9338 INFORICH 4Q後取材 20240304
2024/03/27
2024/03/27
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スピーカー: IR
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Q.前期4Qの業績をどのように評価しているか?
A.11月に修正した業績予想と比較しても、売上と営業利益はやや上振れて着地した。売上はYoYで約+52%であり、好調に成長できたと考えている。コロナのリオープンがあった2Qや料金改定が業績に寄与した3Q対比では、QoQの成長率は鈍化しているものの、引き続き高い成長率を維持できていると考えている。
Q.コロナのリオープン後も継続的に売上が成長している理由はなぜか?
A.日本における1億人のスマホユーザーが、外出中に充電が無くなった時に充電ニーズを抱えているからである。また、他のBtoCサービスでは、一度解約すると再契約されないケースが多い一方で、弊社のChargeSPOTは充電ニーズに密着しており、一度利用したユーザーの離脱が発生しにくい。そのため、ユーザーの積み上がりが成長を牽引している。
Q.前期4Qのダウンロード数や設置台数は計画通りであるという理解で合っているか?
A.その認識で問題ない。
Q.台当たりエコノミクスについて、1台当たりの売上は前期3Qから4Qの成長率が継続するのか?
A.その認識は間違っており、1月~2月は人流が少ない季節性があるので、1QはQoQでレンタル回数が微減する。そのため、1Qには台当たりエコノミクスがあまり改善しない見通しである。
ただし、新規ユーザーの獲得と既存ユーザーの積み上げによって、2Q以降は前期3Qから4Qの伸び率で順調に成長すると考えている。
Q.1Qには前期4Q対比でレンタル回数が減少する季節性があるという理解で合っているか?
A.その認識で問題ない。月次のレンタル回数は、2020年12月期4Qから2021年12月期1Qにかけて横ばいであり、2021年12月期4Qから2022年12月期1Qにかけては減少した。前期はコロナのリオープンの効果を受けて成長したが、今期は季節性に従って1Qにレンタル回数が減少すると想定している。
Q.競合他社である充レンの2023年における動向を受けて、競争環境における御社の立場が高まっていると考えているが、競争環境をどのように捉えているか?
A.弊社の台数ベースでのシェアは83.0%である。また、ChargeSPOTは認知度が高く、バッテリースタンドの立地も良いので、1台当たりの稼働率も弊社の方が高い。そのため、売上ベースのシェアは90%を上回っていると考えている。
また、市場の独占によって、ユーザーと設置先の双方から選ばれるサービスとなっている。新規ユーザーにとっては、競合他社のアプリではなく、最も設置台数が多いためレンタルと返却が容易なChargeSpotをダウンロードする方が利便性は高い。また、設置先にとっては、設置するモバイルバッテリーレンタルサービスを選ぶ時に、弊社のChargeSPOT以外のサービスを選ぶメリットがほとんどない。
Q.御社のシェアが拡大している現在でも、競合他社も事業成長を諦めてはいないのか?
A.競合他社も諦めてはいないが、弊社と競争するのは難しいと考えている。
Q.料金改定後のレンタルの状況はどうか?
A.以前はレンタルから6時間後に料金が上昇していたが、2023年からは3時間後に改定した。そのため、3時間以内の返却が増加し、バッテリーの稼働率が上昇している。料金改定後の1ユーザー当たりのレンタル回数は、横ばいから微増で推移しており、料金改定後に利用の抑制は発生していない。
Q.今後も値上げの余地はあると考えているか?
A.値上げの余地はまだあると考えているが、ユーザーの利用動向も見ながら今後社内で議論していく。
Q.グローバルと比較して低水準で推移している日本のバッテリー稼働率は、今後上昇するのか?
A.日本では、貸し出し可能なバッテリーのうち、1日に貸し出されるバッテリーが約30%に留まっている。そのため、バッテリーのキャパシティという観点では約3倍の上昇余地がある。また、バッテリーの需要という観点では、約1億人のスマホユーザーのうち外出時の充電ニーズを抱えている人が多いので、弊社のサービスのSOM(サービスを提供できる獲得可能な市場規模)は約2,600万人だと考えている。弊社の年間ユーザー数は約360万人なので、新規ユーザーの獲得余地が大きく、設置台数以上にMAUが成長すれば、稼働率の上昇が期待できる。
Q.海外におけるバッテリーの稼働率はどの程度なのか?
A.香港におけるChargeSPOTは40%台、中国本土の他社サービスは約60%程度である。
Q.設置年別のバッテリースタンド1台当たりの売上はどのように推移しているのか?
A.2023年に設置したバッテリースタンド1台当たりの売上が大きく成長しているのは、期中に設置したバッテリースタンドが含まれているからである。2022年以前に設置したバッテリースタンドの1台当たりの売上も期によって程度の違いはあるが成長している。全体的には、MAUの上昇に伴って、設置済みのバッテリースタンドの1台当たりの売上が上昇傾向にある。
Q.グローバル展開について、アメリカにおけるモバイルバッテリーレンタルサービスへの需要をどのように考えているか?
A.アメリカは車社会なので、車内での充電が可能な人が多く、国全体としてはサービスへのニーズが小さい。ただし、地下鉄の利用が多い地域や人口が密集している都市部では、バスや電車が主要な交通機関なので、サービスへのニーズがあると考えている。また、4Qの決算説明資料からグローバル展開の候補地としてアメリカにピンを置いているが、今期からすぐに展開することを示しているわけではない。
Q.モバイルバッテリーレンタル市場の国別の状況はどうか?
A.中国本土はレッドオーシャンであり、1店舗に4~5社のバッテリースタンドが設置されていることが多い。また、決済がWeChatとAlipayに紐づいているので、どのサービスを選択してもユーザーにとっての利便性が変わらず、差別化がしにくい。一方で日本や香港、台湾は弊社のChargeSPOTが市場のドミナントであり、他社にキャッチアップされる恐れが小さい。また、それ以外の国では、大規模に展開している企業が少なく、参入の仕方次第では成長余地があると考えている。
Q.グローバルの新規エリア開拓のための投資は、今期どの程度費用計上されるのか?
A.フランチャイズ契約獲得のために、展示会への出展や海外開拓メンバーの人件費等が計上されるが、費用はあまりかからない見通しである。
Q.グローバル展開に対する投資家の反応はどうか?
A.投資家によって反応が異なる。ざっくりは日本の投資家は海外事業の赤字リスクを懸念する傾向があり、海外の投資家は積極的に海外展開を進めてグローバル企業に成長することを期待する傾向がある。
Q.展開した国・地域の事業が大きく赤字になるリスクはあるのか?
A.フランチャイズで展開する場合は赤字になるリスクはないものの、中国の一部地域や香港のように直接投資を行った場合は、売上が成長しなければ赤字になるリスクがある。ただし、既に海外において直営・フランチャイズの両方で事業を展開した実績があり、社内に知見が蓄積されているので、直営とフランチャイズの良い点を掛け合わせて展開できると考えている。
Q.現在直接投資で展開している国・地域はどこか?
A.中国本土と香港のみである。
Q.香港におけるバッテリースタンドの設置数に拡大余地はあるか?
A.日本ではバッテリースタンドを約2倍に拡大する余地があると考えているが、香港では既に人口当たりの設置台数が日本より多く、拡大余地は約1.5倍程度と考えている。
Q.香港におけるシェアはどの程度か?
A.約80%である。
Q.競争が激しい中国本土で御社が黒字である理由はなぜか?
A.赤字にならないように半分以上をフランチャイズで展開しているからである。また、直営での展開では、オペレーションコストがかからないように、狭い範囲に置いて小規模に展開している。なお、中国本土はChargeSPOTにとってR&Dの中心地と位置付けている。広州にエンジニアがおり、開発・設計を社内で実施している。
Q.ShareSPOTの展開状況はどうか?
A.ChargeSPOTに次ぐビジネスとして強化する方針であり、様々な企業に声をかけて参画パートナーを募っている。ただし、現時点ではシード期にあたるサービスであり業績貢献は小さいため、今後収益に貢献するようになれば業績予想にも反映する。
Q.急速充電の普及による事業リスクをどのように考えているか?
A.急速充電が普及しても、外出時の充電ニーズに変化はないので、あまり大きなリスクとしては捉えていない。一度の充電で半年程度充電が切れない電池が実現すると、弊社にとっては大きなリスクになるものの、理論的にはまだ開発できないので、大きなリスクとして捉えていない。
Q.御社のバッテリーの老朽化や、スマホのバッテリーの性能向上による充電時間の短縮化によって、御社が設置している既存のバッテリーへの需要が減少する恐れはあるか?
A.現在も弊社のバッテリーよりも性能がいいバッテリーは販売されているので、大きなリスクではない。また、将来的にバッテリーの性能向上を理由として弊社のサービスが利用されなくなる場合には、CAPEXは一時的にやや大きくなるが、弊社もそれに対応したバッテリーに置き換えることで対応可能である。
Q.ハードウェアのコストが業績に与える影響をどのように考えているか?
A.売上に対する減価償却費の割合が約10%にまで低下しているので、ハードウェアにかかるコストが業績に与える影響は小さい。むしろ、設置料やレベニューシェア等、設置先に支払うコストが業績に与える影響の方が大きくなっていると考えている。
Q.ラウンダーやコールセンターへのコストは今後増加するのか?
A.ラウンダーとコールセンターは外部委託しており、ボリュームディスカウントが効いているのでコストは低減されている。
Q.今期の業績予想に対する投資家の反応はどうだったか?
A.投資家からは、もう少し強気に開示できたのではないかという反応があるものの、強気な業績予想を開示して未達になった場合は投資家の信頼を裏切ることになる。年初の業績予想としては妥当な数字だと考えている。
Q.業績予想に対する上振れ要因はあるか?
A.想定以上に人流やレンタル回数が増加した場合や、広告やフランチャイズによる売上が業績予想を上振れて成長した場合には、売上が業績予想を上回る可能性がある。また、コストカットや採用計画の遅れによって、販管費が業績予想対比で減少する可能性がある。
Q.採用は順調に進捗しているのか?
A.足元の採用は順調だが、前期は採用人数が計画を下回ったので、人件費が予算対比で下振れた。部門によって採用したい人材像が異なり、採用したい人材に巡り会わない場合は採用計画に対して未達になってしまう可能性がある。
Q.中国人観光客の数はどのような状況か?
A.モバイルバッテリーレンタルサービスに慣れ親しんでいる中国人観光客をユーザーとして獲得したいと考えているものの、中国人観光客の数はコロナ前の水準には回復していない。なお、中国人観光客の利用増加は業績の上振れ要因だと考えており、現時点であまり業績貢献への期待は大きくない。
Q.決算発表後の株価推移をどのように捉えているか?
A.決算発表前の期待値が非常に高かったため、足元の株価は軟調に推移していると考えている。ただし、今期以降も継続的に成長していくに連れ、株価のトレンドが変わると期待している。
Q.ベンチャーキャピタルの株式の保有状況はどうか?
A.上場時は保有割合が大きかったが、現在は数%まで保有比率が下がっている。そのため現在は、弊社役員や国内外の機関投資家、個人投資家が株式の大半を保有している。
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