客向けの売上比率が高いこともあり、2017年のチャイナショック以降業績が悪化していた。そのため、K-ブランドオフを設立してBRAND OFFの事業承継をすることで子会社化した。
Q.御社は中古品業界の中でどのようなポジションなのか?
A.中古品業界は、家電から洋服まで様々な商材を取り扱う総合リユース企業と、特定の商材、カテゴリーに特化した企業に分かれている。
弊社はブランド品などの高単価商材に特化しており、ジュエリー、時計、バッグや価格帯の高い洋服等を取り扱っている。総合リユース企業と比べると顧客層は狭く、顧客の中心は富裕層である。
Q.総合リユース企業やブランドリユース企業にはどのような企業があるのか?
A.例えば、ゲオホールディングス様やトレジャーファクトリー様、ブックオフホールディングスグループ様が総合リユース企業に、バリュエンスホールディングス様やシュッピン様等がブランドリユース企業に該当する。
Q.御社とバリュエンスホールディングスの違いは何か?
A.買取チャネルは重複しているが、販売チャネルが異なる。弊社は法人販売も行っているが、小売向けの商品を高単価で直接店頭販売するチャネルを持っていることが強みであり、小売の比率が他社より大きい。また、商材の構成比も異なる。
Q.具体的にどのような商品を個人販売において得意としているのか?
A.流行しているような比較的新しい商品や、ロレックスのスポーツモデル、エルメス・シャネル・ルイヴィトンのバッグ等を得意としている。
Q.中古ブランドの小売を店舗で行っている企業はどのくらいあるのか?
A.ジュエリー等の商材を小売で大規模に販売している競合は少ない。また、他社も店舗で小売販売をしているが、全社の売上に占める小売の割合は弊社より小さい。
Q.総合リユース企業は競合ではないのか?
A.総合リユース企業もハイブランドアイテムを取り扱っているが、カジュアルな洋服に特化しているので、純粋な競合にはあたらないと考えている。
Q.富裕層からの中古ブランド品へのニーズはあるのか?
A.ブランド品を購入するのは、中古品への抵抗感が少なく、ブランド品への憧れはあるが定価よりお得に購入したい顧客が中心である。
百貨店でブランド品を購入する富裕層は売却のために弊社を利用することが多く、購入する場合は百貨店では既に手に入らないなどリユースならではの商品を購入することが多い。そのため、売却と購入の両方で弊社を利用する顧客はまだ少なく、購入顧客全体の約10%に留まる。
なお、多数ではないが、ブランド品が非常に好きで様々な商品を購入したいという顧客も弊社で購入している印象がある。
Q.ブランドリユース企業の買取には、それぞれどのような特徴があるのか?
A.弊社は出張買取や宅配買取、法人仕入も行っているが、店舗買取が中心である。チャネルも弊社と類似している企業様もいれば、バイセルテクノロジーズ様のようにチャネルやターゲットが異なる企業様もある。
Q.中古品の買取ではどのような要素が重要なのか?
A.まずは店舗の利便性である。店舗が家の近くにあることや、店舗を売却で頻繁に利用していることなどが、顧客が店舗を選ぶ時のポイントになる。また、顧客は高額な商品を売却するので、鑑定への信頼性や知名度も重要である。大規模な店舗を新宿や渋谷等の主要都市に持っていることが弊社の企業イメージの向上に貢献しており、安心して商品を売却してもらえる点で優位性があると考えている。
Q.買取価格も重要なのか?
A.商品の種類によって異なるが、時計のように相場の情報を手に入れやすい商品を売却する時には、複数の店舗で鑑定して比較する顧客が多いので、買取価格が重要になる。そのため、買取成立割合が他商材より低くなる傾向がある。
Q.商材別の個人買取額構成比率は?
A.2024年3月期2Q累計では、ジュエリーが40%、時計が25%、バッグが29%、ブランド服が6%である。
Q.法人販売よりも小売の方が粗利率が高いという理解で合っているか?
A.その認識で問題ない。個人から買い取って個人に販売するケースの粗利率が最も高い。また、小売と法人の粗利率はおおよそ2:1の水準である。
Q.小売の比率を高める戦略はどのような方針か?
A.出店と、店舗を支えるデジタルの強化という2つの戦略がある。弊社には、ECサイトで閲覧して関心を持った中古品の状態を店舗で確認してから購入する顧客が多いので、店舗とデジタルの両方を強化しないと小売は成長できないと考えている。中古品は全て状態が異なり、同じ種類の商品でも実際に見比べたいというニーズがあるので、他店の在庫であっても取り寄せられるシステムを導入した。
Q.EC関与売上比率とは何か?
A.通販の売上に、ECで閲覧した商品を店舗に取り寄せて販売した売上を足し合わせて、EC関与売上と定義している。
Q.小売比率はどのくらいの水準を目指しているのか?
A.まずは個人買取の比率を高め、その上で小売の販売比率を約50%まで上げられれば理想的である。しかし、個人買取で買い取った小売に向かない商品はBtoBオークションで販売するので、必ずしも50%まで引き上げなければいけないとは考えていない。
Q.買取専門店の出店によって、小売の販売比率を高められるという理解で合っているか?
A.その認識で問題ない。現在新規出店している店舗のほとんどが買取専門店なので、買い取った商品を商品センターに集めた上で、最適な店舗に商品を振り分けている。
Q.新規出店時はどのような要素を重視しているのか?
A.エリアを重視して、小売向きの流行に乗った商品を買い取れる店舗を増やしていく方針である。特に、富裕層が多く住んでいるエリアへの出店が重要だと考えている。
Q.バランスシートの使い方はどのような方針か?
A.弊社の事業モデルでは、事業規模を拡大するために棚卸資産を増加させる必要があるので、バランスシートが大きくなる傾向がある。棚卸資産については、ブランド品相場の変化によって在庫の評価額が簿価を下回るリスクがあるので、在庫の中身や、回転率と粗利率を掛け合わせた指標である交叉比率を注視して、利益を出せる在庫を持つようにしている。
また、買取のためのキャッシュを借入で調達しているため、自己資本比率も重視している。自己資本比率は現在の約50%の水準が適正ではあるが、今後の成長や株式の流動性向上を考慮すると、もう少し低い水準でも問題ない財務状況を作りたいと考えている。
Q.交叉比率はどのような指標か?
A.中古ブランド品では粗利率と回転率の両方が重要なので、両方を掛け合わせて商材の特徴を捉えながら、利益を出せる在庫を持っているかを確認している。例えば、金・地金製品は、回転率は高いが粗利率が低い。一方でブランド服は、粗利率は高いが季節等の理由で半年程度在庫を抱えることが多いので、回転率が低い商材である。
Q.交叉比率はどのくらいの水準を目指しているのか?
A.現在の水準を維持しながら棚卸資産が増える分には問題ないと考えている。
Q.棚卸資産、交叉比率、粗利率が重要な業績指標だという理解で合っているか?
A.その認識で問題ない。また、個人買取の金額を伸ばすことも非常に重要だと考えている。
Q.在庫のコントロールは、買取に持ち込まれる商品に依存するため難しいのか?
A.個人買取で持ち込まれる商品を予想するのは難しいが、他社のオークションに参加して法人仕入をすることでコントロールしている。中古買取だけを行っている企業の増加に伴って、BtoBオークションの数が増えているので、価格面だけ折り合えば法人仕入で在庫を仕入れるのは難しくない。
Q.新規出店のボトルネックは何か?
A.店舗に配置する人員である。他店からのサポートが入ることも考慮すると、1店舗出店するのに約1.5~1.7人換算のスタッフが必要である。また、育成期間を短縮化しているものの、知識・実技・接遇等のインプットに約3ヶ月かかるので、採用して育成するまでにタイムラグが生じる。
Q.各店舗のスタッフが持ち込まれた商品を全て鑑定するのか?
A.その認識は間違っている。商品センターに知識が豊富なスタッフが何名もおり、チャットや通話、ビデオ通話で各店舗をサポートしている。
Q.BRAND OFFとKOMEHYOの違いは何か?
A.第一に、KOMEHYOが直営で出店しているのに対して、BRAND OFFの買取専門店はFCの比率が高い。第二に、コメ兵とKOMEHYOオークションが別会社なのに対して、BRAND OFFは同一会社の中にBtoBオークションの事業を有している。
BRAND OFFは、FC買取専門店で買い取った商品を自社のBtoBオークションに出品させているので、自社で買い取った商品を自社の店舗で販売しているコメ兵とは、買取専門店の出店目的が異なる。
Q.BRAND OFFとKOMEHYOは別業態なのか?
A.その認識で問題なく、一部で顧客が重複しているが、それぞれが得意な領域で成長を続けており、例えば、海外に強いBRAND OFFはグループの海外事業を牽引している。また、マーケティングも別々に行っている。
Q.御社の免税売上は、大部分が海外に強いBRAND OFFの売上か?
A.その認識は間違っており、免税売上額はKOMEHYOの方が大きい。しかし、BRAND OFFはインバウンド顧客向けの売上が5割以上なので、免税売上の比率はBRAND OFFの方が大きい。
Q.BtoBオークションの売上はGMVに対する手数料か?
A.その認識で問題なく、GMV×手数料が売上になる。BtoBオークションは、売上自体は大きくないが利益率が高い事業である。
Q.BRAND OFFのBtoBオークション事業であるJBAの成長を牽引しているのは何か?
A.FC買取専門店の出店とリアルオークションのGMV増加である。コロナ禍に国内のBtoBオークションのほとんどがオンライン開催になったが、BRAND OFFではリアルオークションも月末に開催しており、多くの商品が出品されている。
リアルオークションでは、昔からオークションに参加している人の直接商品を確認したいというニーズや、月末に資金を作りたいニーズ、当月の状況を踏まえて商品を仕入れたいニーズなどを捉えている。
Q.中長期的な成長戦略はどのような方針か?
A.第一に、商品の買取と販売の両方の成長にとって出店が重要である。第二に、海外事業は成長余地が大きいと考えている。現在の海外事業では、買い取った商品を同じエリアで販売しているが、今後は仕入れた商品をより高く売れるエリアに流通させられるように物流を強化する方針である。
Q.今期2Qまでの業績をどう評価しているか?
A.業績予想の達成に対する進捗は順調だと評価している。
Q.YoY+31.7%となった11月度月次売上は何が牽引しているのか?
A.インバウンド顧客向けの売上である。現在は一巡したものの、インバウンド顧客向けの売上は昨年10月頃から徐々に回復傾向にある。今後どこまでインバウンド顧客向けの売上が成長するかは不透明だが、まだ完全に回復していない中国からの観光客に成長余地がある。
Q.インバウンド顧客は商品を購入するために来店するのか?
A.買取は国内に住所を持っている顧客からしか行うことができないため、その認識で問題ない。
Q.今後の費用の推移をどう考えているか?
A.弊社は人件費や家賃などの固定費が増加しやすいビジネスモデルだが、売上を成長させて利益率を上げることで回収する。また、今後も成長のために必要な人材へ投資していく。
Q.採用費が増加しているのはなぜか?
A.店舗スタッフの採用費はあまり増加していないが、事業規模の拡大に伴ってバックオフィス側で専門的な知識を持つ人材の採用を続けているからである。今後は利益率とのバランスを見ながら、採用費の増加をコントロールすることが重要だと考えている。
Q.来期も今期と同様の高い成長率を継続できるのか?
A.今期はKOMEHYOとBRAND OFFの銀座店舗のオープン効果があったので、来期に向けて12月以降の状況を注視する。また、売上だけでなく利益も伴って成長したいと考えている。中古品相場の状況に影響されるが、上手く在庫をコントロールしながら来期以降の成長に繋がる取り組みを継続したい。
Q.出店から時間が経つにつれて店舗が成長していくのか?
A.その認識で問題ない。既存顧客の蓄積によって、新規顧客と合わせた顧客の母数が増加する。買取専門店ではオープンから約3年、大規模店ではオープンから約5~6年が特に成長する。
Q.2024年5月に見直し予定の中期経営計画についてどのように考えているか?
A.中期経営計画は毎期ローリングで見直している。毎期増収増益を達成したいと考えているので、来期以降も今期の実績を踏まえて増収増益の目標を開示したい。
Q.株主還元や成長投資などの財務戦略はどのような方針か?
A.20%の配当性向が十分だとは考えていないが、今後の成長のためにキャッシュは買取に活用したいと考えている。また、安定的な増配も行いたいので、事業への成長投資と株主還元のバランスを取っていく方針である。
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